これから資産運用を始めよう!と思い立っても、いきなり個別の株式に投資をしようという方は資産運用の初心者には少ないかと思います。また、いきなり外国株に投資をしようという方はもっと少ないと思います。

これから資産運用をはじめようという方には、「自分は株の勉強がまだ足りない」とお考えの方、また数ある金融商品のうち、「どれを買ってよいのか迷ってしまう」という方も多いでしょう。

そのような方向けには、プロの投資家が運用し、個人投資家でもすぐに購入することのできる投資信託は、数ある金融商品の中でも扱いやすいと思います。

ただ、一口に投資信託と言っても、「いろいろな種類があるじゃないか!」という声もよく聞きます。たとえば、株式中心に投資をしている投資信託と言っても、日本株だけのものもあれば外国株式が中心の投資信託もあります。

日本株の投資信託もいいけれど、せっかくプロが運用してくれるのであれば、自分の知らない企業や、米国企業だけれどもアップルやフェイスブック、アマゾン、グーグル、さらには中国のアリババといった、世界で大きく成長している企業に投資をしている投資信託がより面白いのでは、という方もいらっしゃるでしょう。

また、外国株式は日本株と違って、売買をするにあたっての制約や手数料もありますが、投資信託であれば、そうした問題も乗り越えることができます。

投資信託という金融商品は、まさに個人投資家にはなかなか手が届かない、運用するにはちょっと手間がかかる投資先をプロが運用してくれる“道具(ツール)”という理解をすればよいと思います。

■目次■

1 資産運用初心者におすすめの外国株式の投資信託の選び方
 1.1 投資信託が先進国株中心か新興国株中心かー流動性のリスクが違う
 1.2 外国株式の投資信託でもファンドマネージャーがメンテナンスしてくれる
2 外国株投資信託の実例
 2.1 大型米国株の投資信託
 2.2 新興国中小型株の投資信託
3 外国株式の投資信託のリスクとは度
 3.1 為替レートでの円安は恩恵、円高は逆風
 3.2 流動性のリスク
4 外国株式の投資信託の売却タイミングとは
5 まとめ

1 資産運用初心者におすすめの外国株式の投資信託の選び方

資産運用をこれから本格的に始めようとする方が外国株式の投資信託を選ぶ際に、注意をしておきたい点があります。それは、投資信託に組み込まれている株式が先進国株か新興国株かという点です。

1.1 投資信託が先進国株中心か新興国株中心かー流動性のリスクが違う

一口に外国株式と言っても、米国やドイツ、イギリスのような先進国中心の株式を中心に運用されている投資信託もあれば、新興国中心の運用になっているものもあります。もちろんグローバルの株式に投資をしている投資信託には、先進国と新興国株が両方含まれているという投資信託もあります。

仮に先進国株中心であれば、日本株と同様に株式市場が整備されているので、企業の業績やマクロの経済指標などが株価に影響を与えると考えておけば、まず問題ありません。

一方、新興国株については、そもそも株式市場の制度が先進国ほど整備されていないことがあります。また、国のトップの意思決定により突然制度そのものが変わってしまうこともあります。

たとえば、国によっては自由に株式の売買などができなくなる事態が突然生じることもあります。こうしたリスクを、投資のプロの間では、“流動性のリスク”と呼びますが、新興国の場合には、株式の流動性をどうしても意識せざるを得ません。その点は頭の片隅に置いておいてもよいと思います。

1.2 外国株式の投資信託でもファンドマネージャーがメンテナンスしてくれる

投資信託のファンドマネージャーと呼ばれる運用者はプロの投資家なので、「あの国の株式は流動性にリスクがあるな」と思えば、そうした国の株式は投資信託に組み入れないものです。ただし、政治や政策を原因とするリスクはすべてを事前に予測することはできません。

2 外国株投資信託の実例

資産運用の初心者の方が外国株式の投資信託を保有したいという場合には、先進国株中心の投資信託をおすすめします。また、初心者の方で、どうしても新興国の株価上昇を得たい場合は、ファンドマネージャーによるリスク管理がしっかりしている投資信託を選べば良いと思います。先進国と新興国でそれぞれ一例ずつ挙げてみましょう。

2.1 大型米国株の投資信託

たとえば、三菱UFJ国際投信が運用する「次世代米国代表株ファンド(愛称:メジャー・リーダー)」は、米国株の中でもダウ工業平均株価に採用されるような銘柄を参考に、時価総額が大きくグローバルで成長性の高い銘柄を中心に運用をしています。また、ファンドマネージャーの資産運用経験も長く、注目の投資信託です。

投資信託名 信託報酬(年率、税込み) 主な取扱ネット証券と手数料
次世代米国代表株ファンド(愛称:メジャー・リーダー)
1.566%
SBI証券 :3.24%以内
楽天証券:3.24%以内
マネックス証券:3.24%以内
フィデリティ証券 :3.24%以内
au カブコム証券:3.24%以内

2.2 新興国中小型株の投資信託

資産運用初心者だけれども、どうしても新興国の経済成長とその果実である株価の上昇を得たいという方におすすめなのが、DIAMアセットマネジメントが運用する「ネット証券専用ファンドシリーズ 新興国中小型株ファンド」です。この投資信託は、ファンドマネージャーがクォンツと呼ばれる計量手法を用いて、投資信託の管理を日々行っています。投資対象が新興国株式の中でも中小型株中心ですが、流動性なども含めて丁寧に管理されていると言えます。

投資信託名 信託報酬(年率、税込み) 主な取扱ネット証券と手数料
ネット証券専用ファンドシリーズ 新興国中小型株ファンド
2.052%
SBI証券 :0%
楽天証券:0%
マネックス証券:0%
au カブコム証券:0%

3 外国株式の投資信託のリスクとは

外国株式の投資信託特有のリスクは大きく2つあります。1つは為替レート、もう1つは流動性のリスクです。

3.1 為替レートでの円安は恩恵、円高は逆風

外国株式にとって、当然ながら為替レートはリスク要因です。円安は運用資産にとってはプラスに働き、円高はマイナスに働きます。ただし、為替をヘッジして、為替レートの水準に左右されない投資信託もあります。

たとえば、米国(FRB)が今後金利を上げるであろう中で日本(日本銀行)は簡単には金利を引き上げることはできないとお考えの方は、円安に進む可能性が高いので、為替ヘッジなしの投資信託を選ぶと良いでしょう。

3.2 流動性のリスク

流動性については先ほど触れましたが、新興国の場合には売りたくても売れない状況が発生することがあります。こうした状況であれば、売りが売りを呼ぶということもありますので、加速度的に株価が下落していきます。

4 外国株式の投資信託の売却タイミングとは

外国株式の投資信託の売却タイミングは、「世界経済は資本主義国を中心に成長していく」とお考えであれば、じっくり長期で保有し続けるのが良いでしょう。

しかし、そうはいっても景気の循環や経済危機があるではないか!とお考えの方もいらっしゃると思います。参考程度に過去の経済や金融危機をまとめておきます。

イベント名 時期 震源地
ブラックマンデー 1987年10月19日 米国
アジア通貨危機 1997年7月 タイなど
リーマンショック 2008年9月 米国
ギリシャ危機 2015年6月 ギリシャなど
中国ショック 2015年7月 中国

これを見る限りでは、9~10年に1度、大きな危機が訪れています。すでにギリシャ危機や中国ショックが兆候として見えていますが、過去のパターンで行くと2017から2018年がちょうどそのタイミングとなります。そうした大きな危機のタイミングの前には一度売却し、改めて低い株価で拾えるとよいですね。

5 まとめ

投資信託を活用すれば、資産運用初心者の方でも簡単に外国株式の資産運用を始めることができます。外国株式といっても、先進国と新興国では流動性のリスクが異なるので、まだ投資経験が浅い方は、先進国の株式中心の投資信託がから始めてみてはいかがでしょうか。

LIMO編集部