75歳以上の方が加入する後期高齢者医療では、医療費の自己負担の上限が「所得区分」で決まります。このうち住民税非課税世帯の方が入るのが、区分Ⅱと区分Ⅰです。
2026年9月18日にe-Statで公開された厚生労働省の事業月報(令和8年5月分)によると、この2つの区分に入る被保険者は合わせて826万919人で、全体の約4割を占めています。
この記事では、住民税非課税世帯の判定基準を確認したうえで、後期高齢者医療の所得区分の人数と、2026年8月から変わった自己負担の上限額を見ていきます。
なお、住民税非課税世帯の判定基準と、判定を超えたときの負担に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 【住民税非課税世帯】判定の基準は3つある
後期高齢者医療の区分Ⅱ・区分Ⅰは、世帯全員が住民税非課税であることが前提です。まず住民税非課税世帯の判定基準を確かめます。
1.1 生活扶助、合計所得金額135万円以下、限度額以下のいずれか
横浜市の案内では、均等割と所得割がどちらも課されないのは、生活保護法による生活扶助を受けている人と、障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下の人です。
このほか、扶養家族がない人は前年の合計所得金額が45万円(35万円+10万円)以下なら均等割がかかりません。扶養家族がある人の限度額は「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円+21万円」です。
1.2 65歳以上で年金収入だけなら155万円が目安
65歳以上で収入が公的年金だけの単身の方は、公的年金等控除の最低額110万円に45万円を足した155万円が年金収入の目安になります。限度額は市区町村の級地によって異なるため、お住まいの市区町村の案内で確かめてください。
そのうえで、世帯の全員が非課税であることが住民税非課税世帯の条件です。同じ世帯に1人でも住民税がかかる人がいれば、本人が非課税でも対象になりません。
2. 後期高齢者医療で住民税非課税世帯にあたる区分は826万919人
後期高齢者医療の事業月報には、被保険者数が所得区分ごとに載っています。住民税非課税世帯の区分に入る人数を確認します。
2.1 令和8年5月分の被保険者は2082万622人
事業月報(令和8年5月分)の被保険者数は、全国で2082万622人でした。このうち住民税非課税世帯の区分にあたる低所得Ⅱは535万9554人、低所得Ⅰは290万1365人です。
2つを合わせると826万919人で、被保険者全体の39.7%にあたります。後期高齢者医療に加入する方のおよそ5人に2人が、住民税非課税世帯の区分に入っている計算です。
所得区分ごとの被保険者数は次のとおりです(割合は被保険者総数に対するもの)。
- 現役並み所得者:176万6641人(8.5%)
- 一般所得者Ⅱ:461万2717人(22.2%)
- 一般所得者Ⅰ:618万24人(29.7%)
- 低所得Ⅱ:535万9554人(25.7%)
- 低所得Ⅰ:290万1365人(13.9%)
2.2 区分Ⅰは世帯全員の所得が0円の方
神奈川県後期高齢者医療広域連合の案内では、区分Ⅱは同じ世帯の全員が住民税非課税の被保険者で、区分Ⅰにあたらない方です。
区分Ⅰは、世帯の全員が住民税非課税で、世帯の各所得が0円になる被保険者などです。年金の所得は、控除額を82万6500円として計算します。
愛知県後期高齢者医療広域連合の案内では、この控除額は令和8年7月31日までが80万6700円で、8月1日から82万6500円になりました。
3. 2026年8月から変わった住民税非課税世帯の区分の自己負担限度額
後期高齢者医療の自己負担限度額は、2026年8月診療分から見直されました。住民税非課税世帯の区分Ⅱ・区分Ⅰの額を確認します。
3.1 区分Ⅱの外来の上限は1万1000円に
厚生労働省の資料によると、区分Ⅱの外来(個人ごと)の上限は月8000円から1万1000円になりました。あわせて外来の年間上限9万6000円が設けられています。
外来と入院をあわせた世帯ごとの上限は、2万4600円から2万5700円になりました。新たに多数回該当が設けられ、4回目以降はこれまでの上限と同じ2万4600円です。
このほか、年単位の上限額(年間上限)29万円も新たに設けられました。なお、厚生労働省の資料では、区分Ⅱの外来の上限は2027年8月から1万3000円になる予定です。
3.2 区分Ⅰの外来の上限は8000円のまま
区分Ⅰの外来の上限は8000円のまま据え置かれました。外来と入院をあわせた世帯ごとの上限は1万5000円から1万5700円になり、年単位の上限額は18万円です。
区分Ⅱは外来の上限が1万1000円に上がり、区分Ⅰは外来8000円のまま据え置かれました2/2
出所:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」、東京都後期高齢者医療広域連合「高額療養費」をもとにLIMO編集部作成
2026年8月診療分からの上限額は次のとおりです。
- 区分Ⅱ 外来(個人ごと):月1万1000円(外来の年間上限9万6000円)
- 区分Ⅱ 外来+入院(世帯ごと):月2万5700円(多数回該当2万4600円)
- 区分Ⅱ 年単位の上限額:29万円
- 区分Ⅰ 外来(個人ごと):月8000円
- 区分Ⅰ 外来+入院(世帯ごと):月1万5700円
- 区分Ⅰ 年単位の上限額:18万円
3.3 入院中の食事代も区分で下がる
東京都後期高齢者医療広域連合によると、令和8年6月1日からの入院時の食費(療養病床以外)は、現役並み所得・一般の方が1食550円です。区分Ⅱの方は1食270円、区分Ⅰの方は1食130円になります。
住民税非課税世帯の判定基準をわずかでも超えると、住民税が課税されるだけでなく、国民健康保険料や介護保険料の均等割軽減措置が縮小・消失し、高額療養費の自己負担上限額も引き上げられます。
出所:【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド
