我が子には苦労させず、幸せな人生を送らせてあげたい。多くの親がそう考え、子育てをしています。本格的な学問が始まる前に良い教育に触れ、安心できる環境でじっくりと学ばせてあげたい。そんな保護者が増えたことで、どうやら教育格差がさらに広がっている模様。では、その格差は埋められないものなのでしょうか。

学力や学歴は教育費次第?

早期の知育や英才教育が一般的になったといえ、気になるのはその価格です。良心的な価格で教えてくれる場所も全くないわけではありませんが、やはり評判の良い大手ともなるとなかなかのお値段になってきます。多くの保護者はどのような気持ちでそのお金を支払っているのでしょうか。

ソニー生命が20歳以下の子どもを持つ親1,000人に対し行った「子どもの教育資金に関する調査2019」によると、「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる」という項目に対し、64.0%の親が「非常にあてはまる」「ややあてはまる」と回答しました。つまり、多くの親が「学力や学歴は費用次第」と認識していることがわかります。加えて、「早期の知育や英才教育は、子どもの将来のために重要だ」という項目には「非常にあてはまる」「あてはまる」に67.9%もの親が回答し、早期教育の重要性を感じている結果となりました。

また、多く親が早期教育を行う理由としてよく挙げられるのが、私立の小学校への受験です。子どもの個性が活かせる教育環境が期待できること、進級時の受験の心配がいらないこと。そんな環境と手に入れるためには、受験に備えた塾通いをするべきだ、と考えているようです。お金は正直苦しいけれど、掛けた分だけ子供のためになっている。教育格差で我が子が苦労しないためにも、このお金は必要なのだと多くの親が信じ教育費を捻出している心理が伺えます。

私立小学校に入学させるための「エアベンツ」とは?

文部科学省が2年ごとに行っている「子供の学習費調査」(平成28年度版)によると、幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間、全て私立に通った場合の学習費の総額は約1,770万円という結果がでました。対して、全て公立に通った場合は約540万円という結果がでていることから、その比はなんと3.28倍にもなることがわかります。しかしながら、よい教育を求め教育費を惜しみなく出す家庭が増えた結果、小学校受験を考える家庭も多くなってきています。それほど、教育熱心な家庭が増えているのでしょう。

ただ、この約3倍の金額以外にも私立小学校に入学するには莫大な費用が掛かるといいます。有名私立小学校に見事合格した娘さんを持つ、C.Yさんにお話を聞きました。

「学校に支払う費用以外に必要だったのが通学関係費です。我が家の場合で年間9万円ほど。そういったこまごましたものが在学中はかかってきます。しかし、実際に一番お金がかかったのは入学前でした。うちは幼稚園年中から「お受験教室」に通わせていました。とにかくここが高い。毎月の月謝にテキスト代、摸試代や合宿費などあらゆる場面で費用がかさんでいきました。ただ、プロの指導は安心できる内容で、我が子の特性を深く理解するきっかけを作ってくれたのもこの教室でした。

いままでなんとなくわかっていた気になっていた娘の個性が、第三者により言語化してもらえたことは、お金に代えがたい経験だったと思っています。とはいえ、後になって計算したところその費用はベンツ一台分にも相当していたので、我が家では「エアベンツ」を購入したと今も語り継いでいます。」

金額を聞くのが怖くなってしまうお話ですが、保護者も子供も、その経験を通し大切なものを手に入れられたと感じるのであれば、それはきっと生きたお金といえるのでしょう。


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