4. 相続時の口座照会の前に、家族の通帳やキャッシュカードの金融機関名を特定金融機関の一覧と照らし合わせる

相続時の口座照会の手数料は、預金保険機構の案内では1件5060円です。申し込んだあとは、照会の結果にかかわらず手数料は返ってきません。照会を申し込む前に、手元にある手がかりから、どの金融機関に口座がありそうかを書き出しておくと、照会で何を確かめたいのかがはっきりします。

4.1 勤務先の職員信用組合や医師信用組合の口座は、照会では見つからない

特定金融機関に含まれる信用組合は、警視庁や三重県、呉市、福岡県庁の職員向けのものと、山形県・福岡県の医師向けのものです。家族がこうした職場に勤めていた、または医師だった場合は、給与の受け取りや積立に使っていた口座がないかを先に確かめておきましょう。

給与明細や源泉徴収票、組合からの郵便物は、口座のある金融機関を知る手がかりになります。退職したあとも口座を残している人はいるため、在職中の書類も捨てずに見ておくと安心です。

4.2 付番していない口座も、照会の結果には出てこない

照会の対象は、照会の時点でマイナンバーが付番されている口座です。参加している金融機関でも、本人が付番していなければ結果には出てきません。また、照会で分かるのは金融機関名や支店名、口座番号などで、残高は含まれません。

照会は口座探しの手段の1つと考え、結果を受け取ったら、手元の通帳やキャッシュカードと照らし合わせて抜けがないかを確かめておきたいところです。

5. 特定金融機関や照会に出ない口座は、金融機関ごとに相続の申し出をして確かめる

照会の対象外の金融機関に口座がありそうなときは、その金融機関に直接問い合わせることになります。多くの金融機関では、相続人であることを示す戸籍謄本などをそろえれば、口座の有無を調べてもらえます。

5.1 問い合わせる前に、亡くなった日と相続人であることが分かる書類をそろえる

金融機関に相続の申し出をすると、その口座は入出金ができなくなります。問い合わせの際には、亡くなった人の氏名や生年月日、亡くなった日が分かる戸籍謄本などと、相続人の本人確認書類を求められることが一般的です。

口座があると分かったら、亡くなった日の残高を証明する残高証明書を請求できます。相続税の申告や遺産分割の話し合いでは、この残高が基準になります。

5.2 自分の口座は、付番の状況と金融機関名を家族に伝えておく

特定金融機関は、他の金融機関やマイナポータルを経由したマイナンバーの届け出も対象外です。自分の口座がどの金融機関にあり、付番したかどうかを一覧にして家族に伝えておくと、家族が照会の結果と照らし合わせやすくなります。

金融機関名と支店名を書いたメモ1枚でも、残された家族の手間は大きく変わります。

6. まとめ

預貯金口座管理法の特定金融機関は、相続時・災害時の口座照会の対象外です。2026年10月13日の告示改正で三菱UFJエムット銀行が加わり、天草漁業協同組合が外れて、特定金融機関は21のままとなりました。信託銀行や中央機関のほか、職員や医師向けの信用組合も含まれています。

照会の結果に出てくるのは、照会に参加している金融機関で付番された口座だけです。家族の通帳やキャッシュカードの金融機関名を一覧と照らし合わせ、対象外の金融機関には個別に問い合わせる準備をしておきましょう。

参考資料

和田 直子