定年をきっかけに卒婚を選ぶ熟年夫婦も増えています。卒婚とは、「離婚はしないが必要以上に配偶者に干渉しない」「自分のライフスタイルを自由に楽しむ」という夫婦のあり方です。相続権はそのままなので子どもや親戚などに迷惑をかける心配がなく、同居・別居を問わないため離婚ほど「おおごと」になりにくいのがメリットといえるでしょう。

先にみた明治安田生活福祉研究所の調査によると、60代前半の男性の61.4%、女性の78.7%が卒婚を「良い」「どちらかと言えば良い」と感じていることが分かりました。 

卒婚の生活費

卒婚は、「身の回りの世話をしてもらうこと」や「生活費をもらうこと」を当たり前だと思わない、自立した夫婦のスタイルを理想としています。それぞれに収入がある夫婦なら、卒婚はスムーズに進むでしょう。

一方、収入がない専業主婦などが卒婚を希望する場合は、生活費の問題を解決しなくてはなりません。配偶者にお金を出してもらうか、離婚をするときのようにあらかじめ財産分与をするのが一般的ではないでしょうか。

「家事はしないが生活費は出してほしい」という条件では卒婚に同意してもらえるとは限らないので、あらかじめ「貯蓄をする」「仕事を見つける」などの準備をしておくと良いでしょう。

また、法的には婚姻関係が継続されるので、不倫をすると裁判沙汰になる可能性もあります。 卒婚で失敗したくないなら、「どこまでの自由が認められるのか」「生活費はどうするのか」などの問題について、しっかり夫婦で話し合って文書を作っておくことをおすすめします。 

冷静になる時間を作ろう 

夫婦関係がうまくいかず、「離婚するしかない」と思ったとしても、まずは冷静になることが大切です。日数を置くことで、「離婚するほどの問題でもなかったな」と思えることもあるでしょう。感情に任せて離婚届を出してしまうと、貧困に陥るリスクも高まります。

別居や卒婚を利用するなどして、お互いに少し距離を置いてみるのも良い方法です。「離れてみてはじめて、相手の良さを再認識できた」という人も決して少なくありません。

LIMO編集部