4. 【退職金】一時金と年金の両制度がある企業では、大卒の定年退職で2261万円
退職金の受け取り方には、一度にまとめて受け取る「退職一時金」と、分けて受け取る「退職年金」があります。制度の形態によって、平均額にも違いが見られます。
4.1 両制度併用は一時金のみより600万円以上多い
大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の定年退職者では、「退職一時金制度のみ」が1623万円、「退職年金制度のみ」が1801万円、「両制度併用」が2261万円でした。両制度併用の企業は、一時金制度のみの企業より638万円多くなっています。
なお、退職年金の額は、将来受け取る年金を現在の価値に換算した「年金現価額」で計算されています。
5. 【退職金】退職理由別では「早期優遇」が最も高い
退職金は、退職の理由によっても金額が変わります。
5.1 大卒の早期優遇退職は2266万円
大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の退職給付額を退職理由別にみると、定年が1896万円、会社都合が1738万円、自己都合が1441万円、早期優遇が2266万円でした。調査では、どの学歴でも「早期優遇」が最も高くなっています。
早期優遇による退職の扱いや、退職金の上乗せの有無は企業によって異なります。勤務先に制度があるかどうかは、就業規則などで確かめてみましょう。
6. 2026年10月からルール改正も。平均額より勤務先の「退職金制度」を確認しよう
退職金の平均額は、老後の資金計画を立てるうえでの目安になります。ただし、平均額はあくまで目安で、実際に受け取る金額は勤務先の制度や勤続年数によって大きく異なります。
さらに、退職金をめぐるルールにも動きがあります。2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが改正されました。
今回の改正では、「同一労働同一賃金ガイドライン」に賞与・退職手当に関する内容が追加されています。賞与・退職手当には労務の対価の後払いや功労報償など、さまざまな目的がありますが、こうした目的がパートタイム・有期雇用労働者にも当てはまるにもかかわらず、正社員との働き方や役割などの違いに応じたバランスのとれた支給がされていない場合、不合理な待遇差と認められる可能性があります。
6.1 まずは就業規則や退職金規程を確認する
退職金の制度は、企業によってさまざまです。退職金の有無や計算方法、一時金と年金のどちらで受け取れるのかなどは、勤務先の就業規則や退職金規程で確認できます。
特にパートタイム・有期雇用で働いている方は、自分が退職手当の対象になるのか、正社員との間でどのような違いがあるのかについても確認しておきたいところです。
今回の改正では、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件明示事項に、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨も新たに追加されました。
分からないときは、勤務先の人事・総務の担当部署に問い合わせてみましょう。
6.2 受け取り方によって税金のかかり方も変わる
退職金を一時金で受け取るか、年金で受け取るかによって、税金のかかり方も変わります。一時金で受け取る場合は「退職所得控除」が使えます。受け取り方を選べる場合は、税金や社会保険料も含めて考えておくと安心です。
7. まとめにかえて
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付制度がある企業は74.9%でした。勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の退職給付額は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1896万円、高校卒(管理・事務・技術職)で1682万円です。
退職金の額は、勤続年数や制度の形態、退職の理由によって大きく変わります。大卒の定年退職者でも、勤続20~24年の1021万円から35年以上の2037万円まで、約2倍の差がありました。
また、2026年10月1日からはパートタイム・有期雇用労働者に関するルールが改正され、「同一労働同一賃金ガイドライン」に賞与・退職手当に関する内容も追加されました。 パートタイム・有期雇用で働く方にとっても、勤務先の退職手当について改めて確認するきっかけになりそうです。
平均額に一喜一憂するのではなく、まずはご自身の勤務先の制度や、自分が退職金の支給対象になるのかを確認してみましょう。そのうえで、公的年金や預貯金なども含め、老後の生活資金をどう準備していくか考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
村岸 理美