4. 年末調整のない給与2000万円超の人が、確定申告で自分で手続きすること
給与が2000万円を超える人は、年末調整で勤務先が代わりに行っていた手続きを、確定申告で自分で行うことになります。
4.1 毎月の給与から差し引かれた所得税は、確定申告で精算する
年末調整の対象外でも、毎月の給与や賞与からは所得税が源泉徴収されています。確定申告では1年間の所得税額を計算し、源泉徴収された税額との差額を納めるか、還付を受けます。
確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄が、その年に給与から差し引かれた所得税の合計です。
4.2 生命保険料控除や地震保険料控除は、証明書をもとに確定申告で差し引く
年末調整を受ける人は、勤務先に保険料控除の申告書を出せば、生命保険料控除や地震保険料控除が反映されます。年末調整の対象外の人は、保険会社から届く控除証明書をもとに、確定申告書で控除を受けます。
控除証明書は秋ごろに届くことが多いので、確定申告の時期まで1か所にまとめて保管しておくと、申告のときに探さずに済みます。
5. 給与所得控除は給与の収入850万円超で195万円が上限
給与所得は、給与の収入金額から給与所得控除を差し引いて計算します。給与所得控除は収入が多いほど大きくなりますが、上限があります。
5.1 給与の収入2500万円なら、給与所得は2305万円
国税庁によると、給与の収入金額が850万円を超える場合の給与所得控除は195万円です。給与の収入が2500万円の人なら、2500万円から195万円を差し引いた2305万円が給与所得になります。
5.2 23歳未満の扶養親族がいる場合などは所得金額調整控除がある
給与の収入金額が850万円を超える人で、本人が特別障害者の場合や、23歳未満の扶養親族がいる場合などは、所得金額調整控除を受けられます。控除額は、給与の収入金額(1000万円を超える場合は1000万円)から850万円を差し引いた額の10%で、最大15万円です。
年末調整の対象外の人は、この控除も確定申告で差し引きます。子どもの年齢などの条件にあてはまるかどうかを、申告の前に確かめておきましょう。
6. 給与が大きく増えた年は、翌年6月からの住民税も増える
銀行でお金のご相談を受けていた頃、昇給や賞与で収入が増えた翌年に、手取りが思ったほど増えないという声を聞くことがありました。住民税の仕組みを知っておくと、その理由が分かります。
6.1 給与から天引きされる住民税は、前の年の所得をもとに6月から翌年5月まで
給与所得者の住民税は、前の年の所得をもとに計算され、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から差し引かれるのが一般的です。給与が大きく増えた年の住民税は、翌年6月以降の給与から差し引かれることになります。
6.2 確定申告で納める所得税と翌年の住民税の分を、先に分けておく
年末調整がない人は、確定申告で所得税を追加で納める場合もあります。給与や賞与が入った口座から、確定申告で納める分と翌年の住民税が増える分を別の口座に移しておくと、納付の時期に慌てずに済みます。
7. まとめ
令和7年分の民間給与実態統計調査では、1年を通じて勤務した給与所得者5163万人のうち、年間給与2500万円超は19万6000人、2000万円超は36万3000人でした。2500万円超は男性が17万8000人、女性が1万8000人です。
給与の収入が2000万円を超えると年末調整の対象外になり、確定申告が必要です。源泉徴収票と控除証明書をそろえ、翌年の住民税の分も見込んでおきましょう。
参考資料
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」
- 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.1411 所得金額調整控除」
中本 智恵