10月15日は年金の支給日です。年金を受け取っている方はもちろん、毎月の給与から厚生年金保険料が引かれている方や、国民年金保険料を納めている方にとっても、年金は身近なお金の話ではないでしょうか。

筆者はFP(ファイナンシャルプランナー)として家計相談に携わってきましたが、「納めた保険料はどうなっているのか」「年金制度はこの先も続くのか」といった声をよく耳にします。

厚生労働省が2026年8月7日に公表した「厚生年金保険・国民年金の令和7年度収支決算の概要」によると、2025年度末の年金積立金は時価ベースで過去最高の302兆5893億円となりました。この記事では、年金のお金がどこから入ってどこへ出ていくのかを、厚生年金と国民年金の収支決算から確認します。後半では、日本年金機構の資料をもとに、公的年金の支え合いの仕組みや将来の見通しも整理します。

1. 年金積立金は過去最高「302兆5893億円」わずか1年で42兆5136億円の増加!

まずは、厚生年金と国民年金の積立金を確認します。

1.1 1年で42兆5136億円増えた

2025年度の決算結了後の年金積立金は、時価ベースで302兆5893億円でした。前年度末の260兆757億円から42兆5136億円増え、過去最高となっています。

内訳は、厚生年金が288兆9623億円で6年連続の増加、国民年金が13兆6270億円で2年ぶりの増加です。

年金積立金(時価ベース)を、2024年度末と2025年度末で比べました。1/5

年金積立金(時価ベース)

出所:厚生労働省「令和7年度『厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要』」をもとにLIMO編集部作成

1.2 運用利回りは前年度の0.66%から約16%に

時価ベースの運用利回りは、厚生年金が15.85%、国民年金が16.18%でした。前年度はいずれも0.66%で、2025年度は運用の成果が積立金を大きく押し上げたことが分かります。

なお、時価ベースの積立金は市場の動きによって増えたり減ったりします。簿価ベースでみると、2025年度末の積立金は130兆2837億円です。

2. 【厚生年金】歳入53兆3210億円、私たちが納める保険料収入はいくら?

次に、会社員や公務員などが加入する厚生年金の収支を見てみましょう。ここでの厚生年金は年金特別会計の厚生年金勘定で、共済組合などは含みません。

2.1 保険料収入は37兆6782億円、1年間で1兆3237億円増

2025年度の厚生年金の歳入は53兆3210億円で、前年度から2兆9672億円増えました。このうち保険料収入は37兆6782億円で、1人あたりの保険料の増加などにより、1兆3237億円増えています。

被保険者数(年間平均)は4342.8万人で、前年度の4279.7万人から増えました。平均標準報酬月額は33.5万円で、前年度の32.8万円から上がっています。

2.2 歳出は51兆5557億円、「1兆7653億円」を積立金へ

歳出は51兆5557億円で、前年度から4兆2755億円増えました。基礎年金の給付に必要な費用の増加などで、基礎年金勘定への繰入(基礎年金拠出金)が3兆8694億円増えたことが主な要因です。

歳入から歳出を差し引いた1兆7653億円は、積立金に積み立てられました。

厚生年金の収支決算の主な項目です。2/5

厚生年金の収支決算の主な項目

出所:厚生労働省「令和7年度『厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要』」をもとにLIMO編集部作成

3. 【国民年金】保険料収入は1兆3756億円、第1号被保険者は1332.7万人

続いて、自営業者や学生などが保険料を納める国民年金の収支です。

3.1 歳入は4兆3312億円、歳入歳出差は709億円

2025年度の国民年金の歳入は4兆3312億円で、前年度から5680億円増えました。年金積立金管理運用独立行政法人からの納付金が3832億円増えたことなどが要因です。

保険料収入は1兆3756億円で、前年度から231億円減りました。第1号被保険者数(年間平均)は1332.7万人で、前年度の1348万人から減っています。2025年度の国民年金保険料は月1万7510円でした。

歳出は4兆2602億円で、歳入から歳出を差し引いた709億円は積立金に積み立てられました。

国民年金の収支決算の主な項目です。3/5

国民年金の収支決算の主な項目

出所:厚生労働省「令和7年度『厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要』」をもとにLIMO編集部作成