3. 70歳以降はどうなる?在職定時改定が終わった後の年金額の見直し

在職定時改定は70歳未満の人が対象です。70歳になったときや、70歳前に退職したときには、別の仕組みで年金額が見直されます。

3.1 70歳に到達すると翌月分から年金額が見直される

厚生年金の被保険者は70歳未満のため、70歳に到達すると、その後は在職定時改定の対象になりません。日本年金機構によると、70歳に到達したときは、70歳に到達した翌月分の年金額から見直されます。

最後の在職定時改定から70歳到達までの加入期間は、このタイミングでまとめて反映されます。試算の「5年分(60か月)」は、この70歳到達時の改定までを含めた数字です。

3.2 70歳前に退職したときは「退職改定」になる

70歳になる前に退職した場合は、退職して1か月を経過したときに、退職した翌月分の年金額から見直されます。これを退職改定といいます。

ただし、退職して1か月以内に再就職して厚生年金に加入した場合は、この再計算は行われません。たとえば68歳で退職すれば、増額は約3年分にとどまります。

4. 試算を自分に当てはめる前に確認したいこと

ここまでの試算は、条件を単純にした目安です。ご自身に当てはめる前に、次の4点を確認しておきましょう。

4.1 賞与がある人は増額が大きくなる

報酬比例部分の計算には、標準賞与額も含まれます。賞与が支給される働き方であれば、同じ月給でも、試算より年金の増額は大きくなります。

4.2 在職老齢年金で年金の一部が止まる場合もある

働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、年金の月額と給与・賞与の合計が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止になります。令和8年度の支給停止調整額は月65万円です。

年金(報酬比例部分)の月額が10万円で月給が40万円の人なら合計50万円のため、年金は全額支給されます。

4.3 手取りは税金や社会保険料の分だけ少なくなる

試算した金額は額面です。年金からは所得税や住民税、介護保険料などが差し引かれる場合があるため、実際の振込額の増え方は試算より小さくなります。また、実際の年金額は端数処理や毎年度の年金額改定によっても変わります。

4.4 ねんきんネットで加入記録と見込額を確認する

実際に何か月分が反映されるかは、65歳の誕生月や働き始めた時期によって変わります。厚生年金の加入期間が480か月に満たない人などは、経過的加算が増える場合もあります。

ねんきんネットでは、加入記録や年金の見込額を確認できます。在職定時改定で年金額が変わった場合、10月分と11月分は12月の支給分にあたるため、12月に届く通知で改定後の額も確かめておくと安心です。

5. まとめ

65歳以上70歳未満で厚生年金に加入して働く人は、在職定時改定によって毎年年金額が見直されます。月給30万円の場合、1年分の増額は年1万9732円ほどですが、5年続けると年9万8658円まで積み上がり、70歳から20年間受け取ると約197万円になります。

働く年数が長いほど、また夫婦で働くほど、生涯で受け取る年金額への影響は大きくなります。

まずはねんきんネットでご自身の加入記録と見込額を確認し、65歳以降にどのくらいの期間、どんな働き方をするかを考える材料にしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

和田 直子