「夫婦仲が悪くてストレスばかりがたまる」「配偶者と一緒の時間が苦痛だ」。このような状態が続いていれば、自然と「離婚」という選択肢が思い浮かぶのではないでしょうか。
とくに、配偶者の浮気が発覚したという場合は、冷静ではいられないかもしれません。「一刻も早く離婚届を出したい」と考える人もいるでしょう。
とはいえ、離婚したあとの生活にもお金がかかります。離婚して幸せをつかむ人も少なくありませんが、若いシングルマザーや熟年離婚をした高齢者が貧困に陥りやすいことも広く知られています。
「離婚したい!」と思ったら、一度冷静になってお金のことについて真剣に考えてみましょう。
離婚とお金の問題
離婚が決まったら、通常配偶者と財産分与について話し合うことになります。財産分与とは、「夫婦が婚姻期間中に築いた共有財産を分割できる」という民法上の権利です。離婚の原因を作った側からでも請求できるのが特徴といえるでしょう。配偶者が不倫をした場合は慰謝料、子どもがいる場合なら養育費の問題も出てきます。
財産分与や養育費、慰謝料の支払いなどについて夫婦で話し合った内容は、必ず協議離婚書にまとめておきましょう。 書類があれば後々にトラブルになったときにも、自分の身を守りやすくなります。
2019年5月10日に「改正民事執行法」が国会で可決成立したことで、今後は養育費を適切に支払わない人の財産を差し押さえやすくなると期待されています。
離婚の原因は「性格の不一致」とお金?
離婚を選んだ人のなかには、「こんなに苦労するとは思わなかった」「もう少しじっくりと話をしておけばよかった」と後悔する人もいます。不本意な結果になるのを避けるためにも、離婚に至りやすい原因を知っておきましょう。
はじめに「裁判所の司法統計(平成30年度 婚姻関係事件数)」をみていきます。裁判所が関与した離婚のうち、最も多かった離婚の動機は男女とも「性格の不一致」でした。これには、金銭感覚の違いも含まれていると考えられます。
夫からの申し立てでは「性格の不一致」が圧倒的に多くなっていますが、妻からの申し立てでは「生活費を渡さない」という動機も非常に多く、第2位にランクインしています。
つぎに、明治安田生活福祉研究所が実施した「2018年人生100年時代の結婚に関する意識と実態」の結果をご紹介します。
40~64歳の男女1万2000人に結婚生活に対する不満な点や離婚の理由をたずねたところ、「性格・価値観の不一致」が男性の5~6割、女性の4~5割を占めてトップになりました。第2位は「金銭的な問題」で、男性の2割、女性の2~4割がこれを選びました。
離婚を避けたいなら、配偶者の「お金の不平や不満」を放置しないことが重要なのかもしれませんね。