4. 時給が上がった年の翌年度に、国民健康保険料の軽減の区分が変わる
最低賃金が上がっても、その月から国民健康保険料が変わるわけではありません。軽減の判定がいつの所得で行われるのかを確認します。
4.1 判定に使うのは前年の所得
さいたま市の案内では、軽減は賦課期日(その年度の4月1日。年度の途中で加入した世帯は加入日)の世帯の状況と、前年の所得で判定します。
10月以降に上がった時給は、その年の給与収入に入り、翌年度の国民健康保険料の判定に使われます。1年を通して新しい時給で働いた年の収入が反映されるのは、さらにその翌年度です。
4.2 基準額は毎年度見直されている
5割の31万円・2割の57万円は令和8年度の額です。川口市の案内でも、令和5年度から令和8年度にかけて毎年度引き上げられてきたことが確認できます。
この記事の試算は令和8年度の基準に当てはめた目安です。翌年度以降の基準額は、その年度の市区町村の案内で確かめてください。
4.3 給与所得の計算も年分によって変わる
大阪市は、令和9年度と令和10年度の市民税・府民税では、給与所得控除の最低保証額が74万円になると案内しています。試算で使った65万円とは額が違います。
国民健康保険料の軽減の判定で給与所得がどう計算されるかは、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口で確認しておくと確実です。
5. 【注意したい点】国民健康保険料の軽減は所得の申告が前提になる
軽減は申請しなくても自動で判定されます。ただし、判定のもとになる所得が市区町村に届いていることが条件です。
5.1 世帯に1人でも未申告の方がいると軽減されない
さいたま市は、世帯内に1人でも所得を申告していない方がいると軽減されないとしています。所得がない場合でも申告が必要です。
掛け持ちで働いている方や、年の途中で退職した方は、自分が所得の申告をする必要があるかどうかを市区町村に確かめておきましょう。
5.2 勤め先の健康保険に入ると国民健康保険から外れる
勤務時間を増やして勤め先の健康保険の加入要件を満たすと、国民健康保険ではなく勤め先の健康保険に入ります。大阪市の案内では、会社などの健康保険に加入したときは、世帯主が14日以内に国民健康保険をやめる届出をします。
働く時間を決めるときは、軽減の区分だけでなく、どの健康保険に入るのかもあわせて勤め先に確認しておくと安心です。
6. まとめ
令和8年度の最低賃金は全国加重平均1177円で、10月1日から12月2日にかけて都道府県ごとに順次発効します。
令和8年度の国民健康保険料の軽減の基準に当てはめると、単身で給与収入だけの方は、時給1177円なら週17.6時間・22.7時間・27.0時間が7割・5割・2割の目安です。時給1121円のときより約1時間短くなります。
軽減は前年の所得で判定され、基準額も毎年度見直されます。翌年度の保険料の見込みは、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口で相談してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
- さいたま市「国民健康保険税の軽減(低所得)」
- 松阪市「国民健康保険税の軽減(令和8年度)」
- 川口市「国民健康保険税の軽減について(所得が一定基準以下)」
- 大阪市「就職・退職に伴う国民健康保険の手続き」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 大阪市「令和9年度から実施される市民税・府民税の税制改正について」
太田 彩子