5. 進学費用の預貯金は、使う前に額を確認され、使ったあとは書類で使い道を確認される

高校卒業後の進学費用に充てる預貯金について、通知の問18の2は、保有を認めたあとの確認の手順も定めています。保護の実施機関(福祉事務所)は、預貯金等を使う前にその額を確かめ、使ったあとは入学料などに使われたことを証する書類等で使用内容を確かめるとされています。

5.1 対象になるのは「事前に必要な入学料等」に限られる

問18の2が保有を認める使い道は、卒業後に専修学校・各種学校・大学で就学するために必要な経費のうち、事前に必要な入学料等に限られています。入学後にかかる費用まで広く対象にしているわけではありません。

また、通知は、大学への就学については貸与金を受けて就学する場合に世帯分離をしたうえで認めているとしています。進学の時期が近づいたら、進学後の世帯の扱いもあわせて福祉事務所に確認しておくと、手続きの順番を取り違えずに済みます。

6. 生活保護が停止・廃止されたあとの預貯金の扱いは、停止と廃止で分かれる

保有が認められた預貯金等を持ったまま保護が止まった場合については、通知の問18の3に扱いが示されています。保護の「停止」と「廃止」で結論が違います。

6.1 保護の停止中は、それまで認められていた預貯金等を保有できる

保護の停止は、おおむね6か月以内に再び保護が必要になると見込まれる場合などに行われます。停止の前に認められていた預貯金等は、停止中も保有が認められます。保護が再開されるときは、自立更生計画等により、使用目的と金額が停止前から変わっていないか、変わっていればその事情が確認されます。

6.2 保護の廃止後は使い道は本人の自由、ただし再び申請すると活用すべき資産になる

保護の廃止後は、生活保護制度の制約を受けないため、その預貯金等を何に充てるかは本人の自由とされています。

ただし、再び生活に困って保護を申請した場合、廃止前に保有が認められていた預貯金等であっても、保護開始時の要否判定では活用すべき資産として扱われます。福祉事務所はこの扱いを本人に十分説明したうえで手続きを行うとされています。

7. ためる目的と金額を書き出し、口座の動きを説明できるようにしておく

筆者が銀行で資産の相談を受けていた頃、使い道の決まったお金を生活費と同じ口座に入れたままにしていると、いつ、いくらためたのかがご本人にも分からなくなる場面をよく見てきました。

保護費をやり繰りしてためる場合も、福祉事務所が確かめるのは「どこから生じたお金か」と「何に使うお金か」です。次の3点を手元にまとめておくと、説明がしやすくなります。

  • ためる目的と、目標の金額・使う時期
  • 毎月いくらずつ残しているかが分かる通帳の記録
  • 使ったあとの領収書や、入学料などの納付が分かる書類

特に進学費用は、やり繰りを始める前の承認が原則です。ためてから相談するのではなく、目的が決まった段階でケースワーカーに伝えておくと安心です。

8. まとめ

被保護者調査(令和8年7月分概数)によると、生活保護を受けている人は196万9655人、世帯は164万4102世帯でした。

保護費のやり繰りによって生じた預貯金等は、保護開始時に保有していたものでも不正な手段で蓄えたものでもなく、使用目的が生活保護の趣旨目的に反しなければ、保有が認められます。高校卒業後の進学費用に充てる預貯金は4つの要件があり、原則としてやり繰りを始める前に承認を得ることが求められます。

保護が停止された場合は保有を続けられますが、廃止後に再び申請すると活用すべき資産として扱われます。ためる目的が決まったら、住んでいる地域の福祉事務所で扱いを確かめてみてはいかがでしょうか。

参考資料

和田 直子