4. 後期高齢者医療に入ると「マル障」から外れる人も

75歳になると、それまでの国民健康保険や会社の健康保険から、全員が後期高齢者医療に移ります。このときに確認したいのが、マル障の扱いです。

4.1 75歳以降は住民税の課税で分かれる

東京都では、後期高齢者医療の被保険者で住民税が課税されている人は、マル障の対象外です。65歳になる前から受けていた人でも、この条件に当てはまると助成は続きません。

対象から外れるのは、住民税が課税されている人に限られます。後期高齢者医療に移る前に、本人の住民税が課税か非課税かを確かめておくと、その後の医療費の見通しが立てやすくなります。

4.2 65〜74歳でも後期高齢者医療に入れる

後期高齢者医療には、65〜74歳で一定の障害がある人が申請して加入できる「障害認定」の仕組みもあります。たとえば大田区では、マル障の案内と並べて、希望すれば後期高齢者医療に加入できると紹介しています。

住民税が課税されている人がこれを選ぶと、後期高齢者医療の被保険者になるため、マル障からは外れます。窓口負担や保険料がどう変わるかを、区市町村の窓口で確かめてから決めましょう。

5. 京都府では逆。後期高齢者医療に入ると「健管」で助成

同じ重度心身障害者医療でも、京都府は後期高齢者医療との関係が東京都と逆になっています。65歳以上の人は、後期高齢者医療に入っていることが助成を受ける前提です。

5.1 65歳を境に制度の名前が変わる

京都府では、65歳未満の人は「重度心身障害者医療」の対象です。65歳以上で後期高齢者医療の対象になっている人は「重度心身障害老人健康管理事業」に移ります。

筆者が京都府内の自治体で働いていた頃は、窓口でこれを「健管(けんかん)」と略して呼んでいました。健管では、後期高齢者医療の窓口負担にあたる額が助成されます。

本人または扶養する人の所得が、特別障害者手当を受けられる額を超えないことも条件です。対象になる障害の程度は、身体障害者手帳1級・2級、知能指数がおおむね35以下の知的障害、精神障害者保健福祉手帳1級などです。

後期高齢者医療に入ったときの扱いは、東京都と京都府で逆になる3/3

東京都のマル障と京都府の健管について、制度の名前、65歳以上の扱い、後期高齢者医療に入ったときの扱い、65〜74歳の障害認定を比べた表

出所:東京都福祉局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」、京都府「高齢者の医療制度」、京都市「【福祉医療】重度心身障害者医療費支給制度」を参考にLIMO編集部作成

5.2 65〜74歳は後期高齢者医療を選べる

京都府でも、65〜74歳で一定の障害がある人は、申請して障害認定を受けると後期高齢者医療に加入できます。加入すれば健管の対象になり、加入しなければ65歳未満と同じ重度心身障害者医療で助成を受けます。

後期高齢者医療の保険料を計算していた頃、「後期を選んだほうがいいのか」という相談を受けることがありました。保険料などを試算して比べてみると、後期を選んだほうが得になるケースが多かったのを覚えています。

ただし、後期高齢者医療には扶養の仕組みがありません。家族の健康保険で扶養に入っていた人は、加入すると本人が保険料を納めることになります。

京都府後期高齢者医療広域連合によると、障害認定で加入した人は、75歳になるまでなら撤回届を出してやめることもできます。とはいえ、選ぶ前に市区町村の窓口で両方の負担を試算してもらうと安心です。

5.3 健管の対象者証はシールから紙へ

筆者が働いていた頃は、健管の対象になった人に専用のシールを渡し、後期高齢者医療の被保険者証に貼ってもらっていました。

その被保険者証は、2024年12月2日以降は新たに発行されなくなりました。京都府ではこれにあわせて、新しく交付する健管の対象者証をシール形式から紙の形式に変えています。

シールを使っていた人にも、2025年8月の更新のときに紙の対象者証が交付されました。府内の医療機関では、マイナ保険証や資格確認書など健康保険の資格を確認できるものと一緒に、対象者証を窓口に出します。

6. まとめにかえて

重度心身障害者医療は、住んでいる都道府県によって名前も仕組みも違います。東京都のマル障は65歳の前日までの申請が条件で、後期高齢者医療に入ると住民税が課税の人は外れます。

一方の京都府では、65歳以上は後期高齢者医療に入っていることが健管の前提です。同じ「後期高齢者医療に入るかどうか」という選択でも、地域によって結果が逆になります。

まずは「都道府県名」と「重度心身障害者医療」で調べて、住んでいる地域の制度の名前を確かめてみてください。そのうえで、家族が65歳や75歳を迎える前に、市区町村の障害福祉の窓口や後期高齢者医療の窓口で扱いを聞いておくと安心です。

参考資料

太田 彩子