3. 5万1110円を読むときの注意点は3つ
3.1 注意点1|5万1110円は「利用した世帯」だけの平均です
利用1世帯あたりの5万1110円には、その月にネットショッピングを利用しなかった世帯は含まれません。利用しなかった世帯も含めた全世帯平均は2万8042円で、両者には2万3068円の差があります。
また、8月は31日あるため、利用した世帯の平均を1日あたりに直すと約1650円(5万1110円÷31日)です。「毎月5万円も使っていないから少ない」と受け止める必要はなく、ネットを利用した月の目安のひとつと考えるのが適切です。
3.2 注意点2|増減率は「名目」で、物価の変動を除いていません
公表資料の増減率は、物価の変動を考慮しない名目増減率です。そのため、利用1世帯あたりの支出額の2.6%増には、価格上昇による支払額の増加が含まれている可能性があります。
ただし、数量の増減と価格の変化にどの程度分けられるかは、今回の公表資料からは分かりません。
3.3 注意点3|対象は二人以上の世帯で、前年同月との比較です
今回の数値は二人以上の世帯が対象で、単身世帯は含まれません。また、2026年8月と2025年8月を比べたものであり、年間の傾向をそのまま示すものではありません。
4. どの品目が減った?チケットは22.2%減、家具・家電・衣類・履物も前年を下回る
公表資料でネットショッピング支出額の増減に寄与した「主な項目」として示されているのは、いずれも前年同月から減った4品目です。名目増減率はチケットがマイナス22.2%、家具がマイナス14.9%、家電がマイナス9.3%、衣類・履物がマイナス8.3%でした。
- チケット:名目増減率マイナス22.2%、名目寄与度マイナス1.17
- 家具:名目増減率マイナス14.9%、名目寄与度マイナス0.25
- 家電:名目増減率マイナス9.3%、名目寄与度マイナス0.45
- 衣類・履物:名目増減率マイナス8.3%、名目寄与度マイナス0.64
名目寄与度は、全世帯のネットショッピング支出額の前年同月比(マイナス1.4%)に対して、その品目がどれだけ影響したかを示す値です。4品目の寄与度を合計するとマイナス2.51となり、全体の減少幅を上回ります。言い換えると、ほかの項目を合わせた分は、差し引きで約1.1ポイントのプラスだった計算です。どの品目が増えたかは、公表資料の「主な項目」には含まれていないため、本記事では特定していません。
なお、2025年の年報によると、チケットは年間で前年から16.5%増えていました。2026年8月は一転して大きく減っていますが、理由までは統計から分かりません。参考として、2025年の年報では、ネットショッピングの支出割合は食料が21.6%、旅行関係費が20.9%、衣類・履物が9.8%、家電・家具が7.0%でした。
5. まとめにかえて|「減った」のは利用世帯の割合、「増えた」のは使う世帯の支出
2026年8月分の「家計消費状況調査」では、ネットショッピングを利用した世帯の割合が54.9%に下がる一方、利用した1世帯あたりの支出額は5万1110円に増えました。全世帯で平均すると支出額は2万8042円で、前年同月から1.4%減っています。「ネット通販離れ」とも「利用の拡大」とも言い切れず、どの数字を見るかで印象が変わる結果といえます。
まずは直近1カ月の注文履歴やカード明細を開き、自宅のネット通販の支出が5万1110円や2万8042円と比べてどの程度かを確認してみてはいかがでしょうか。そのうえで、品目ごとに必要だった支出と見直せる支出を分けて眺めると、家計管理のヒントが見えてくるはずです。
物価高が続くと、「ネット通販もそろそろ控えなきゃ」と思う場面が増えますよね。でも、ネット通販は買い物の時間や手間を減らしてくれる心強い存在でもあるので、ゼロにすることだけが節約ではありません。
おすすめは、直近1カ月の注文履歴やカード明細を、気軽に眺めてみることです。「これは必要だった」「これはつい買ってしまった」と、付せん感覚で仕分けするだけで十分です。平均額はあくまでものさしのひとつなので、多くても少なくても気にしすぎなくて大丈夫。
家族の人数や暮らし方で、ちょうどいい使い方は変わります。ご家庭に合ったペースを、無理なく見つけていきましょう。定期的に買っているものがあれば、今も必要かどうか見直してみるのもひとつの手です。
参考資料
- 総務省統計局「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯)-2026年(令和8年)8月分結果-」令和8年10月9日
- 総務省統計局「2025年 家計消費状況調査 結果の概況」
- 総務省統計局「統計メールニュース No.1860」2026年5月12日(2026年3月分)
- 総務省統計局「統計メールニュース No.1870」2026年6月5日(2026年4月分)
- 総務省統計局「統計メールニュース No.1885」2026年8月7日(2026年6月分)
- 総務省統計局「統計メールニュース No.1897」2026年9月4日(2026年7月分)
- 総務省統計局「家計消費状況調査」
池上 翠
