「気づいたら扶養から外れていた」という声を、しばしばでよく耳にします。

厚生労働省年金局が2025年12月に公表した『令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、専業主婦・主夫らが加入する国民年金の第3号被保険者数は2024年度末時点で641万人となり、前年度から6.5%減少しました。

令和2年度の793万人から4年間で約152万人減っており(793万人-641万人の編集部算出)、緩やかな変化とは言い切れないペースです。

総務省統計局が2026年9月20日に公表した『統計トピックスNo.149』では、65歳以上人口が3624万人・総人口の29.6%と過去最高を更新したことも示されており、支える側と支えられる側、双方の年金の姿はもはや一様ではありません。

この記事では、第3号被保険者の減少の裏側にある厚生年金の適用拡大の実態と、加入前に確認しておきたい注意点を整理します。

1. そもそも「第3号被保険者」とはどのような人を指すのか

第3号被保険者とは、厚生年金保険に加入する会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者を指します。

日本年金機構の説明では、年収がおおむね130万円未満であることなどが加入の目安として示されており、本人が保険料を個別に納めなくても国民年金に加入した扱いになる仕組みです。

この枠組みに該当する人は年々減少しており、2024年度末時点で641万人となっています。

2. 第3号被保険者はどれくらい減っているのか

厚生労働省年金局の集計によると、第3号被保険者数は次のように推移しています。

1/3

第3号被保険者数の推移(令和2年度〜令和6年度)
出所:厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
  • 令和2年度:793万人(男子12万人、女子781万人)
  • 令和3年度:763万人(男子12万人、女子751万人)
  • 令和4年度:721万人(男子12万人、女子709万人)
  • 令和5年度:686万人(男子13万人、女子673万人)
  • 令和6年度:641万人(男子13万人、女子628万人)

4年連続で減少が続いており、この間の減少幅は約152万人に達しました(793万人-641万人の編集部算出)。女子の第3号被保険者だけを見ても、781万人から628万人へと同様のペースで減少しています。

3. 短時間労働者の厚生年金加入はどれくらい増えたのか

入れ替わるように増えているのが、パートやアルバイトとして働きながら厚生年金に加入する「短時間労働者」です。同資料によると、短時間労働者として厚生年金保険に加入する人は2024年度末時点で111万人となり、前年度から21.1%増加しました。

2/3

短時間労働者として厚生年金に加入する人数の内訳(男女別・事業所数・標準報酬月額)
出所:厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

内訳を見ると、女子が85万人(前年度比22.4%増)、男子が26万人(同16.7%増)と、女子の伸びが目立ちます。短時間労働者を使用する事業所数も14万9000か所となり、前年度から58.8%増えました。標準報酬月額の平均は15万5000円です。

厚生労働省は「厚生年金保険料率について」で、厚生年金保険料率が2017年9月以降18.3%に固定され、労使で折半する仕組みであることを示しています。

たとえば標準報酬月額15万5000円のパート従業員が新たに厚生年金保険に加入した場合、保険料率18.3%を労使で折半するため、本人負担分はおよそ月1万4183円が給与から差し引かれる計算になります。実際の負担額は、加入時期や報酬の変動によって前後する点にご注意ください。

4. 加入対象はどこまで広がっているのか

短時間労働者が厚生年金に加入するかどうかは、勤務先の企業規模によって線引きされています。2024年10月からは対象となる企業規模の要件が「従業員51人以上」に拡大され、これまで対象外だった中小企業で働く人も新たに加入対象に加わりました。

加入要件の拡大が、短時間労働者数111万人という増加ペースを後押ししているとみられます。

熊谷 良子

第3号被保険者から短時間労働者への切り替わりは、働き方を選んだ結果であると同時に、年金制度の設計そのものが変わってきたことの表れでもあります。

目先の手取りだけを見ると、社会保険料が天引きされる分だけ収入が減ったように感じるかもしれません。

ただし厚生年金に加入すること自体は、将来受け取る年金額に上乗せが生じる仕組みでもあるため、悲観しすぎる必要はないでしょう。

勤務先の企業規模や自分の労働時間が加入要件に近づいているかどうかは、給与明細や社会保険の案内だけでは気づきにくいものです。

年に一度は自分の働き方が扶養の範囲内なのか、厚生年金の加入対象に変わっているのかを棚卸ししておくと、思わぬ手取りの変化にも慌てずに済むでしょう。

制度の詳細や最新の加入要件は、日本年金機構や厚生労働省の公式情報で必ず確認することをおすすめします。