5. 中央銀行の金の統計は「報告された分」の集計で、あとから変わることがある

中央銀行の金の数字は、ニュースでは「何トン買った」と一言で伝えられがちです。WGCの説明をもとに、数字の読み方を確かめておきます。

5.1 IMFの統計は2か月遅れ、報告の遅い国は3月末以前の数字

WGCによると、各国の保有量のもとになるIMFの統計は2か月遅れで公表されます。そのため、9月の更新分では多くの国が6月末時点の数字で、報告の遅い国は3月末以前の数字です。毎月の更新ファイルは、月の初めの10日以内に更新されるとしています。

5.2 月ごとの買い越しの数字も、新しい報告で改められることがある

10月6日の公表分は、データのある国について8月31日までの数字です。報告が遅れて届けば、合計の170トンも変わることがあります。ニュースで数字を見たときは、いつ時点の、どの資料の数字かもあわせて確かめておきたいところです。

6. 8月の買い越し39トンを、10月19日の店頭小売価格に当てはめると約9182億円

39トンという重さが、どのくらいの金額になるのかを計算してみます。中央銀行は国際市場で取引しており、国内の店頭価格で売買しているわけではありません。ここでの計算は、重さの大きさをつかむための目安です。

6.1 39トンは3900万グラム、100グラムの金地金なら39万本分

1トンは100万グラムなので、39トンは3900万グラムです。100グラムの金地金に置き換えると、39万本分にあたります。

6.2 計算例:3900万グラム×2万3544円で約9182億円

10月19日の店頭小売価格2万3544円を掛けると、3900万グラム×2万3544円で9182億1600万円になります。1か月の報告分だけで、これだけの規模の金が中央銀行に積み上がった計算です。

7. 中央銀行の動きと、手元の金の持ち方は分けて考える

中央銀行の動きを見るときは、次の2点を意識しておくと落ち着いて考えられます。

7.1 中央銀行は準備資産の一部として金を持っている

WGCは、金は安全性・流動性・収益性の面から中央銀行の準備資産の重要な一部になっていると説明しています。準備資産に占める金の割合は、米国の81.42%から日本の8.51%まで、国によって大きく違います。中央銀行が買っていることは、個人が同じように買うべきだという意味ではありません。

7.2 手元の金は、重さと購入時の価格を書き出して評価額を確かめる

金地金や純金積立を持っているなら、まず重さと買ったときの価格を書き出してみましょう。その日の店頭買取価格に重さを掛ければ、いまの評価額の目安が分かります。資産全体のなかで金が占める割合を確かめてから、買い増すかどうかを考えても遅くはありません。

8. まとめ

ワールド・ゴールド・カウンシルによると、2026年8月に世界の中央銀行が報告した金の買い越しは39トン、1〜8月の合計は170トンでした。1〜8月はポーランドが98トン、中国が80トンを買い越す一方、トルコは82トン、ロシアは56トンを売り越しています。

中央銀行の統計は報告された分の集計で、あとから改められることがあります。ニュースの数字は時点と出所を確かめ、手元の金は重さと購入時の価格をもとに、資産全体のなかで考えたいところです。

※本記事は中央銀行の金の保有や売買の動きを解説するもので、特定の金融商品の購入・売却を勧めるものではありません。

参考資料