4. 漏えいの連絡が来たら確認したい注意点は3つ
利用中のサービスから漏えいの連絡が届いたら、慌てて動く前に押さえておきたい視点があります。ここでは、確認しておきたい注意点を3つに整理しました。
4.1 注意点1:「番号だけ」と「番号+パスワード関連情報」ではリスクが違う
1つ目は、漏えいした情報の「組み合わせ」によってリスクが変わる点です。ブックオフの事案では、ポイントカード番号に加えてパスワードのハッシュ値も対象に含まれていました。
ハッシュ値とは、パスワードを元に戻せない形に変換した値を指します。ただし、変換の方式やパスワードの単純さによっては、元のパスワードを推測されるおそれも否定できません。
一方、第一興商の事案ではパスワードは対象外で、同社も漏えいした情報だけでは不正利用できないと説明しています。何と何が漏れたのかを見極めることが、危険度を判断する第一歩です。
4.2 注意点2:ポイントより先に警戒したい「なりすまし連絡」
2つ目として、漏えいした連絡先を悪用した偽のメールやSMSへの警戒が挙げられます。お詫びや本人確認を装い、パスワードやカード番号を聞き出そうとする手口が考えられるためです。
国民生活センターは2023年11月、「そのURLのクリック、ちょっと待って!フィッシング対策のチェックリスト」を公表しました。メールやSMSのリンクを安易に開かないよう、注意を呼びかけています。連絡が届いたら記載のリンクは開かず、公式サイトや公式アプリから内容を確かめましょう。
4.3 注意点3:【盲点】パスワードの使い回しで、他社のポイントも危うくなる
3つ目は見落とされやすい点で、パスワードの使い回しです。ある事業者から漏れたIDとパスワードの組み合わせを使い、別のサイトへのログインを試みる手口があります。
infoQの事案でも、同社は同じパスワードを他のサービスで使っている利用者に変更を呼びかけました。漏えい元だけでなく、ほかのポイントサイトや通販サイトのパスワードも見直しておきましょう。
5. 漏えい報告はどれくらい増えている?個人情報保護委員会の統計と「使っていない会員登録」の見直し
個人情報保護委員会は2026年9月2日、「令和8年度第1四半期における漏えい等報告の処理状況」を公表しました。それによると、同四半期に処理した漏えい等報告は官民あわせて6101件です。
このうち民間の個人情報取扱事業者からの報告は5451件で、前年同期の5007件から444件増えています。「不正の目的」による事案は1450件(26.6%)で、前年同期の1136件(22.7%)から314件増えました。
クレジットカード番号の漏えいなど「財産的被害が生じるおそれ」がある事案は1093件で、全体の20.1%でした。
個人情報取扱事業者の漏えい等報告と「不正の目的」による事案の件数(令和7年度・令和8年度の各第1四半期)3/3
出所:個人情報保護委員会「令和8年度第1四半期における漏えい等報告の処理状況」をもとにLIMO編集部作成
なお、1つの事案が複数の類型に当てはまる場合があり、割合を足すと100%を超えます。また、2026年10月に公表された事案はこの集計期間に含まれていません。
同委員会は2026年10月7日、「大規模な漏えい等事案を踏まえた対応について(注意喚起)」も公表しました。その中で、不要になった個人データの削除などを事業者に求めています。
事業者向けの要請ですが、利用者にとっても、放置している会員登録を見直すきっかけになるでしょう。何年もログインしていないサービスにも、氏名や連絡先が残っている場合があります。
使っていない会員登録は、残ったポイントを使い切ったうえで退会を検討してみてください。
6. まとめにかえて|ポイントを守る第一歩は、規約と登録情報の棚卸しから
相次ぐ漏えいのニュースに不安を覚えたときは、次の3つのステップで落ち着いて行動してみましょう。
- 公式サイトのお知らせと個別連絡を確認する:メールのリンクは開かず、公式サイトや公式アプリで発表内容を確かめます。
- 会員規約の補償に関する条項を確認する:不正利用があった場合の取り扱いが、どう定められているかを把握しておくと安心です。
- 使っていない会員登録を整理する:長く放置しているサービスは、ポイントを使い切って退会することも選択肢になります。
ポイントは現金と同じように法律で守られているわけではないため、自分で管理する意識が欠かせません。
身に覚えのないポイント利用や不審な連絡があった場合は、消費者ホットライン「188」に相談してみましょう。
相次ぐ漏えいのニュースを見て、手元のポイントが心配になるのは自然なことです。ただ、不安を感じたときこそ、自分が使っているサービス全体を見直す好機ととらえてみてはいかがでしょうか。
財布やスマートフォンのアプリを開いてみると、何年も使っていないポイントカードが見つかるかもしれません。残高があれば日々の買い物で使い切り、必要のない会員登録は退会しておくと、個人情報を預けている先を減らせます。
あわせて、同じパスワードを使い回しているサービスがないかも確かめてみましょう。一度にすべてを整えようとせず、よく使うサービスから順番に手を付ければ十分です。
ポイントは、日々の暮らしの中でコツコツ積み上げてきた大切な資産といえるでしょう。守るための主導権は、ほかでもない自分自身が握っています。週末の少しの時間を使って、身の回りのポイントと会員登録の棚卸しを始めてみてください。
参考資料
- ブックオフグループホールディングス「不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ」(2026年10月9日公表)
- 第一興商「委託先における個人情報漏えいのおそれについて」(2026年10月8日公表)
- GMOリサーチ&AI「当社が運営するアンケートサイト「infoQ」への不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ」(2026年10月5日公表)
- 日本資金決済業協会「前払式支払手段 基準日未使用残高等FAQ」
- 金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 5 前払式支払手段発行者関係)」
- 個人情報保護委員会「令和8年度第1四半期における漏えい等報告の処理状況」(2026年9月2日公表)
- 個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」
- 個人情報保護委員会「大規模な漏えい等事案を踏まえた対応について(注意喚起)」(2026年10月7日公表)
- 国民生活センター「そのURLのクリック、ちょっと待って!フィッシング対策のチェックリスト」
