4. 教育訓練休暇給付金を受ける間の家計は、入るお金と出ていくお金を並べて見る
収入が一時的に減る時期の計画では、入ってくるお金だけでなく、その期間も変わらず出ていくお金を先に洗い出しましょう。教育訓練休暇給付金を使う場合も、同じ見方が役に立ちます。
4.1 教育訓練休暇給付金の給付率は、賃金日額の5〜8割
給付日額は賃金日額に給付率を掛けて計算し、給付率は賃金が低いほど高くなります。2026年8月1日からの計算式では、29歳以下から59歳までは50〜80%、60〜64歳は45〜80%です。
月給30万円の35歳の例では約63%でした。手取りの給与と比べると差は小さく見えても、毎月の給与と同じ額が入るわけではない点は押さえておきたいところです。
4.2 健康保険と厚生年金の保険料の免除は、産前産後休業と育児休業等が対象
日本年金機構が健康保険・厚生年金保険の保険料の免除として案内しているのは、産前産後休業と育児休業等の期間です。教育訓練休暇はこの中に含まれていません。
給与が出ない期間に保険料をどのように納めるかは、勤め先によって扱いが違います。休暇に入る前に、人事や総務の担当者に確認しておくと安心です。
4.3 住民税は前年の所得にかかるため、休暇中も納める
個人住民税は前年の所得をもとに課税されるので、休暇を取った年も前年分の住民税がかかります。給与から差し引かれていた住民税を休暇中にどう納めるかも、あわせて勤め先に確認しておきたい点です。
4.4 教育訓練休暇給付金は、休暇開始から30日ごとの認定を受けて支給される
教育訓練休暇給付金は、休暇開始日から30日を経過するごとにハローワークへ認定申告書を出し、審査を経て支給されます。休暇に入ってすぐに入金されるわけではないので、最初の1か月分ほどの生活費は手元に用意しておくと慌てずに済みます。
5. 教育訓練休暇給付金を受けると、それまでの雇用保険の加入期間はリセットされる
教育訓練休暇給付金を検討するときに、もう一つ知っておきたいのが、受けたあとの雇用保険への影響です。厚生労働省のパンフレットでも注意事項として挙げられています。
5.1 休暇開始日より前の被保険者期間は、なかったものとみなされる
教育訓練休暇給付金の支給を受けると、休暇開始日より前の被保険者期間や雇用保険に加入していた期間は通算できなくなります。そのため、一定期間は失業給付(基本手当)など、被保険者期間を要件とする給付を原則として受けられません。
新しい被保険者期間は休暇開始日から数え直しになります。休暇のあとに転職を考えている場合は、失業給付を受けられない期間ができることも含めて計画しておく必要があります。
5.2 育児休業給付や介護休業給付、教育訓練給付金の期間には影響しない
一方で、育児休業等給付と介護休業給付のみなし被保険者期間、教育訓練給付金の支給要件期間には影響しないとされています。休暇開始日より前の期間も、これらの給付では通算できます。
5.3 受給期間は休暇開始日から1年、過ぎると日数が残っていても受けられない
受給期間は、初回の休暇開始日から1年間です。1年を過ぎると、給付日数が残っていても支給は受けられません。妊娠や出産、病気やけがなどで30日以上教育訓練を受けられない場合は、受給期間を延長できる場合があります。
6. 教育訓練休暇給付金を使う前に、勤め先とハローワークで確かめたいこと
教育訓練休暇給付金は、事業主との合意が前提の制度です。休暇の計画を立てる前に、次の点を確かめておくと手続きが進めやすくなります。
- 勤め先の就業規則に、30日以上連続して取れる無給の休暇制度があるか
- 雇用保険の加入期間が5年以上あるか(休暇開始前にハローワークで確認できる)
- 受けたい講座や学校が、教育訓練休暇給付金の対象になるか(同じくハローワークで確認できる)
- 休暇中の健康保険・厚生年金の保険料と住民税を、どのように納めるか
- 教育訓練給付金の指定講座なら、受講費用の一部が戻る教育訓練給付金もあわせて使えるか
手続きは、事業主が事業所を管轄するハローワークに、労働者が住所を管轄するハローワークに書類を出す形で分かれています。休暇に入ってから慌てないよう、必要な書類も事前に確認しておきましょう。
7. まとめ
教育訓練休暇給付金は、雇用保険に5年以上加入している会社員が、勤め先の休暇制度を使って30日以上の無給の休暇を取って学ぶときに、基本手当と同じ計算で受け取れる給付です。給付日数は加入期間に応じて90日、120日、150日で、月給30万円の35歳なら1日6307円になります。
雇用保険事業月報では、2026年8月の受給者は101人でした。受けたあとは雇用保険の加入期間がリセットされ、休暇中も社会保険料や住民税の支払いは続きます。給付金で入るお金と出ていくお金を並べたうえで、勤め先とハローワークに相談しながら計画を立ててみてください。
参考資料
- 厚生労働省「教育訓練休暇給付金」
- 厚生労働省「教育訓練休暇給付金のご案内」
- 厚生労働省「雇用保険事業月報・年報 I 全国の状況(令和8年度)」
- 神奈川労働局「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和8年8月1日から~」
- 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」
- 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」
和田 直子