3. 新しいタイプの富裕層「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」

野村総合研究所は同じ推計の公表で、これまでとは異なる道筋で富裕層になる層として、2つのタイプを挙げています。

3.1 いつの間にか富裕層は、株式相場の上昇で運用資産が1億円を超えた会社員など

「いつの間にか富裕層」は、近年の株式相場の上昇で運用資産が急増し、富裕層になった層です。主に40歳代後半から50歳代の会社員で、従業員持株会、確定拠出年金、NISAを活用して運用資産が1億円を超えたケースが多いとされています。

生活スタイルは従来と大きく変わらず、マス層に近い特徴があるとされます。

3.2 スーパーパワーファミリーは、世帯年収3000万円以上の大企業共働き世帯に代表される層

「スーパーパワーファミリー」は、都市部に住む世帯年収3000万円以上の大企業共働き世帯に代表される層です。40歳前後に世帯年収が2000万円を超えてから金融資産が急速に積み上がり、50歳前後で富裕層になる可能性があるとされています。

年収が高い世帯でも、資産が積み上がるまでには時間がかかります。家計調査で年収の高い第Ⅴ階級の負債が大きいことと、あわせて読むことができます。

4. 世帯年収1200万円以上の二人以上世帯は、金融資産5635万円のうち債券・株式・投資信託が50.0%

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査2025年」から、二人以上世帯の年間収入別の金融資産保有額と、その内訳を確認します。

4.1 世帯年収別の金融資産保有額、1200万円以上は5635万円

金融資産を保有していない世帯を含めた金融資産保有額の平均は、年間収入別に次のとおりです。

  • 全体:1940万円
  • 収入はない:634万円
  • 300万円未満:858万円
  • 300〜500万円未満:1431万円
  • 500〜750万円未満:1755万円
  • 750〜1000万円未満:2222万円
  • 1000〜1200万円未満:2725万円
  • 1200万円以上:5635万円

4.2 年収1200万円以上の世帯は株式1792万円・預貯金1649万円

世帯年収1200万円以上の金融資産5635万円の内訳を見ると、株式が1792万円でもっとも多く、預貯金1649万円、投資信託682万円、債券343万円と続きます。

債券・株式・投資信託を合わせると2817万円で、金融資産保有額の50.0%です。年収1000〜1200万円未満の世帯では、この3つの合計は955万円で、金融資産保有額の35.0%でした。

5. わが家の純金融資産を、富裕層の定義と同じ計算で出してみる

富裕層の基準になる純金融資産は、わが家の数字でも同じ考え方で計算できます。

5.1 金融資産の合計から住宅ローンなどの残高を引く計算例

たとえば、預貯金と証券口座、保険などの金融資産が合計2878万円、住宅ローンなどの負債が1335万円の世帯なら、純金融資産は1543万円です。純金融資産1億円の富裕層の基準までは、8457万円の差があります(家計調査の第Ⅴ階級の平均を当てはめた計算例)。

証券口座の残高は値動きで変わるため、金融資産の合計は、住宅ローンの残高と同じ日付の数字をそろえて計算します。

5.2 預貯金で住宅ローンを繰上げ返済しても、その時点の純金融資産は変わらない

預貯金を使って住宅ローンを繰上げ返済すると、貯蓄と負債が同じ額だけ減るため、差し引いた純金融資産はその時点では変わりません。違いが出るのは、その後に払う利息の額や、手元に残る預貯金の額です。

繰上げ返済をするか、預貯金や運用に残すかは、ローンの金利と、教育費などで近いうちに必要になるお金を並べて決めると判断しやすくなります。

6. まとめ

野村総合研究所の推計では、純金融資産1億円以上の富裕層・超富裕層は2023年に165万3000世帯でした。家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均では、年間収入952万円以上の第Ⅴ階級の貯蓄は2878万円に上がりましたが、負債1335万円を差し引くと1543万円で、年収346万円未満の第Ⅰ階級との差は68万円です。

年収の高さと資産の大きさは同じではありません。わが家の金融資産と負債を同じ日付で並べ、差し引いた額を年に一度確かめてみてはいかがでしょうか。

参考資料

宮野 茉莉子