「富裕層」と聞くと、自分とは縁のない話に感じる方も多いかもしれません。ただ、自宅の土地や建物まで含めて資産を数えると、見え方は少し変わります。
総務省統計局が2026年8月28日に公表した「令和6年全国家計構造調査」の家計資産に関する結果によると、2024年10月末日現在で純資産総額が1億円以上の世帯は、総世帯の6.4%でした。
この記事では、野村総合研究所の推計による富裕層の定義と世帯数を確認したうえで、全国家計構造調査の純資産総額と金融資産残高の分布を見ていきます。
なお、富裕層の定義に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 富裕層は純金融資産1億円以上の世帯。2023年は超富裕層と合わせて165万3000世帯
富裕層の数としてよく使われるのが、野村総合研究所の推計です。預貯金や株式、投資信託などの金融資産から負債を差し引いた「純金融資産保有額」で、世帯を5つの層に分けています。
1.1 野村総合研究所の推計では、純金融資産保有額で5つの層に分ける
野村総合研究所が2025年2月13日に公表した推計では、2023年の各層の世帯数と純金融資産総額は次のとおりです。
純金融資産1億円以上の富裕層・超富裕層は合わせて165万3000世帯です1/2
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」をもとにLIMO編集部作成
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円
- マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円
1.2 富裕層・超富裕層の世帯数は2021年から11.3%増えた
富裕層と超富裕層を合わせた世帯数は165万3000世帯で、2021年の148万5000世帯から11.3%増えました。純金融資産総額も364兆円から469兆円へ28.8%増えています。
富裕層の定義と割合については、LIMOの記事「資産1億円以上の富裕層に共通する3つの特徴!お金が自然と貯まる人の思考と行動【元FP会社職員監修】」から要点を引用して確認しておきましょう。
富裕層・超富裕層の世帯が全体に占める割合は、以下の通りです。
富裕層:約2.75%
超富裕層:約0.21%また、2023年調査の結果、富裕層・超富裕層の世帯数が2005年以降最多を更新しました。
出所:資産1億円以上の富裕層に共通する3つの特徴!お金が自然と貯まる人の思考と行動【元FP会社職員監修】
2. 令和6年全国家計構造調査でみると、純資産総額1億円以上の世帯は6.4%
全国家計構造調査は、総務省が5年ごとに行う調査です。2024年の調査では、世帯の家計資産を純資産総額として集計し、その分布も公表しました。
2.1 全国家計構造調査の純資産総額には、自宅の土地や建物も入る
全国家計構造調査の純資産総額は、金融資産残高から金融負債残高を差し引き、宅地資産と住宅資産を足した金額です。野村総合研究所の純金融資産保有額とは違い、自宅などの土地や建物も含みます。
2024年の総世帯の純資産総額は平均3156.5万円で、2019年から11.4%増えました。内訳の構成割合は、宅地資産が52.8%、純金融資産が33.4%、住宅資産が13.8%です。
2.2 純資産総額の階級別分布は、1億円以上が6.4%
純資産総額の階級別に世帯の割合を見ると、150万円未満が18.8%と最も多く、1億円以上は6.4%でした。
純資産総額が1億円以上の世帯は、総世帯の6.4%です2/2
出所:総務省統計局「令和6年全国家計構造調査 所得に関する結果、家計資産・負債に関する結果及び年間収入・資産分布等に関する結果 結果の概要」図Ⅰ-13をもとにLIMO編集部作成
【純資産総額の階級別にみた世帯の割合(総世帯・2024年)】
- 150万円未満:18.8%
- 150万円以上300万円未満:4.6%
- 300万円以上450万円未満:4.0%
- 450万円以上600万円未満:3.6%
- 600万円以上750万円未満:3.2%
- 750万円以上900万円未満:3.0%
- 900万円以上1200万円未満:5.8%
- 1200万円以上1500万円未満:5.0%
- 1500万円以上2000万円未満:7.1%
- 2000万円以上3000万円未満:11.6%
- 3000万円以上4000万円未満:8.1%
- 4000万円以上5000万円未満:5.9%
- 5000万円以上7500万円未満:8.7%
- 7500万円以上1億円未満:4.3%
- 1億円以上:6.4%
5000万円以上の3つの階級を合わせると19.4%で、およそ5世帯に1世帯です。純資産総額の中央値は1622万円で、平均の3156.5万円の約2分の1でした。
2.3 金融資産残高だけでみると、7500万円以上は3.3%
同じ調査で、土地や建物を含まない金融資産残高(貯蓄現在高)の分布も見ておきます。金融資産残高の平均は1527.2万円で、2019年から19.3%増えました。
金融資産残高の階級別では、5000万円以上7500万円未満が3.6%、7500万円以上が3.3%でした。金融資産を保有している世帯の中央値は728万円です。
純資産総額で1億円以上の世帯は6.4%ですが、自宅の土地や建物を除いた金融資産だけで見ると、7500万円以上の世帯は3.3%にとどまります。
野村総合研究所の推計では、純金融資産1億円以上の富裕層・超富裕層は165万3000世帯です。全国家計構造調査では、自宅の土地や建物を含めた純資産総額で1億円以上の世帯が6.4%でした。
自分の家の位置を確かめるときは、預貯金や有価証券の残高から住宅ローンなどの借入残高を引き、自宅の固定資産税の課税明細書に載っている評価額を参考に土地と建物を足すと、純資産総額に近い形で並べられます。
ここからは、資産の偏りを示すジニ係数と、年代ごとの純資産総額の違いを見ていきます。
「富裕層」の数字は、何を資産に数えるかで大きく変わります。自宅の価値が大きい世帯ほど、金融資産と純資産総額の差は開きます。まずは手元の金融資産と自宅を分けて書き出してみることをおすすめします。

