部下をまとめながら、自分も現場の仕事を抱えている。そんな働き方を指して「プレイングマネージャー」と呼ぶことがあります。会議や部下の相談に時間を取られ、自分の担当分は夕方から片づける、という日が続いている方もいるのではないでしょうか。
管理職の仕事は、部下の育成やチームの成果に責任を持つことです。それでも実際には、プレイヤーとしての仕事も兼ねている人が多いことが、民間の調査で示されています。忙しさの中身と、その忙しさに見合う待遇がどうなっているのかは、管理職本人にとっても、これから管理職になる人にとっても気になるところでしょう。
今回は管理職のどれくらいがプレイヤーの仕事を兼ねているのかを確かめたうえで、管理職が上司に伝えた不満の中身を国の統計でみていきます。後半では、課長級・部長級の給与と賞与を業種別に並べ、プレイングマネージャーとしての働き方と、お金の両面から整理します。
1. 【プレイングマネージャー】管理職のうち86.8%がプレイヤーの業務も兼ねている
一般社団法人日本経営協会「第8回『日本のミドルマネジャー意識調査』」によると、マネジメントの仕事だけに専念できている管理職は13.2%でした。残る86.8%は、プレイヤーとしての業務も兼ねていると答えています。
この調査は、部下を持つ課長級・次長級・部長級の人を対象に、2025年10月29日から11月5日にかけてWebで行われ、539人が回答しました。割合は、この539人を元にしたものです。
1.1 【業務時間に占めるマネジメントの割合】
業務時間のうち7割以上をマネジメントの仕事に充てていると答えた人は、民間企業等で39.0%、行政・自治体で50.0%でした。所属する組織の種類によって、時間の使い方が分かれていることがわかります。
マネジメントに専念できている人が1割台にとどまるということは、回答した管理職の多くが、管理の仕事と自分の担当業務を同時に抱えているということです。時間の配分をどうするかは、プレイングマネージャーにとって日々の課題になっていると考えられます。
1.2 【業務負担と悩み】
同じ調査では、3年前と比べた業務負担について、51.0%が「増えた」と答えています。仕事上の問題や悩みとして最も多く挙げられたのは「部署の人材不足」で50.3%、次いで「プレイヤー業務の過大」が23.9%でした。
管理職になった経緯をたずねると、昇進を「希望した」人は21.0%でした。最も多かった答えは「特に希望するのではなく、流れの中でなった」で、47.1%にのぼります。それでも、仕事の充実感をたずねた問いでは、「十分ある」9.3%と「それなりにある」61.2%を合わせると70.5%になります。管理職として働き続けるために必要なこととしては、「生活(プライベート)の安定」39.9%、「仕事に対する正当な評価・報酬」39.0%が多く挙げられています。「生活の安定」は、前回の2020年の調査から13.7ポイント増えたとされています。
2. 【上司への不満の中身】不満を伝えた課長クラス以上のうち42.5%が「賃金、労働時間等労働条件」
では、管理職は自分の上司や会社に、どんな不満を伝えているのでしょうか。厚生労働省「令和6年 労使コミュニケーション調査」では、働く人に、過去3年間に不平や不満を伝えたことがあるか、あるならその中身は何だったかをたずね、課長クラス以上・係長・役職なしに分けて集計しています。ここでの割合は、令和3年7月から令和6年6月までの3年分について、不平や不満を伝えたことがある人を100としたものです(複数回答)。
2.1 【不平や不満の内容(役職別)】
- 課長クラス以上 人事(人員配置・出向、昇進・昇格等)に関すること49.1%、賃金、労働時間等労働条件に関すること42.5%、日常業務の運営に関すること40.6%、人間関係に関すること(パワハラを含む)25.2%
- 係長 日常業務の運営に関すること49.5%、人事に関すること43.5%、人間関係に関すること(パワハラを含む)32.2%、賃金、労働時間等労働条件に関すること28.1%
- 役職なし 人間関係に関すること(パワハラを含む)44.0%、日常業務の運営に関すること43.0%、人事に関すること42.7%、賃金、労働時間等労働条件に関すること34.9%
係長では日常業務の運営に関すること、役職なしでは人間関係に関すること(パワハラを含む)が、それぞれ最も多く挙がっていました。どの立場で働いているかによって、伝えた不満の中身の並び方が変わっています。
課長クラス以上では、不満を伝えた人のうち42.5%が、賃金や労働時間などの労働条件のことを挙げています。人事に関すること49.1%に次ぐ多さです。この割合の元になる「不平や不満を伝えたことがある人」は、同じ調査の第20表によると、課長クラス以上の5.3%です。課長クラス以上の全員のうち42.5%という意味ではありません。
そのうえで見ると、回答した管理職の大半がプレイヤーの仕事も受け持っていること、そして不満の中身に給料や働く時間のことが入っていることが、それぞれの調査から読み取れます。忙しさと待遇は、管理職にとって切り離せない話題と考えられます。
次のページでは、その待遇が業種によってどう分かれているのかをみていきます。
