4. 生活保護の資産調査では、福祉事務所が銀行などに預貯金の報告を求められる
生活保護の申請をすると、保護を決めるための調査が行われます。厚生労働省は、主な調査として次の5つを挙げています。
- 生活状況などを把握するための実地調査(家庭訪問など)
- 預貯金、保険、不動産などの資産調査
- 扶養義務者による扶養(仕送りなどの援助)の可否の調査
- 年金などの社会保障給付、就労収入などの調査
- 就労の可能性の調査
4.1 生活保護法第29条で、銀行や信託会社に報告を求めることができる
生活保護法第29条では、保護の実施機関と福祉事務所長は、保護の決定や実施のために必要があると認めるときは、要保護者の資産や収入の状況などについて、銀行や信託会社、雇い主などに報告を求めることができると定めています。
対象は申請した本人だけではありません。同じ条文では、扶養義務者の資産や収入の状況についても、報告を求められる事項に含めています。
4.2 申請のときに通帳の写しや給与明細を出すことがある
厚生労働省の案内では、申請時の調査で、世帯の収入や資産の状況がわかる資料として、通帳の写しや給与明細などの提出を求めることがあるとしています。
銀行で資産運用の相談を受けていた立場から見ると、口座が複数の銀行に分かれている家庭は珍しくありません。ふだん使っていない口座も含めて、どこに口座があるかを一覧にしておくと、書類をそろえるときに慌てずに済みます。
5. 生活保護の申請書は、作れない特別な事情があれば無くても申請できる
生活保護法第24条では、保護の開始を申請する人は、氏名や住所、保護を受けようとする理由、資産と収入の状況などを書いた申請書を提出するとしています。そのうえで、申請書を作ることができない特別な事情があるときは、この限りでないとしています。
5.1 保護の決定は書面で通知され、理由も示される
同じ条文では、保護の実施機関は申請があったときに保護の要否や種類などを決め、書面で通知しなければならないとしています。書面には決定の理由を付けることになっています。
通知は、申請のあった日から14日以内にしなければなりません。扶養義務者の資産や収入の調査に時間がかかる場合など、特別な理由があるときは30日まで延ばすことができ、その場合は書面に理由を示すことになっています。
5.2 申請から30日以内に通知がなければ、却下されたものとみなせる
生活保護法第24条第7項では、申請してから30日以内に通知がないときは、申請者は申請が却下されたものとみなすことができるとしています。
家族の代わりに手続きを手伝うときは、申請した日付と受け付けた窓口を控えておくと、通知を待つ期間を数えやすくなります。決定の内容に分からない点があれば、通知書を手元に置いて福祉事務所に尋ねてみましょう。
6. まとめ
被保護者調査(令和8年7月分概数)によると、生活保護を受けている世帯は164万4102世帯でした。保護停止中を除く163万5284世帯のうち、高齢者世帯は55.2%、障害者・傷病者世帯は25.6%、その他の世帯は15.8%、母子世帯は3.4%です。
申請件数は2万5236件で前年同月より151件増え、直近13か月で最も多くなりました。保護開始世帯数は2万170世帯で、前年同月より522世帯減っています。
申請すると資産や収入の調査が行われ、決定は原則14日以内に書面で通知されます。生活に困ったときは、住んでいる地域の福祉事務所に早めに相談してみてはいかがでしょうか。
参考資料
和田 直子