40代の「ひきこもり」は就活時期に始まった?「生きづらい」社会…どう向き合う

「ひきこもりを抜け出すべき」「職を得れば自立もできるのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、就職・転職の失敗や労働環境の不良により悩みを抱え、ひきこもりにつながってきた人も多数います。長時間労働や低賃金など、明らかに問題のある職場を離れるには転職が良い方法でしょうが、転職ですべてが解決されるとは限りません。そして一度ひきこもりを経験していると現実的には新たに就職することは非常に難しいのです。

「なんで、この仕事を選んでしまったんだろう」
「こんな毎日が続くのかな…」
「前の会社の方がまだマシだった」

転職サイトには豊富な情報が掲載されていますが、求人内容を確認していても、実際に働いてから初めて気付くことも多いもの。新しい環境・業務という重圧、そして人間関係をゼロから始めるという負担も大きなものとなります。人間関係も仕事も円滑に進んでいくようになるまでに時間がかかります。就職・転職をすると基本的にすべてをゼロから積み上げていかなければいけません。努力しているうちに問題やトラブルを抱えてしまい、また「やり直し」を余儀なくされる可能性もあります。就職も転職も、働き続けている人には分からない「新入者」としての大きな壁が存在するのです。

ひきこもりの支援団体による新しいアプローチ

ひきこもりを自力で解決したい時に、厚生労働省が設置した相談窓口やハローワークによる就労支援、ひきこもりの社会復帰支援に特化した民間団体などのサポートなども存在します。しかし、これらの支援の多くは、ひきこもり当事者が来所する形式です。外出の難しい人、コミュニケーションに負担を感じる人にとってはハードルが高いため、新しいアプローチを展開する支援団体も登場しています。

公式サイト上にLINEの友達追加用QRコードや支援登録の専用フォームを設置し、当事者とのやりとりをオンラインで完結させている支援団体などです。ひきこもりから一歩踏み出すには、小さなステップの積み重ねが重要なのだということが分かります。

人の弱みにつけ込んだ“ニセ支援団体”の存在

ただし、何らかの支援を受けたい本人・家族にとって、注意の必要なケースもあります。ニセの支援団体が入り込んでいることが報告されているのです。名称では判別しにくく、NPO法人化している団体もあります。家族からの依頼を受けて本人を外出させる支援方法も強引であることが多く、また、自立と称して狭い住居を与え、親から謝礼金を受け取る手段も出てきています。

悪質な場合、生活保護を申請させ、支給された保護費を巻き上げる例も確認されています。ひきこもり問題の解決は決して容易ではなく、悪質団体が謳っているような「絶対に解決する」「必ず自立させる」「早期に解決する」ことは簡単ではありません。その困難さを理解しながら家族や適切な支援団体との協力のもとで一歩ずつ進めていくことになります。

さいごに

自宅に引きこもる原因や事情は人それぞれ。働きたくても就職が難しい、働けない、外に出ることすらできない人達もいます。「甘え」という言葉だけでは決して表現できない原因が存在するのです。周囲の「理解」と「支援」の2つが、これからのひきこもり問題の解決に繋がる糸口になりそうです。

【参考】
「生活状況に関する調査(平成30年度)」内閣府
(※1)「人口推計(2019年5月確定値,2019年10月概算値)」総務省統計局
ひきこもり対策推進事業」厚生労働省

LIMO編集部

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LIMO編集部は、個人投資家向け金融経済メディアであるLongine(ロンジン)の執筆者である国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーやビジネス系インターネットメディアでの運営経験者等を中心に構成されています。国内のみならずグローバルの視点から、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報をわかりやすくお届けします。