2018年に第一生命経済研究所が「認知症患者の金融資産が200兆円の未来」というレポートを発表しました。

同レポートによると、認知症患者が保有する金融資産は2005年末の段階で約100兆円でしたが、2017年で約143兆円、2030年には215兆円に達するという内容です。

認知機能が低下した高齢者層には無視できないほど大きな資産があり、今後も規模は大きくなっていきます。

そんな人達に対する投資家保護、場合によっては認知症になる前の生前贈与で「老老贈与」「老老相続」なども今後問題になっていくでしょう。

そのような中で、金融ジェロントロジーにしっかり取り組める金融機関はますます求められるようになっていくのではないでしょうか。

親世代の資産運用を若い世代の目線でも見守るべき

親世代がネット証券や銀行で金融資産を保有したまま認知症が進んでしまい、親世代の資産が行方不明になるなどの問題もよくあります。

しっかりと親世代の資産状況をあらかじめ確認しておくことで、事前のトラブルを回避することができます。

また別居している親世代がリスクを把握しないまま、リスクの高い金融商品をすすめられるがままに買ってしまったということも珍しくありません。

認知症患者の金融資産が200兆円を超える時代です。

自分の親世代が認知症になってしまい、親世代の資産がどうなっているのか把握できないままトラブルにつながることもますます増えていきそうです。
家族で資産のあり方を話し合う機会を積極的につくっていくべきでしょう。

ワンストップ型サービスが今後、増えていく可能性

金融庁の金融審議会の議事録でも「ワンストップ」というのがキーワードになっています。
金融や資産運用と健康・生活・ライフラスタイルは切り離せない関係にあります。

ワンストップのサービスにはプライベートバンクが存在しますが、ITやAIを活用したロボアドバイザーなどのテクノロジーの進化によって、プライベートバンクに近いワンストップ型のサービスも今後増えていく可能性があります。

資産運用と同時にライフスタイルの提案や相続、場合によっては不動産の住み替えや地方・海外移住までも含めた提案ができる金融機関が支持される時代が来るかもしれません。

とくに米国では資産の増やし方だけではなく支出の減らし方も注目されています。

無駄な支出や出費をおさえるための助言も求められています。

総合的な視点からのファイナンシャルプランニングの提案ができることも、金融機関の付加価値として注目されるのではないでしょうか。

個人でできる高齢時代の資産運用

個人でも高齢時代に備えた資産運用を意識しなければいけない時代です。

例えば将来の自分を支えるためにiDeCoで所得控除を活用し節税しながら資産を積立てていく、今ある年金制度を前提に人生設計をしない、そして、資産形成ステージと退職ステージまでの長期視点を見据えた資産運用がますます必要になっていきそうです。

また少子化の続く日本において潜在成長率が低いままになるリスクがあります。
一方アメリカに目を向けると、先進国でも人口が増え続けており、労働生産人口の観点から有利な国もあります。

資産のポートフォリオを日本に一点集中せずに米国株などを保有することでカントリーリスクを分散することがより重要になりそうです。

【参考】
「認知症患者の金融資産が200兆円の未来」第一生命経済研究所

モトリーフール・ジャパン