障害のある親やきょうだいの通院が続くと、毎月の医療費が気になるものです。

重い障害がある人には、窓口で払う医療費を都道府県と市区町村が助成する仕組みがあります。一般には「重度心身障害者医療」と呼ばれ、東京都では「マル障」の名前で知られています。

この記事では、2026年9月から変わったマル障の所得制限と、65歳・75歳の節目に家族が確認しておきたいことを見ていきます。

1. 重度心身障害者医療とは?東京都では「マル障」と呼ぶ

重度心身障害者医療は、全国で同じ内容の国の制度ではありません。都道府県が市区町村と一緒に行っている医療費の助成で、名前も中身も地域ごとに違います。

東京都での正式な名前は「心身障害者医療費助成制度」で、通称が「マル障」です。まずは対象になる人と、窓口で払う金額から確認します。

1.1 マル障の対象になる人

東京都内に住所があり、次のいずれかに当てはまる人が対象です。

  • 身体障害者手帳1級・2級(心臓・じん臓などの内部障害は3級も含む)
  • 愛の手帳1度・2度
  • 精神障害者保健福祉手帳1級

本人の所得には制限があり、年齢についても決まりがあります。どちらもこのあと詳しく取り上げます。

1.2 窓口で払う金額

住民税が課税されている人は、医療費の1割を窓口で払います。通院は月1万8000円、入院は月5万7600円が上限です。

通院には年間の上限もあり、8月1日から翌年7月31日までで14万4000円です。入院で上限に達した月が過去12か月に3回以上あると、4回目からは上限が4万4400円に下がります。

住民税が非課税の人は、医療費の窓口負担がありません。払うのは、入院したときの食事代などの決まった額だけです。

たとえば70歳未満の人が、通院で1か月10万円の医療費がかかったとします。ふだんの3割負担なら3万円ですが、マル障があれば課税の人は1万円、非課税の人は0円になります。

通院で1か月の医療費が10万円かかった場合の窓口負担(70歳未満)1/3

医療費10万円の通院で、マル障がないと3万円、マル障があると住民税課税の人は1万円、非課税の人は0円になることを示す棒グラフ

出所:大田区「心身障害者(児)医療費の助成(マル障受給者証)」を参考にLIMO編集部作成

2. 【2026年9月から】マル障の所得制限は扶養親族0人で375万8000円に

マル障には、本人の所得による制限があります。受給者証は毎年9月1日に切り替わり、2026年9月1日からは新しい基準額が使われています。

扶養親族がいない人の場合、それまでの366万1000円から「375万8000円」に変わりました。扶養親族が1人増えるごとに38万円が加わる仕組みは同じです。

マル障の所得制限の基準額は、扶養親族の数にかかわらず9万7000円上がった2/3

マル障の所得制限の基準額を扶養親族0人から5人まで、2026年8月31日までと9月1日からで比べた表

出所:東京都福祉局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」、目黒区「心身障害者・心身障害児医療費助成(マル障)」を参考にLIMO編集部作成

【2026年9月1日からの基準額】

  • 扶養親族0人:375万8000円
  • 扶養親族1人:413万8000円
  • 扶養親族2人:451万8000円
  • 扶養親族3人:489万8000円
  • 扶養親族4人:527万8000円
  • 扶養親族5人:565万8000円

6人以上は、1人増えるごとに38万円を加えます。

2.1 どの年の所得で判定するのか

1月から8月に申請すると前々年の所得、9月から12月に申請すると前年の所得で判定します。2026年9月1日から2027年8月31日までの基準額は、2025年中の所得に当てはめるものです。

比べるのは年収そのものではありません。住民税の対象になる所得から、さらに各種の控除を差し引いた額で判定するのです。

3. 65歳の前日までに申請しないとマル障は使えない

マル障でいちばん見落としやすいのが、年齢のルールです。東京都の案内では、次のような人は申請できません。

3.1 申請できない3つのケース

  • 65歳以上になってから、はじめて対象の障害の程度になった人
  • 65歳になる日の前日までに、マル障を申請しなかった人
  • 後期高齢者医療の被保険者で、住民税が課税されている人

2つ目には例外があります。65歳になる前に都内に住所がなかった人や、生活保護を受けていた人など、申請できなかった事情がある場合は除かれます。

手帳を持っていても、65歳の前日までに申請していなければ、その後は対象になりません。障害の程度が重くなったのが65歳を過ぎてからの場合も同じです。

3.2 家族がいまのうちに確認したいこと

障害のある家族が60歳代前半なら、次の3つを確かめておくと安心です。

  • 手帳の種類と等級が、マル障の対象に入っているか
  • マル障の受給者証をすでに持っているか
  • 65歳の誕生日はいつか(申請はその前日まで)

申請の受付は、区市役所・町村役場のマル障の窓口です。迷うことがあれば、65歳になる前に窓口で相談しておきましょう。

太田 彩子

重度心身障害者医療は都道府県ごとに名前も仕組みも違うため、同じ手帳を持っていても住む場所で扱いが変わります。65歳と75歳は医療保険が切り替わりやすい時期なので、その前に窓口で確かめておくと安心です。