暮らしが立ち行かなくなったとき、生活保護の申請をする人は1か月にどれくらいいるのでしょうか。
厚生労働省が2026年10月7日に公表した「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、保護の申請件数は2万5236件で、前年同月より151件増えました。一方、保護開始世帯数は2万170世帯で、前年同月より522世帯減っています。
この記事では、生活保護を受けている世帯の世帯類型別の内訳と、申請件数・保護開始世帯数の直近13か月の動き、そして生活扶助基準額の例を確認します。
1. 生活保護を受けている世帯は令和8年7月分で164万4102世帯、世帯類型は4つに分かれる
被保護者調査(令和8年7月分概数)では、生活保護を受けている世帯は164万4102世帯で、前年同月より3516世帯(0.2%)少なくなりました。
生活保護を受けている人は196万9655人で、前年同月より2万438人(1.0%)少なくなっています。人口100人あたりの保護率は1.60%でした。
1.1 世帯類型別の割合は、保護停止中を除く163万5284世帯が分母
164万4102世帯には、保護を一時的に停止している世帯も含まれます。世帯類型別の数は保護停止中の世帯を除いて集計されているため、割合の分母は163万5284世帯です。
【世帯類型別の世帯数と割合(総数163万5284世帯・保護停止中を除く)】
- 高齢者世帯:90万3116世帯(55.2%)
- 障害者・傷病者世帯:41万8114世帯(25.6%)
- その他の世帯:25万9162世帯(15.8%)
- 母子世帯:5万4892世帯(3.4%)
高齢者世帯90万3116世帯の内訳は、単身世帯が84万4423世帯、2人以上の世帯が5万8693世帯です。単身の高齢者世帯は、高齢者世帯90万3116世帯を分母にすると93.5%、163万5284世帯を分母にすると51.6%にあたります。
前年同月と比べると、障害者・傷病者世帯は4157世帯増え、高齢者世帯は1612世帯、母子世帯は3806世帯、その他の世帯は1939世帯減りました。
2. 生活保護の申請件数は令和8年7月分で2万5236件、直近13か月で最も多い
被保護者調査の月ごとの概数では、生活保護の申請件数と保護開始世帯数も公表されています。令和8年7月分は、申請件数が前年同月を上回り、保護開始世帯数は前年同月を下回りました。
2.1 生活保護の申請件数は前年同月より151件増、保護開始世帯数は522世帯減
令和8年7月分の申請件数は2万5236件で、前年同月の2万5085件より151件(0.6%)増えました。前月の2万970件と比べると4266件多くなっています。
保護開始世帯数は2万170世帯で、前年同月の2万692世帯より522世帯(2.5%)減りました。前月の1万8171世帯と比べると1999世帯多くなっています。
【月別の申請件数と保護開始世帯数(各月の公表時の概数)】
- 2025年7月分:申請件数2万5085件、保護開始世帯数2万692世帯
- 2025年8月分:申請件数2万703件、保護開始世帯数1万6723世帯
- 2025年9月分:申請件数2万2488件、保護開始世帯数1万9352世帯
- 2025年10月分:申請件数2万1241件、保護開始世帯数1万9366世帯
- 2025年11月分:申請件数2万83件、保護開始世帯数1万7445世帯
- 2025年12月分:申請件数1万8586件、保護開始世帯数1万8623世帯
- 2026年1月分:申請件数2万1565件、保護開始世帯数1万6907世帯
- 2026年2月分:申請件数1万8058件、保護開始世帯数1万6380世帯
- 2026年3月分:申請件数2万3636件、保護開始世帯数2万711世帯
- 2026年4月分:申請件数2万861件、保護開始世帯数1万8263世帯
- 2026年5月分:申請件数2万991件、保護開始世帯数1万8062世帯
- 2026年6月分:申請件数2万970件、保護開始世帯数1万8171世帯
- 2026年7月分:申請件数2万5236件、保護開始世帯数2万170世帯
13か月のなかで申請件数が最も多かったのは2026年7月分、次いで2025年7月分でした。保護開始世帯数が最も多かったのは2026年3月分の2万711世帯です。
2.2 生活保護の申請件数と保護開始世帯数は、同じ世帯を追いかけた数字ではない
申請件数はその月に受け付けた申請の数、保護開始世帯数はその月に保護が始まった世帯の数です。生活保護法では、申請から決定の通知までを原則14日以内としており、申請した月と保護が始まった月が同じになるとは限りません。
実際に2025年12月分は、保護開始世帯数が1万8623世帯で、申請件数の1万8586件を上回りました。申請件数から保護開始世帯数を引いた数を、そのまま「保護に至らなかった数」と読むことはできません。
3. 生活保護の保護費は最低生活費から収入を引いた差額で、働いていても受けられる
生活保護の保護費は、厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費と、世帯の収入を比べて決まります。収入が最低生活費に届かない場合に、その差額が支給されます。
保護は、生活を営むうえで必要な費用に応じた8種類の扶助で構成されています。
- 生活扶助:食費・被服費・光熱水費など日常生活に必要な費用
- 住宅扶助:アパートなどの家賃
- 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費など
- 医療扶助:医療サービスの費用(医療機関へ直接支払われ、本人負担なし)
- 介護扶助:介護サービスの費用(介護事業者へ直接支払われ、本人負担なし)
- 出産扶助:出産費用
- 生業扶助:就労に必要な技能の修得などにかかる費用
- 葬祭扶助:葬祭費用
3.1 生活扶助基準額の例(令和8年10月1日現在)
厚生労働省の「生活保護制度に関するQ&A」には、世帯の例ごとに生活扶助基準額が示されています。住んでいる地域によって額が変わるため、東京都区部等と地方郡部等の2つが並んでいます。
- 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
- 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
- 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
- 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円
いずれも児童養育加算などを含む月額です。生活扶助のほか、必要に応じて住宅扶助や医療扶助なども支給されます。
3.2 働いて収入がある人も、最低生活費に届かなければ生活保護を受けられる
同じQ&Aでは、働いていて就労収入がある人でも、収入と資産が最低生活費に満たない場合には生活保護を受けられると説明しています。この場合も、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費になります。
令和8年7月分の生活保護の申請件数は2万5236件で、2025年7月分からの13か月で最も多い件数でした。保護開始世帯数は2万170世帯で、前年同月を522世帯下回っています。
生活保護の相談・申請の窓口は、住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。福祉事務所を設置していない町村に住んでいる場合は、町村役場でも申請の手続きができます。
ここからは、申請したあとに行われる資産の調査と、申請書や決定の通知について、金融機関で資産の相談を受けてきた立場から見ていきます。
申請件数と保護開始世帯数は、月ごとに数え方の起点が違う数字です。2つの差だけで判断せず、申請から決定までの流れとあわせて読むと、統計の意味をつかみやすくなります。
