家族が亡くなったあと、どの銀行に口座があったのかが分からず困ることがあります。2025年4月からは、生前にマイナンバーを付番していた口座であれば、相続人が1つの金融機関の窓口からまとめて口座の所在を照会できるようになりました。

ただし、この照会には対象にならない金融機関があります。預貯金口座管理法で「特定金融機関」と定められた金融機関で、2026年10月13日には、その顔ぶれを定める告示が改正されました。

この記事では、金融庁とデジタル庁の公表資料をもとに、特定金融機関とは何か、10月13日の改正で何が変わったのか、いまどの金融機関が対象外なのかを整理します。

1. 預貯金口座管理法の特定金融機関は、相続時・災害時の口座照会の対象外

預貯金口座管理法(預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律)は、本人の申し出で預貯金口座にマイナンバーを付番し、相続や災害のときに口座の所在を確かめられるようにする法律です。特定金融機関は、このうち一部の仕組みに参加しない金融機関を指します。

1.1 特定金融機関は、相続時・災害時の口座の照会に応じない

金融庁によると、特定金融機関とは、業務の内容その他の事情を勘案して、法律第19条による送信を行うことが困難な金融機関として行政庁が定めるものです。特定金融機関には、預金保険機構による個人番号の通知や、災害時・相続時の預貯金口座に関する情報の提供についての規定などが適用されません。

デジタル庁は、特定金融機関について次の3つの手続きが対象外になると案内しています。

  • 他の金融機関やマイナポータルを経由して、マイナンバーを届け出ること
  • 相続時や災害時に、預貯金口座に関する情報の提供を受けること
  • 相続時や災害時に、預貯金口座に関する情報の提供に係る照会を受け付けること

相続時の口座照会で結果に出てくるのは、照会に参加している金融機関の口座のうち、マイナンバーが付番されたものだけです。

相続時の口座照会では、特定金融機関の口座と付番していない口座は結果に出ない1/2

相続時の口座照会で、照会に参加している金融機関のマイナンバーを付番した口座は結果に出て、付番していない口座と特定金融機関21の口座は結果に出ないことを示した図

出所:デジタル庁「一部手続きの対象外となる金融機関」、預金保険機構「相続時預貯金口座照会のお申込みにあたって(参考)」をもとにLIMO編集部作成

1.2 制度が始まった当初は、すべての金融機関が特定金融機関だった

金融庁の資料によると、令和6年の告示は、法律の対象となる金融機関をすべて特定金融機関としていました。金融機関側のシステム開発が完了する見込みとなったため、2025年4月1日からは新しい告示に切り替わり、業務内容などから引き続き指定が必要な一部の金融機関だけが特定金融機関になっています。

相続時や災害時の口座照会が実際に使えるようになったのは、この切り替えからです。

2. 2026年10月13日の告示改正で、三菱UFJエムット銀行が特定金融機関に加わった

金融庁は2026年10月13日、特定金融機関を定める告示の一部改正を公表しました。告示は同日付で適用されています。

2.1 三菱UFJエムット銀行が加わり、天草漁業協同組合が外れた

新旧対照表によると、改正後の告示には第10号として「三菱UFJエムット銀行株式会社」が加わりました。一方、改正前の第21号だった「天草漁業協同組合」は削られています。

1つ加わって1つ外れたため、特定金融機関の数は21のまま変わっていません。告示の改正は2026年4月1日にもあり、このときは「新生信託銀行株式会社」の名称が「SBI新生信託銀行株式会社」に改められました。

相続時・災害時の口座照会の対象外になる特定金融機関は21(2026年10月13日の告示改正後)2/2

預貯金口座管理法の特定金融機関21を、信託銀行など、職域・地域の信用組合など、連合会・中央機関などに分けて一覧にし、2026年10月13日の告示改正で三菱UFJエムット銀行が加わり天草漁業協同組合が外れたことを示した図

出所:金融庁「『預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律第十七条の規定に基づき金融機関を定める件』の一部改正の公表」などをもとにLIMO編集部作成

3. 特定金融機関は信託銀行や職域の信用組合など。金融庁は「システム上の制約」などを勘案

21の特定金融機関を見ると、一般の個人が日常的に口座を持つ銀行は多くありません。なぜこれらの金融機関が対象外になっているのかについて、金融庁は告示を定めたときの意見募集で考え方を示しています。

3.1 信託銀行や連合会のほか、医師や職員向けの信用組合も含まれる

特定金融機関には、日本カストディ銀行や日本マスタートラスト信託銀行などの信託銀行、整理回収機構、信金中央金庫や労働金庫連合会などの中央機関が並んでいます。日本国外に本店がある金融機関(預金保険法の対象になるもの)も含まれます。

一方で、山形県医師信用組合や警視庁職員信用組合、福岡県庁信用組合など、特定の職業や勤務先の人が組合員になる信用組合も6つ含まれています。こうした信用組合に口座がある人は、家族が照会を使っても、その口座は結果に出てきません。

3.2 金融庁は「システム上の制約やリテール業務の有無」などを勘案したと説明

なぜ特定金融機関になるのかという意見に対し、金融庁は、それぞれの金融機関の詳しい事情は業務内容に関わるとして回答を控えたうえで、「システム上の制約やリテール業務の有無等」といった事情を勘案して定めると回答しています。

また、ソニー銀行、野村信託銀行、城南信用金庫、商工組合中央金庫などは、システム更改などの都合から、経過措置として一定の期間に限り特定金融機関とされていました。期限はソニー銀行などが2025年7月6日、野村信託銀行・城南信用金庫・商工組合中央金庫が2026年1月4日です。

相続時・災害時の口座照会は便利な仕組みですが、すべての金融機関に届くわけではありません。2026年10月13日の告示改正のあとも、照会の対象外になる特定金融機関は21あります。

対象外の金融機関は、デジタル庁のホームページで一覧が公開されており、2026年10月13日に更新されています。家族の口座がある金融機関が含まれていないか、一度見ておくと安心です。

ここからは、家族の口座を照会する前に確かめておきたいことと、照会の結果に出ない口座の探し方を見ていきます。