3. 高額療養費の世帯合算ができない3つのケース
高額療養費の世帯合算は、同じ医療保険の被保険者と被扶養者が、同じ月に払った自己負担を合わせる仕組みです。そのため、家族であっても合算できない場合があります。
3.1 共働きで、夫婦がそれぞれ別の健康保険に入っている
協会けんぽの世帯は、協会けんぽの被保険者とその被扶養者です。夫が協会けんぽ、妻が勤め先の健康保険組合にそれぞれ被保険者として加入している場合、夫婦の自己負担は合算できません。
この場合は、夫は夫の被扶養者の分と、妻は妻の被扶養者の分と、それぞれの保険で合算します。子どもがどちらの扶養に入っているかで、合算できる相手が変わります。
3.2 75歳以上の家族は、後期高齢者医療制度で別に計算する
75歳になると後期高齢者医療制度に加入し、協会けんぽなどの被保険者や被扶養者ではなくなります。同居している75歳以上の親の自己負担は、会社員の子どもの健康保険の世帯合算には入りません。
後期高齢者医療制度の高額療養費は、後期高齢者医療制度の中で、同じ世帯の加入者の分を合わせて計算します。
3.3 月をまたいだ入院は、診療月ごとに別々に計算する
高額療養費は1日から月末までの1か月単位で計算します。月末に入院して翌月に退院した場合は、入院した月と退院した月で別々に限度額と比べます。家族の受診も、同じ月の分しか合算できません。
4. 高額療養費の世帯合算は、窓口ではなく、あとからの申請で行う
マイナ保険証などを使うと、1つの医療機関の窓口で払う額は限度額までになります。ただし、窓口での限度額の適用は医療機関ごとに行われるため、家族の分を合わせた計算は窓口ではされません。
4.1 窓口で限度額までしか払っていなければ、あとから戻るのは差額
計算例で、夫がA病院の窓口で限度額の8万7940円だけを払っていた場合、夫と妻の自己負担は合計11万7940円です。世帯の限度額8万8940円との差額2万9000円が、高額療養費の申請で戻ります。
窓口で15万円を払った場合も、限度額までしか払わなかった場合も、最終的な世帯の負担は8万8940円で変わりません。
4.2 高額療養費の申請は、診療月の翌月1日から2年以内
協会けんぽでは、高額療養費の支給を受ける権利は、診療月の翌月1日から2年で時効になります。申請書は診療月ごとに1枚必要です。
世帯合算は家族の分を合わせて申請するため、家族の領収書は、受診した人と医療機関ごとに分け、さらに診療月ごとにまとめておくと、2万1000円以上かどうかを確かめやすくなります。
5. まとめ
高額療養費の世帯合算は、同じ医療保険に入る被保険者と被扶養者の自己負担を、同じ月の分だけ合わせて限度額と比べる仕組みです。70歳未満の人は、受診者別・医療機関別に2万1000円以上の自己負担が対象です。
2026年8月からの区分ウの計算例では、夫の入院と妻の通院を合算すると払い戻しは9万1060円で、夫ひとりの分より2万9000円多くなりました。共働きで別の健康保険に入っている夫婦や、75歳以上の家族の分は合算できません。申請は診療月の翌月1日から2年以内です。