「富裕層」というと、純金融資産が1億円以上の世帯数のように、資産の大きさで語られることが多くなっています。

では、1年間の所得が1億円を超えた人はどれくらいいるのでしょうか。国税庁の「令和6年度 統計年報」によると、令和6年分の所得が1億円を超えて確定申告をした人は、全国で「3万8000人」でした。

このうち東京都が1万5397人で、全国の約4割を占めます。最も少ない鳥取県は37人です。

意外なのは所得の中身です。所得1億円超の人のうち、給与所得者に区分される人は1万1706人で、全体の約3割にとどまります。

この記事では、都道府県別の人数と所得の階級ごとの人数を確かめ、高い所得がどんな所得から生まれているのかを見ていきます。

宗形 佑香里
「富裕層=高い給与をもらっている人」と思われがちですが、統計を見ると、所得1億円超の人の多くは給与以外の所得が中心です。資産の大きさだけでなく、その資産から毎年どんな所得が生まれているかに目を向けると、見え方が変わってきます。

1. そもそも「申告所得税の統計」で分かること。資産ではなく1年の所得で見る

国税庁の統計年報は、国税の課税の状況などを毎年まとめた資料です。このうち申告所得税の章は、令和6年1月1日から12月31日までの所得について、令和7年3月31日までに申告または処理をした人を、全数で集計しています。

そのため、給与所得者のうち、源泉徴収で納税が済んで確定申告をする必要がない人は、集計の対象に含まれていません。令和6年分の申告者は全国で2336万2184人です。

ここでいう所得は、収入や売上ではなく「総所得金額等」です。給与・事業・不動産・配当・雑などの所得に、分離課税の譲渡所得や株式等の譲渡所得、退職所得なども加え、損益通算などをしたあとの金額を指します。

つまり、株や不動産を売って利益が出た人も、その利益を含めた所得の大きさで階級に分けられています。

なお、申告して納める税額がある人に絞ると、所得1億円超は3万2244人です。どの範囲を数えるかによって人数は変わるため、ほかの資料と比べるときは数え方を確かめる必要があります。

2. 所得1億円超は全国3万8000人。あなたの県では何人?

所得1億円超で確定申告をした人を都道府県別に並べると、次のとおりです。

所得1億円超で確定申告した人は東京都の1万5397人が最多で、最も少ない鳥取県は37人1/3

令和6年分の所得が1億円を超えて確定申告した人の数を都道府県別に多い順に並べた表。東京都1万5397人、神奈川県3386人、大阪府2513人、愛知県2326人から、島根県53人、鳥取県37人まで

出所:国税庁「令和6年度 統計年報 2 申告所得税 2 所得階級別人員」をもとにLIMO編集部作成

東京都の1万5397人に、神奈川県の3386人、大阪府の2513人、愛知県の2326人が続きます。

1000人を超えるのは、東京都・神奈川県・大阪府・愛知県・埼玉県・千葉県・兵庫県・福岡県の8都府県です。一方、100人に届かない県は13県ありました。

順位を見ると、沖縄県が321人で16位に入り、長野県の291人や新潟県の180人を上回っています。人数には地域の人口や産業の違いも表れていると考えられます。

自分の住む県の人数を全国の3万8000人と比べると、高い所得の人がどれだけ大都市に集まっているかが見えてきます。