3. 国民健康保険料の7割・5割・2割軽減も、申告がないと判定できない

申告の有無で変わるのは、医療費の上限だけではありません。国民健康保険料そのものにも、所得の低い世帯向けの軽減があります。

ここでは、枚方市の令和8年度の基準と料率を例に、軽減の仕組みと申告との関係を見ていきましょう。

3.1 令和8年度の軽減の判定基準は43万円から

枚方市の令和8年度の判定基準は、前年中の世帯の総所得額で次のように決まります。世帯主を含む加入者全員の所得を合計して判定します。

  • 7割軽減:43万円+10万円×(給与所得者等の数−1)以下
  • 5割軽減:43万円+31万円×被保険者等の数+10万円×(給与所得者等の数−1)以下
  • 2割軽減:43万円+57万円×被保険者等の数+10万円×(給与所得者等の数−1)以下

1月1日時点で65歳以上の人は、公的年金等に係る所得の範囲内で、軽減判定に使う所得から15万円を差し引きます。国民健康保険の軽減判定のための控除です。

枚方市は「所得未申告などにより、世帯主を含む被保険者全員の所得が市で把握できない場合は、実際の所得が一定基準以下の場合でも保険料の軽減適用がされません」と明記しています。収入がない世帯でも、申告がなければ軽減は適用されません。

3.2 単身世帯なら、軽減の対象になる均等割と平等割は年9万2775円

軽減されるのは、加入者の人数にかかる均等割と、世帯ごとにかかる平等割です。枚方市の令和8年度の料率は次のとおりで、ここに子ども・子育て支援金分が新たに加わりました。

  • 医療分:均等割3万4990円、平等割3万3908円
  • 後期高齢者支援金等分:均等割1万1191円、平等割1万845円
  • 介護分(40歳から64歳の人):均等割1万8682円
  • 子ども・子育て支援金分:均等割1841円

40歳未満か65歳以上の単身世帯なら、介護分がかからないため均等割と平等割の合計は年9万2775円です。7割軽減にあたれば、この7割が減額されます。

18歳到達後の最初の3月31日までの加入者には、子ども・子育て支援金分の均等割はかかりません。子どものいる世帯は、この点も通知で確かめておくとよいでしょう。

3.3 後期高齢者医療制度でも、収入がない人の申告が要る

75歳以上が加入する後期高齢者医療制度にも、均等割の7割・5割・2割軽減があります。東京都後期高齢者医療広域連合の令和8・9年度の均等割額は医療分5万3300円、子ども分1300円で、7割軽減にあたる場合は医療分に限り「7.2割」の軽減になります。

千葉県船橋市は、市民税・県民税の申告がない場合「保険料を正しく計算することができませんので軽減の判定ができません」と答えています。申告が要るのは、世帯内の後期高齢者医療制度の加入者全員と世帯主で、収入がなかった人や遺族年金・障害年金だけを受け取る人も含みます。

4. 収入がない年ほど、住民税の申告が国民健康保険料の通知に表れる

住民税非課税世帯にあたるかどうかは、申告された所得をもとに決まります。収入がない人にとって申告は手間に感じやすいものの、出していないと保険料や医療費の区分に表れます。

4.1 「収入がないのに軽減されていない」は、申告の確認から

保険料の計算を担当していた頃、窓口では「収入がないのに、なぜ保険料が安くならないのか」という問い合わせを受けてきました。世帯の状況を確かめると、家族の誰かの所得が把握できていないことがよくありました。

本人は申告していても、同じ世帯の家族が出していないと、世帯として軽減の判定ができません。そうしたときは、家族の分の申告を出してもらうところから一緒に確認していました。

4.2 期限を過ぎてからでも申告はできる

船橋市は、後期高齢者医療の保険料について、期限後に申告した場合は申告からおよそ1〜2か月後に保険料を計算し直し、変更した月以降の納期で調整すると案内しています。申告の期限を過ぎていても、そのままにしないことが大切です。

国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の通知を見て軽減の欄が空いていたら、市区町村の国民健康保険や後期高齢者医療の担当窓口に、世帯の誰の申告が足りていないかを聞いてみてください。

4.3 確かめておきたい3つのこと

保険料の通知が届いたら、次の3点を見ておくと確認しやすくなります。

  • 世帯主と加入者全員の所得が申告されているか(家族の分も含めて)
  • 保険料の通知に、7割・5割・2割の軽減が反映されているか
  • 医療費の自己負担の区分が、世帯の所得に合っているか

保険料が払えないときの分割や減免も、国民健康保険や後期高齢者医療の担当窓口が相談先です。分からないまま納付を止めず、早めに相談するのが確実です。

5. まとめ

国民健康保険に加入する70歳未満の住民税非課税世帯は、令和8年8月診療分から医療費の自己負担の上限が月3万6900円です。ただし、世帯に所得未申告の人がいると、上尾市や枚方市では所得901万円超と同じ区分アで計算されます。

国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の均等割の軽減も、所得が把握できなければ当てはめられません。収入がなかった年や、遺族年金・障害年金だけの年こそ、世帯全員の申告がそろっているかを市区町村の窓口で確かめておきましょう。

参考資料

太田 彩子