3. 遺族年金・障害年金だけの人は、住民税の申告の有無をとくに確かめたい

収入の種類によっては、住民税の申告をしなくてよいとされている場合があります。一方で、遺族年金や障害年金は税金のかからない年金のため、収入がこれらだけの人は、税の上では所得がない人として扱われます。

給与だけ、公的年金等だけ、収入がなかった場合の住民税の申告の目安2/2

横浜市の案内をもとに、給与収入だけの人と公的年金等の収入だけの人は住民税の申告が不要、前年に収入がなかった人は申告が必要であることを示した図

出所:横浜市「市民税・県民税の申告について」を参考にLIMO編集部作成

3.1 給与だけ・老齢年金などの公的年金等だけの人は、申告が不要とされている

横浜市は、給与収入だけで勤務先から市に給与支払報告書が出ている人や、公的年金等の収入だけでほかに所得がない人は、申告が不要としています。所得税の確定申告書を税務署に出した人も、住民税の申告は要りません。

3.2 遺族年金・障害年金は非課税で、源泉徴収票も送られない

日本年金機構によると、障害年金や遺族年金は所得税および復興特別所得税の課税対象になっていない(非課税)ため、公的年金等の源泉徴収票は送付されません。源泉徴収票が送られるのは、老齢または退職を支給事由とする年金を受けている人だけです。

そのため、収入が遺族年金や障害年金だけの人は、税の上では「所得がない」人にあたります。この場合に住民税の申告が必要かどうかは、市区町村によって案内が分かれます。

宮城県多賀城市は、収入が遺族年金や障害年金のみの人で、市内に住む家族の扶養親族になっていない場合などは、住民税の申告が必要としています。一方、埼玉県東松山市は、遺族年金や障害年金は非課税所得のため、確定申告や市・県民税の申告も不要と案内しています。

4. 申告がないと、国保・後期高齢者医療の保険料の「世帯の軽減」判定ができない

筆者が地方自治体で保険料の計算を担当していた頃、国保や後期高齢者医療の保険料の軽減は、住民税の申告や給与・年金の支払報告などで把握した所得から判定していました。所得の情報がない人がいると、その人の分だけでなく、世帯としての判定にも支障が出ていました。

4.1 判定は世帯単位なので、家族のだれか1人の未申告でも止まる

保険料の軽減は、加入者本人だけでなく、世帯主や同じ世帯の加入者の所得を合計して判定します。家族のうち1人でも所得の情報がそろわないと、世帯全体の判定ができなくなります。

本人は申告が不要な年金だけの収入でも、同居する家族に申告をしていない人がいれば、世帯としての判定に影響します。軽減の相談を受けたときは、本人だけでなく世帯の全員について、所得の情報がそろっているかを確かめていました。

4.2 「収入がないから関係ない」と思われやすい

収入がない人ほど、税金の申告は自分には関係ないと考えがちです。しかし、軽減を受けられるのはまさに収入が少ない人なので、申告がないことで本来の軽減から外れてしまうのは残念なことだと感じていました。

保険料の通知書を見て均等割が思ったより高いと感じたら、世帯のなかに申告をしていない人がいないかを確かめてみてください。

5. 住民税の申告をするときに確かめたいこと

申告が必要かどうか、いつまでに出せばよいかは、お住まいの市区町村によって異なります。最後に、確かめておきたい点を整理します。

5.1 申告の期限は3月15日。迷ったら住民税の担当窓口へ

横浜市の場合、市民税・県民税の申告の期限は毎年3月15日(土日の場合は翌開庁日)です。期限や申告書の様式は市区町村ごとに案内されているので、ホームページで確認するか、住民税の担当窓口に問い合わせると確実です。

期限を過ぎてしまった場合や、自分が申告の対象になるか分からない場合も、まずは住民税の担当窓口に相談してみてください。

5.2 保険料や給付の手続きでは、どの証明書が必要かも聞いておく

保育所や公営住宅の申込み、福祉サービスの手続きでは、非課税証明書の提出を求められることがあります。大阪市の案内のように、扶養親族は申告なしでも税額0円の証明書を出せる一方、所得金額の記載がない証明書になる場合もあります。

手続き先が所得金額の記載を求めているかどうかは、手続きの窓口で事前に確かめておくと、証明書の取り直しを防げます。

6. まとめにかえて

住民税非課税世帯として保険料の軽減や証明書を受けるには、世帯の所得の状況を市区町村が把握している必要があります。横浜市や川崎市は、前年に収入がなかった人にも住民税の申告を求めており、申告がないと非課税証明書の発行や保険料の軽減判定に影響が出ると案内しています。

とくに、収入が遺族年金や障害年金だけの人は、住民税の申告が必要かどうかの案内が市区町村によって分かれるため、お住まいの市区町村で確かめておきたいところです。神奈川県の後期高齢者医療の例では、7割軽減に当たるかどうかで均等割に年3万8754円の差があります。

まずは自分と家族が住民税の申告をしているかを確かめ、分からないときはお住まいの市区町村の住民税の担当窓口に相談してみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子