レビュー:主要国の株式市場が軟調だった1週間
先週(4月4日‐4月8日)の株式市場は主要国で下落しました。毎週取り上げる日米独中の4市場はいずれも週次で下落しています。パナマ文書や北朝鮮のICBMの開発など、政治ニュースに大きいものがありましたが、グローバルマクロに関する材料は少なかったように思います。
また、後に述べますが今週(4月11日‐4月15日)様々なイベントが控えていることから、株式市場は動きを取りにくかったと思われます。
そうした中、市場の動きで目に付いたのは、110円台を切る円高の進行、原油価格の上昇、世界的な長期金利の低下です。特に円高は対円、対ユーロの双方に対して進んでいます。
3月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、今後の利上げを慎重に進めるという見方が確認されました。欧州中央銀行の金融政策もいったん出尽くした感があります。一方、日本の最近のマイナス金利の導入が為替に対してあまり効果が出なかったため、今後の追加金融緩和策が読みにくくなっています。貿易収支の改善も円を売りにくくしていると思います。
週末に東京市場では政府から円高けん制発言が出て円が売られましたが、ニューヨーク市場ではその効果が帳消しになっています。G20を控え、円相場の動きは引き続き要注意と思われます。
注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示
注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示
アウトルック:米国で決算期到来。G20で金融政策の手詰まり感を打開できるか
今週(4月11日‐4月15日)は米国で始まる決算と13日に始まるG20財務省・中央銀行総裁会議に注目です。
4月11日のアルコア(AA)を皮切りに米企業の決算期に入ります。今週は、米ヤフー(YHOO)、JPモルガンチェース(JPM)、サンディスク(SNDK)、バンク オブ アメリカ(BAC)、デュポン(DD)、ウェルズファーゴ(WFC)などが予定されています。
個別企業の動向に目を奪われがちになりそうですが、マクロ的にはG20の協議の行方が重要でしょう。金融政策に手詰まり感が出ているため、財政政策や規制緩和を国際的に進められるのかがポイントになります。デフレ脱却は共有されやすいと思いますが、年初来の株価パフォーマンスに示唆されるように、その切迫感は国々で相当温度差がありそうです。とりあえず為替相場の安定化を探るというのが落としどころになりそうです。
15日の中国1‐3月期GDP、17日の産油国による生産調整のための協議にも注目が必要です。
【2016年4月10日 投信1編集部】
■参考記事■
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LIMO編集部