生活保護を受けながらアパートなどを借りて暮らす場合、家賃は住宅扶助として保護費に含まれ、受け取った本人が家主に支払うのが基本です。
一方で生活保護法には、家賃にあたる分を福祉事務所が本人に代わって家主へ直接支払う「代理納付」という仕組みがあります。2025年10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法では、見守りなどのサポートが付いた「居住サポート住宅」に住む人について、事業者から通知があればこの支払い方によることが原則とされました。
この記事では、生活保護を受けている世帯の内訳と保護費の決まり方を確認したうえで、住宅扶助の代理納付のしくみを法律の条文にそって整理します。
1. 生活保護を受けている世帯は令和6年度で164万1902世帯、世帯類型は4つに分かれる
まずは厚生労働省の「被保護者調査(令和6年度確定値)」で、生活保護を受けている世帯の内訳を見ていきます。数値はいずれも1か月平均です。
1.1 生活保護を受けている人は200万8061人、保護率は1.62%
令和6年度に生活保護を受けていた人は200万8061人で、前年度より1万2515人減りました。人口100人あたりの保護率は1.62%です。
世帯の数は165万674世帯でした。このうち、保護を一時的に停止している世帯を除いた164万1902世帯について、世帯類型別の数が集計されています。
1.2 高齢者世帯が55.2%、障害者・傷病者世帯が25.1%
保護停止中を除く164万1902世帯を世帯類型別に分けると、次のとおりです。割合はいずれも164万1902世帯に対するものです。
- 高齢者世帯:90万5933世帯(55.2%)
- うち単身世帯:84万2743世帯(51.3%)
- うち2人以上の世帯:6万3190世帯(3.8%)
- 障害者・傷病者世帯:41万2849世帯(25.1%)
- その他の世帯:26万944世帯(15.9%)
- 母子世帯:6万2176世帯(3.8%)
高齢者世帯の単身世帯84万2743世帯は、生活保護を受けている世帯全体の51.3%にあたります。高齢者世帯90万5933世帯に占める割合でみると93.0%で、生活保護を受けている高齢者世帯の多くはひとり暮らしです。
2. 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額で、住宅扶助は家賃を実費で支給する
生活保護の保護費は、厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費と世帯の収入を比べて決まります。収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます。
2.1 生活保護の扶助は生活扶助や住宅扶助など8種類
最低生活費は、暮らしに必要な費用に応じて次の8つの扶助に分かれています。
- 生活扶助:食費・被服費・光熱水費など日常生活に必要な費用
- 住宅扶助:アパートなどの家賃(定められた範囲内で実費)
- 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費など
- 医療扶助:医療サービスの費用(医療機関へ直接支払われ、本人負担なし)
- 介護扶助:介護サービスの費用(介護事業者へ直接支払われ、本人負担なし)
- 出産扶助:出産費用(定められた範囲内で実費)
- 生業扶助:就労に必要な技能の修得などにかかる費用
- 葬祭扶助:葬祭費用(定められた範囲内で実費)
医療扶助と介護扶助は医療機関や介護事業者へ直接支払われますが、住宅扶助はほかの多くの扶助と同じく、お金で支給されます。
2.2 住宅扶助は世帯主などに金銭で交付するのが原則
生活保護法第33条は、住宅扶助を金銭給付で行うことを定めています。住宅扶助のための保護金品は、世帯主またはこれに準ずる人に交付するとされています。
そのため通常は、家賃分を含めた保護費を本人が受け取り、本人が家主に家賃を支払う流れになります。