月給30万円で65歳から70歳まで5年間働き続けると、厚生年金(報酬比例部分)は年9万8658円、月あたり約8200円増える計算になります。

65歳を過ぎても働き続ける人が増えるなか、「何年働けば、年金は目に見えて増えるのか」「増えた年金は結局いくら受け取れるのか」が気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、月給20万・30万・40万円で5年分の増額を試算し、増えた年金を70歳から受け取り続けた場合の総額や、夫婦で働いた場合の世帯の増額まで整理します。

なお、在職定時改定の基準日に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【在職定時改定】9月1日は年金増額の基準日、10月分から年金額が増える人がいます。《厚生年金》令和8年4月末の平均額は月15万7687円
【在職定時改定】9月1日は年金増額の基準日、10月分から年金額が増える人がいます。《厚生年金》令和8年4月末の平均額は月15万7687円

1. 65歳から5年働くと年金はどこまで増える?月給別に試算

65歳以上70歳未満で厚生年金に加入して働く人は、在職定時改定によって、毎年10月分から年金額が見直されます。まずは、5年間働き続けた場合に年金の増額がどこまで積み上がるかを確認します。

1.1 試算の前提は「報酬比例部分×賞与なし」

在職定時改定で増えるのは、老齢厚生年金の報酬比例部分です。平成15年4月以降の加入期間の分は「平均標準報酬額×1000分の5.481×加入月数」で計算されます。

ここでは賞与はなし、標準報酬月額は月給と同じ額として試算します。

在職定時改定の対象になるかどうかの判定については、LIMOの記事「【在職定時改定】9月1日は年金増額の基準日、10月分から年金額が増える人がいます。《厚生年金》令和8年4月末の平均額は月15万7687円」から要点を引用しておきます。

判定されるのは9月1日の一日だけです。この日に厚生年金の被保険者でなければ、その年は対象になりません。

出所:【在職定時改定】9月1日は年金増額の基準日、10月分から年金額が増える人がいます。《厚生年金》令和8年4月末の平均額は月15万7687円

月給別・働いた年数別に見た厚生年金(報酬比例部分)の年間増加額の試算1/2

月給別・働いた年数別に見た厚生年金(報酬比例部分)の年間増加額の試算

出所:日本年金機構「報酬比例部分」の計算式をもとにLIMO編集部作成

グラフを見ると、働いた年数に比例して年金の年間増加額が伸びていき、月給が高いほど1年ごとの伸び幅も大きくなることが分かります。

1.2 5年分(60か月)の増加額は月給30万円で年9万8658円

65歳から70歳になるまでの5年間(60か月)働いた場合の、年金の年間増加額は次のとおりです。

  • 月給20万円:年6万5772円(月あたり約5480円)
  • 月給30万円:年9万8658円(月あたり約8220円)
  • 月給40万円:年13万1544円(月あたり約1万960円)

1年分の増額は月給30万円で年1万9732円、月あたり約1640円ですが、5年続けると月8000円を超える水準まで積み上がります。

2. 増えた年金を70歳から受け取り続けると総額はいくら?

在職定時改定で増えた年金は、その年だけの上乗せではなく、その後も受け取り続けられます。5年分の増額を、70歳から何年受け取るかで総額を比べてみます。

5年分の増額を70歳から90歳まで(20年間)受け取った場合の合計(試算)2/2

5年分の増額を70歳から90歳まで(20年間)受け取った場合の合計(試算)

出所:日本年金機構「報酬比例部分」の計算式をもとにLIMO編集部作成

図のとおり、月1万円に満たない増額でも、20年間受け取り続けると100万円単位の差になります。

2.1 単身で働く場合:月給30万円なら20年で約197万円

5年分の年間増加額に20年を掛けると、受け取る増額の合計は次のとおりです。

  • 月給20万円:年6万5772円×20年=131万5440円
  • 月給30万円:年9万8658円×20年=197万3160円
  • 月給40万円:年13万1544円×20年=263万880円

65歳から70歳までの間に受け取る増額分は含めていないため、実際に増える受取総額はこれより多くなります。

2.2 夫婦で働く場合:増額は二人分を合算して考える

在職定時改定の対象になるかどうかは、一人ずつ判定されます。夫婦がともに65歳以降も厚生年金に加入して働けば、それぞれの年金が増えます。

たとえば、夫が月給30万円、妻が月給20万円で、ともに65歳から5年間働いた場合、世帯の年金は年16万4430円増えます。70歳から20年間受け取ると、世帯で328万8600円です。

和田 直子

在職定時改定による増額は、1年分だけを見ると小さく感じるかもしれません。ただ、増えた年金はその後も一生涯受け取れるお金です。「毎年いくら増えるか」だけでなく、「その増額を何年受け取るか」「世帯で合わせるといくらか」という視点で見ておきたいです。