3. 資産のジニ係数は金融資産が0.678、所得の0.286より大きい
全国家計構造調査では、所得や資産の偏りを示すジニ係数も公表されています。ジニ係数は0から1の値をとり、0に近いほど均等、1に近いほど偏っていることを表します。
3.1 等価金融資産残高のジニ係数は0.678、等価住宅・宅地資産額は0.622
2024年の等価可処分所得のジニ係数は0.286でした。これに対し、等価金融資産残高は0.678、等価住宅・宅地資産額は0.622と、いずれも所得より高くなっています。
「等価」とは、世帯の人数の違いをならすために、世帯の金額を世帯人員の平方根で割って調整した値のことです。
所得よりも資産のほうが、持っている世帯と持っていない世帯の差がはっきり出ていることが分かります。
3.2 年齢階級別では、金融資産のジニ係数は18~24歳の0.718が最も高い
等価金融資産残高のジニ係数を年齢階級別に見ると、18~24歳が0.718と最も高く、65~74歳が0.637と最も低くなっています。
若い世代は、まだ資産を積み上げている途中の人と、早くから運用を始めた人との差が出やすい時期です。
4. 世帯主の年齢別の純資産総額は、60歳代の4630.3万円が最も多い
純資産総額を世帯主の年齢階級別に見ると、年代ごとに資産の中身が違うことも分かります。
4.1 純資産総額は年代が上がるほど増え、60歳代でピークになる
総世帯の純資産総額は、30歳未満が423.8万円、30歳代が1117.3万円、40歳代が2085.5万円、50歳代が3376.3万円、60歳代が4630.3万円でした。70歳代は4493.5万円、80歳以上は4367.6万円です。
4.2 30歳代・40歳代は住宅・土地のための負債が1000万円前後ある
30歳代の金融負債残高は1000.6万円、40歳代は1086.3万円で、多くが住宅・土地のための負債です。この年代は住宅資産も増えますが、ローンの残高が純資産総額を押し下げています。
一方、60歳代の金融資産残高は2336.5万円で、年代別では最も多くなっています。住宅ローンの返済が進み、金融資産も積み上がった時期に純資産総額がピークを迎える形です。
5. 純資産総額で家計を見直すときに分けておきたい3つのお金
富裕層の統計を自分の家計と比べるときは、純資産総額をひとまとめにせず、中身を分けて見ると、次に何をすればよいかが見えやすくなります。
5.1 すぐに使える預貯金と、値動きのある有価証券
金融資産のうち、預貯金は必要なときにすぐ使えるお金です。株式や投資信託などの有価証券は、時価で評価額が変わります。
全国家計構造調査では、2024年の金融資産残高に占める有価証券の割合は22.8%で、2019年から6.8ポイント上がりました。評価額が増えた分は、相場によって減ることもある点を押さえておきたいところです。
5.2 自宅の土地と建物は、すぐには現金にならない
純資産総額の半分以上を占める宅地資産は、住み続ける限り現金としては使えません。純資産総額が多くても、手元で動かせるお金が少ない家計はめずらしくありません。
5.3 住宅ローンなどの負債は、残高を年に1回確かめる
負債は資産から差し引かれる側の数字です。住宅ローンの残高証明書や返済予定表で年に1回残高を確かめ、資産と並べておくと、純資産総額の動きが分かります。
6. まとめ
野村総合研究所の推計では、純金融資産1億円以上の富裕層・超富裕層は2023年に165万3000世帯でした。令和6年全国家計構造調査では、自宅の土地や建物を含めた純資産総額が1億円以上の世帯は6.4%、金融資産残高だけで7500万円以上の世帯は3.3%です。
同じ「1億円」でも、何を資産に数えるかで割合は変わります。預貯金、有価証券、自宅、負債を分けて書き出し、自分の家計がどこに当てはまるかを確かめてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「令和6年全国家計構造調査 所得に関する結果、家計資産・負債に関する結果及び年間収入・資産分布等に関する結果 結果の概要」
- 総務省統計局「令和6年全国家計構造調査 所得に関する結果、家計資産・負債に関する結果及び年間収入・資産分布等に関する結果 結果の要約」
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
宮野 茉莉子