3. 【最新調査で伸びた分の中身】部長級は7割あまりが賞与、係長級は6割あまりが月々の給与
推定年収の伸びを、月々の給与(12か月分)と年間賞与に分けてみると、役職によって中身が違うことが分かります。部長級は41万4200円の伸びのうち、月々の給与の分が11万4000円、賞与の分が30万200円で、伸びの7割あまりを賞与が占めています。
課長級は47万7500円の伸びのうち、月々の給与の分が22万3200円、賞与の分が25万4300円で、賞与の分がやや多いものの、ほぼ半分ずつでした。係長級は27万8300円の伸びのうち、月々の給与の分が17万7600円、賞与の分が10万700円で、6割あまりが月々の給与の伸びです。
推定年収の伸びの内訳(令和6年と令和7年の賃金構造基本統計調査・短時間労働者を含まない)2/2
出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 役職」・厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 役職」をもとにLIMO編集部作成
賞与は、会社の業績などに合わせて決まることが多く、月々の給与よりも年によって動きやすいお金だと考えられます。部長級では、推定年収に占める賞与の割合が、前年の調査の21.9%から令和7年の調査では24.0%になりました。部長級の年収を見るときは、賞与の分が年によって変わりやすい点も意識しておきたいところです。
反対に、月々の給与の伸びは毎月の暮らしの見通しに直結するため、賞与の伸びとは分けて受け止めることが大切です。
4. 月々の給与は6月分、賞与は前の年の1年間
前年の数字と比べるときは、それぞれの金額がいつの分なのかに注意が必要です。令和7年の調査の月々の給与は2025年6月分で、賞与のほうは、原則として2024年の1年間(1〜12月)に支払われた分にあたります。令和6年の調査では、月々の給与が2024年6月分、賞与が2023年1月から12月までの分でした。
つまり、令和7年の調査の推定年収は、2025年の月々の給与と2024年の賞与を組み合わせた推計です。2025年に受け取った賞与は、まだ含まれていない点に気をつけたいところです。また、6月分の給与を12倍しているため、年の途中の昇給や、月によって残業の多さが違うことは反映されていません。
自分の年収と比べるときは、源泉徴収票の支払金額のような実際の1年分の金額と、この推計とでは計算のしかたが違うことを意識しておきましょう。調査の数字は、役職ごとの水準や前年からの動きをつかむための目安として使うのがよいと考えられます。勤め先の規模や業種によっても金額は変わるため、全体の平均とのわずかな違いを気にしすぎないことも大切です。
5. 【昇給・賞与の時期の前に】自分の給与明細と賞与の明細で、1年の変わり方を確かめる
調査の数字を自分の働き方に生かすときは、3つの順で考えると整理しやすくなります。
まず、自分の推定年収を同じ物差しで計算してみます。6月分の給与明細にある総支給額に12をかけ、そこに前年1年間の賞与を合わせると、調査と同じ考え方の金額になります。前の年の明細も残っていれば、同じ計算をして、1年でどう変わったかを並べてみましょう。
次に、伸びた分が月々の給与なのか、賞与なのかを分けて見ます。調査でも、部長級は賞与、係長級は月々の給与の伸びが大きいという違いがありました。毎月の支出は月々の給与の範囲で組み立て、賞与は年によって変わることを前提に使い道を決めておくと、お金の見通しを立てやすくなるでしょう。
そして、これからのキャリアを考えます。役職に就くかどうかも、就く時期も、そのときの職場の状況や一人ひとりの事情でそれぞれです。昇格の基準や評価の仕組み、賃金の決まり方は会社ごとに違うため、勤め先の賃金規程や人事の担当者に確かめておきたいところです。いまの役職で専門性を深めるのか、より広い範囲を任される役職をめざすのかによって、これからの年収の見通しも変わってくると考えられます。役職定年の制度がある会社では、何歳で役職を離れるのかもあわせて確かめておきましょう。
6. まとめにかえて
令和7年賃金構造基本統計調査の役職別の表から推定年収を計算すると、1020万1000円の部長級、872万1100円の課長級、685万6900円の係長級という結果でした。前年の調査と比べると、部長級は41万4200円、課長級は47万7500円、係長級は27万8300円高くなっています。
伸びた分の中身は役職によって違い、部長級は7割あまりが賞与、係長級は6割あまりが月々の給与でした。推定年収は6月分の給与と前の年の賞与を組み合わせた推計なので、実際の年収とは違う点に注意が必要です。手元の給与明細と賞与の明細で自分の1年の変わり方を確かめたうえで、次の昇給や賞与の時期に向けて、これからの働き方とお金の見通しを考えてみましょう。
7. 編集部よりコメント
今回の調査で目を引くのは、役職によって伸び方の中身が違うことです。部長級は賞与の伸びが大きく、係長級は月々の給与の伸びが中心でした。賞与は会社の業績などで変わりやすいため、年収が上がったときも、そのうちどれだけが毎月の給与の分なのかを分けて見ておくことが大切です。
また、管理職の年収を考えるときは、いまの金額だけでなく、役職を離れる時期や、そのあとの働き方もあわせて考えておきたいところです。昇格や評価の仕組みは会社ごとに違うため、勤め先の規程を一度読んでおくと、これからの見通しが立てやすくなるでしょう。数字を目標にするのではなく、自分の働き方を見直すきっかけとして使うことが大切です。まずは、去年と今年の給与明細を並べるところから始めてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 役職」
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 役職」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況 調査の概要」
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 調査の概要」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況 主な用語の定義」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査 調査の概要」
宮野 茉莉子
