昨今、「愛着形成」や「愛着障害」という言葉をよく耳にするようになりました。養育者が深い愛情を持って子どもを大事に育てることが、子どもの脳の発達だけでなく、将来にも大きく影響するという考え方です。

幼少期に愛着形成がうまくなされなかった子どもは、自己肯定感が低いために対人コミュニケーションがうまくできなかったりストレスに過敏な体質になったりするので、社会生活をうまく送れないこともあると言います。

保育園に預けていない間は1歳3カ月の子どものワンオペ育児をしている筆者は、平日の夜や土日にふと苦しくなる時があります。

普段からなるべく、「生まれて来てくれてありがとう」「愛してるよ」と言いながらぎゅっと抱きしめたり両親が仲の良い姿を見せたりするように気をつけています。また、忙しい夫のことを子どもが父親として信頼できるように育てることもワンオペ妻にとっては名もなき育児。平日には子どもと顔を合わせることがほとんどない夫が、なんとかして子どもとたくさんコミュニケーションを取れるように調整して愛着が生まれるように頑張っている筆者のようなワンオペ妻も多いでしょう。

しかし、いくらやっても「これで愛情は十分に伝わっているのだろうか」「愛着障害にならないようにもっとやってあげられることがあるのでは」と自問自答してしまいます。「愛着形成のために」と言っても終わりも正解もないために、常に「やってもやっても足りない」という常に不安な状態になってしまうのです。

授乳やオムツ替えなど名のあるタスクをこなし、「死なせないように」身の安全を確保するだけでは足りない、この愛着形成も名もなき育児の一つではないでしょうか。

育児も家事同様に名前のないやるべきことが多すぎる

家事同様に、わかりやすく名前の付いたことよりも、名前の付いていない見守りや安全確認などがあまりにも多いのが育児。むしろ、名前が付いていないものの方が子どもの命や将来に大きく関わってくるとも言えます。

だからこそ、子どもは絶対的に母親一人だけではなく両親二人で育てることが大事なはず。さらには祖父母や地域、保育園、ベビーシッター、行政サービスなどとともに育てることがスタンダードになることで、今現在子育てで追い詰められている母親が一人でも減っていくのではないかと思います。

秋山 悠紀