10月から新しく管理職を任された方は、期待と同じくらい、戸惑いも抱えているかもしれません。管理職になると、どんなことが悩みやストレスになりやすいのでしょうか。

厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」を見ると、職種の区分で管理的職業従事者にあたる人のうち73.2%が、仕事や職業生活に強い不安、悩み、ストレスを感じていました。働く人全体の68.3%より高い割合です。

その中身で上位に並ぶのは「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」です。働く人全体との差がいちばん大きいのは、昇進・昇格や配置転換などの「役割・地位の変化等」で、挙げた人の割合は1.5倍でした。悩みを誰に相談しているかにも、管理職ならではの特徴がありました。

この記事では、管理職が抱える悩みの中身と、誰に相談しているのかを統計で確かめます。新しい立場に慣れるまでの働き方と、これからの暮らしの備えを考える材料にしてください。

1. 【管理職のストレス】管理的職業従事者の73.2%が強い不安や悩みを抱える

労働安全衛生調査は、厚生労働省が職場の安全衛生の取り組みや、働く人の不安・ストレスの実態をつかむために行っている調査です。「調査の概要」によると、令和6年は常用労働者10人以上の民営事業所から抽出した事業所で働く人のうち、約18,000人を対象としました。時点は原則として令和6年10月31日現在です。

この調査の個人票を職種別に集計した表によると、いまの仕事や職業生活について、強い不安、悩み、ストレスになっている事柄が「ある」と答えた人は、管理的職業従事者で73.2%でした。職種をすべて合わせた68.3%を4.9ポイント上回っています。

不明を除く11の職種のなかでは、4番目に高い割合です。反対に「強いストレスと感じる事柄がない」と答えた管理的職業従事者は26.7%でした。

なお、ここでいう管理的職業従事者は、この調査で使われている職種の区分です。会社での肩書が課長や部長の人とぴったり同じ集まりではありません。ここでは、管理的な仕事に就いている人たちの傾向を映す数字として見ていきます。

2. 【管理職の悩み一覧表】上位は「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」

強いストレスを感じる事柄がある人に、その内容を主なもの3つ以内で聞いた結果を、一覧表で見ていきましょう。

2.1 【管理職の悩み一覧表】

管理的職業従事者と職種計の強い不安、悩み、ストレスの内容1/2

管理的職業従事者と職種計の強い不安、悩み、ストレスの内容

出所:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人調査 第01表をもとにLIMO編集部作成

管理的職業従事者でいちばん多いのは「仕事の量」の52.7%で、職種計の43.2%より9.5ポイント高くなっています。次が「仕事の失敗、責任の発生等」の44.5%で、こちらも職種計の36.2%を8.3ポイント上回りました。

3番目は「仕事の質」の31.1%、4番目が「役割・地位の変化等」の29.6%です。仕事の量と責任の重さが、管理的な仕事の悩みの中心にあることが分かります。この2つは、どちらも強いストレスがある管理的職業従事者の4割を超えていました。

いっぽうで、職種計より低い項目もありました。「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」は24.0%で職種計の26.1%を下回り、「会社の将来性」は16.7%で、職種計の22.2%より5.5ポイント低くなっています。反対に「顧客、取引先等からのクレーム」は24.0%で、職種計の20.7%を上回りました。

宮野 茉莉子
悩みの内容の割合を読むときは、何を分母にしているかに気をつけてください。

ここでの割合は、働く人全員ではなく、強いストレスとなっていると感じる事柄がある人を分母にしています。しかも1人が主なものを3つまで選べるので、足し合わせると100%を超えます。選んだ項目の数も人によって違うので、項目どうしの割合は、どれがより多く挙がっているかを比べる目安として見てください。

割合の高い項目は、強いストレスとなる事柄がある人のあいだで、よく選ばれた項目だということです。また、選択肢にあてはまらない事柄は「その他の事柄」にまとめられているので、並んだ項目がすべての悩みを表しているわけではありません。

次のページでは、昇進や配置転換といった役割の変化と、悩んだときに誰に相談しているかを見ていきます。