4. 後期高齢者医療の「負担区分等証明書」は、転出の手続きのときに受け取る
都道府県をまたいで引っ越すときは、転出前の市区町村で後期高齢者医療の手続きをして、「負担区分等証明書」を受け取ります。転入先の市区町村に出す書類です。
4.1 負担区分等証明書を転入先に出すと、新しい資格確認書が届く
東京都文京区は、都外へ転出する人は負担区分等証明書を申請し、転出先の市町村に提出するよう案内しています。
都外から転入する人には、前の住所地で交付された負担区分等証明書などを持って届け出るよう求めています。届出からおよそ1週間で、新しい資格確認書を簡易書留で送るとしています。
4.2 特定疾病療養受療証や障害認定で加入した人は、別の証明書も必要になる
文京区は、障害認定で加入して75歳未満の人、特定疾病療養受療証を持っている人、加入前に会社の健康保険などの被扶養者だった人は、負担区分等証明書に加えて、それぞれの証明書の申請も必要だとしています。
該当するかどうかは本人でも気づきにくいので、転出の届出のときに窓口でまとめて確かめておくと、転入先での手続きが一度で済みます。
4.3 同じ世帯の顔ぶれが変わると、窓口負担割合も判定し直される
子どもと同居するなど世帯の構成が変わると、医療機関の窓口で払う負担割合の判定にも関わります。LIMOの記事「【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説 要注意!医療費は「夫婦で半分ずつ」にはならない──窓口負担《1・2・3割》の早見表&資金計画のヒント」から要点を引用して確認しておきましょう。
なお、窓口負担割合は、被保険者本人だけでなく、同じ世帯にいる後期高齢者全員の所得状況をもとに判定されます。
判定は毎年8月に定期的に見直されるほか、所得情報の変更や世帯構成に変化があった場合にも、その都度あらためて判定が行われます。
引っ越しのあとは、新しく届いた資格確認書やマイナポータルで、負担割合を確かめておきましょう。
5. 元後期高齢担当として受けた、引っ越した年の保険料の相談
保険料の計算を担当していた頃、都道府県をまたいで転入してきた方から、引っ越した年の保険料について問い合わせを受けることがありました。多かったのは次の2つです。
5.1 「保険料を二重に払っているのでは」という問い合わせ
引っ越した年度は、前の住所地と新しい住所地の両方から保険料の通知が届くことがあります。2通の通知を見て、同じ月の分を二重に払っていると受け取る方もいました。
実際には、前の住所地の分は転出した月の前月まで、新しい住所地の分は転入した月からで、期間は重なっていません。それぞれの通知で何月分の保険料かを確かめると、整理しやすくなります。
5.2 天引きが止まり、届いた納付書に気づかない
年金から天引きされていた方も、引っ越しのあとしばらくは、納付書や口座振替で納めることになります。天引きのままだと思い込み、納期限を過ぎてから気づいたという相談も受けてきました。
納め忘れが心配なら、転入先の窓口で口座振替を申し込んでおく方法があります。
6. 後期高齢者医療の手続きは、転出前と転入後の2つの市区町村に分かれる
都道府県をまたぐ引っ越しでは、後期高齢者医療について、転出前の窓口で受け取るものと転入後の窓口で聞くことが違います。次の3点を、それぞれの窓口で確かめておくと安心です。
- 転出前の市区町村:負担区分等証明書の受け取り方と、資格確認書などの返し方
- 転入後の市区町村:保険料額の通知が届く時期と、天引きが始まるまでの納め方
- 両方:特定疾病療養受療証や障害認定などで、別の証明書が必要かどうか
保険料の負担が重いと感じたときも、転入先の窓口で納め方について相談できます。
7. まとめ
後期高齢者医療の保険料率は、都道府県ごとの広域連合が決めています。令和8・9年度の均等割額は岩手県の4万8800円から鹿児島県の6万9800円まで開きがあり、年金収入250万円・単身の試算例では、東京都から福岡県へ移ると年3万636円多くなりました。
引っ越した年度の保険料は、転出した月の前月分までが前の都道府県、転入した月からが新しい都道府県の料率で計算されます。負担区分等証明書の受け取りと、天引きが始まるまでの納め方は、引っ越しの前後で窓口に確かめておきましょう。
参考資料
太田 彩子