資格を取りたい、大学院や語学留学で学び直したいと思っても、仕事を休むと給与が止まることがネックになります。会社を辞めずに学ぶための休暇を取った人に、雇用保険から生活費を支える給付が2025年10月に始まりました。
厚生労働省が10月2日に公表した「雇用保険事業月報」によると、この教育訓練休暇給付金の受給者は2026年8月に101人でした。制度が始まった2025年10月の2人から、少しずつ増えています。
この記事では、教育訓練休暇給付金の対象になる人と休暇の条件、受け取れる額と日数を確認します。あわせて、雇用保険事業月報から受給者数の推移も見ていきます。
1. 教育訓練休暇給付金は、無給の休暇を取って学ぶ会社員の生活費を支える雇用保険の給付
教育訓練休暇給付金は、令和6年の雇用保険法改正で新しく設けられ、2025年10月1日に始まった給付です。厚生労働省は、労働者が離職せずに教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取って仕事から離れる場合の生活費を保障する制度だと説明しています。
1.1 対象は、連続30日以上の無給の教育訓練休暇を取る雇用保険の一般被保険者
教育訓練休暇給付金を受けられるのは、雇用保険の一般被保険者が、就業規則などにもとづいて連続30日以上の無給の教育訓練休暇を取る場合です。
65歳以上で雇用保険に加入している高年齢被保険者や、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者は対象外です。
1.2 休暇開始前に、雇用保険の加入期間が5年以上あることが必要
教育訓練休暇給付金を受けるには、次の2つの要件を両方満たす必要があります。
- 休暇開始前の2年間に、被保険者期間が12か月以上あること
- 休暇開始前に、雇用保険に加入していた期間が5年以上あること
転職などで離職した期間があっても、12か月以内なら前後の期間を通算できます。ただし、その間に失業給付などを受けていた場合は通算できません。
1.3 教育訓練休暇給付金の対象は、事業主の承認を得て取る自発的な学びのための休暇
対象になる休暇は、就業規則や労働協約などに定められた休暇制度にもとづき、本人が教育訓練のために自発的に取得を希望し、事業主の承認を得て取る30日以上の無給の休暇です。業務命令で受講させる場合は対象になりません。
教育訓練の内容は、大学や大学院、専修学校などが提供するもの、教育訓練給付金の指定講座を持つ法人が提供するもの、語学留学や海外大学院での修士号の取得などが対象として示されています。
2. 教育訓練休暇給付金の額は基本手当と同じ計算で、給付日数は加入期間に応じて90日から150日
教育訓練休暇給付金の1日あたりの額は、離職したときに支給される基本手当(失業給付)と同じ方法で計算します。給付日数は、雇用保険に加入していた期間で3段階に分かれます。
2.1 給付日額は、休暇開始前6か月の賃金をもとに計算する
給付日額は、原則として休暇開始日の前6か月の賃金から出した賃金日額にもとづいて計算します。休暇開始日の前日を離職日とみなして、失業給付と同じ計算を当てはめる仕組みです。
基本手当日額は2026年8月1日に改定され、上限額は年齢に応じて次のようになりました。
- 29歳以下:7450円
- 30〜44歳:8270円
- 45〜59歳:9110円
- 60〜64歳:7830円
2.2 給付日数は、加入期間5年以上で90日、10年以上で120日、20年以上で150日
教育訓練休暇給付金を受けられる期間は、休暇開始日から1年間です。この間であれば、休暇を何回かに分けて取った場合でも、給付日数の範囲で受け取れます。
教育訓練休暇給付金の給付日数は加入期間で3段階。月給30万円・35歳なら最大94万6050円1/2
出所:厚生労働省「教育訓練休暇給付金のご案内」、神奈川労働局「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和8年8月1日から~」を参考にLIMO編集部作成
2.3 月給30万円の35歳なら、教育訓練休暇給付金は1日6307円
月給30万円の人の場合、休暇開始前6か月の賃金は180万円で、180日で割った賃金日額は1万円です。2026年8月1日からの30〜44歳の計算式に当てはめると、給付日額は6307円になります。賃金日額に対する割合は約63%です。
この給付日額で、給付日数ごとの受取額を単純計算すると次のとおりです。
- 30日:18万9210円
- 90日(加入期間5年以上10年未満):56万7630円
- 120日(加入期間10年以上20年未満):75万6840円
- 150日(加入期間20年以上):94万6050円
月給は残業代などを含む毎月決まって支払われた賃金で計算し、賞与は含めていません。実際の額は、休暇開始前の賃金の支払い状況や年齢、休暇の認定状況で変わります。厚生労働省は、年齢と額面月収を入れて支給額を試算できる表計算のシミュレーターも公開しています。
3. 雇用保険事業月報でみる教育訓練休暇給付金の受給者は、2026年8月に101人
教育訓練休暇給付金がどのくらい使われているかは、厚生労働省の雇用保険事業月報で確認できます。10月2日に公表された2026年8月分までの数字を見ていきます。
3.1 教育訓練休暇給付金の受給者は、2026年6月に初めて100人を超えた
受給者数は、制度が始まった2025年10月は2人でした。2026年5月に63人、6月に102人と増え、7月は116人、8月は101人です。
【教育訓練休暇給付金の月別の受給者数】
- 2025年10月:2人
- 2025年11月:7人
- 2025年12月:15人
- 2026年1月:29人
- 2026年2月:28人
- 2026年3月:37人
- 2026年4月:30人
- 2026年5月:63人
- 2026年6月:102人
- 2026年7月:116人
- 2026年8月:101人
3.2 2026年8月の教育訓練休暇給付金の支給金額は約1891万円
2026年8月の支給金額は1891万4857円でした。受給者数101人で割ると、1人あたり約18万7000円になります。月ごとの受給者数と支給金額から出した単純計算で、1人が受け取る総額ではありません。
同じ月の一般教育訓練給付金の受給者は6159人です。受講費用の一部が戻る教育訓練給付金と比べると、休暇を取って学ぶ教育訓練休暇給付金の利用はまだ限られています。
教育訓練休暇給付金は、雇用保険に5年以上加入している会社員が、勤め先の休暇制度を使って30日以上学びに専念するときの生活費を支える給付です。月給30万円の35歳なら1日6307円で、加入期間に応じて90日から150日分を受け取れます。
利用には、勤め先の就業規則に休暇制度があり、事業主の承認を得ることが前提になります。自分の加入期間が要件を満たしているかや、受けたい講座が対象になるかは、休暇に入る前にハローワークで確認できます。
ここからは、休暇中の家計で見ておきたい点と、給付金を受けたあとの雇用保険への影響を整理します。
教育訓練休暇給付金は、在職中の賃金の5〜8割ほどが目安になります。休暇に入る前に、給付金で入るお金と、休暇中も出ていくお金を同じ表に並べておくと、学びに使える期間を落ち着いて決めやすくなると思います。
