配偶者を亡くして子を育てている方が受け取る遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つを合わせた額になることがあります。
日本年金機構によると、令和8年4月分からの遺族基礎年金は年84万7300円(昭和31年4月1日以前生まれの方は年84万4900円)に、子の人数に応じた加算額を足した額です。遺族厚生年金は、亡くなった方の報酬比例部分の4分の3で決まります。
この記事では、子が2人いる妻を例に、在職中に亡くなった夫の加入期間が20年だったモデルケースで、2つの遺族年金の合計額を計算します。
1. 遺族厚生年金は子のある配偶者が1番目、子は2番目の順位になる
はじめに、遺族厚生年金が出る場面と、家族のうちだれが受け取るのかを確認します。
子がいる世帯では、配偶者と子のどちらにも受け取る権利が生じる点が特徴です。
1.1 亡くなった方が4つの要件のどれかを満たしていること
遺族厚生年金は、亡くなった方が厚生年金保険の被保険者である間に亡くなったとき、被保険者期間に初診日がある病気やけがで初診日から5年以内に亡くなったとき、1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が亡くなったとき、老齢厚生年金の受給資格を満たした方が亡くなったときに支給されます。
上の3つは短期要件、最後の1つは長期要件と呼ばれます。
1.2 子のある配偶者が受け取っている間、子の遺族年金は支給されない
受け取れるのは、亡くなった方に生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母の5つの立場の遺族です。順位は子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母の順です。
子にも受け取る権利はありますが、子のある配偶者が遺族年金を受け取っている間は、子には支給されません。
2. 【遺族厚生年金】加入20年・平均標準報酬額35万円の場合、受け取る年金額はいくら?
ここからは、夫が在職中に亡くなった場合の遺族厚生年金を計算します。
前提は、夫の平均標準報酬額が35万円、厚生年金の加入期間が240月(20年)で、全期間が平成15年4月以後という設定です。
2.1 在職中の死亡は300月とみなして計算する
在職中の死亡は短期要件にあたるため、被保険者期間が300月に満たないときは300月とみなして計算します。
報酬比例部分は、35万円×5.481/1000×300月で年57万5505円です。
2.2 その4分の3にあたる年43万1629円が遺族厚生年金になる
遺族厚生年金の額は報酬比例部分の4分の3で、このモデルケースでは年43万1629円です。月あたりにすると約3万5969円になります。
実際の加入が240月でも、300月とみなす計算によって額が底上げされています。
3. 子が2人いる65歳未満の妻は、遺族基礎年金と合わせて年176万6529円
65歳未満の妻に子がいる場合は、遺族厚生年金に遺族基礎年金が加わります。
ここでいう子は、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子です。
3.1 遺族基礎年金は子2人で年133万4900円
令和8年4月分からの遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの方で年84万7300円です。子の加算額は1人目と2人目が各24万3800円、3人目以降が各8万1300円です。
子が2人いる場合は、84万7300円に48万7600円を足して年133万4900円になります。遺族厚生年金の年43万1629円と合わせると、年176万6529円です。
子が2人いる妻が受け取る遺族年金の内訳(夫の平均標準報酬額35万円・加入240月・在職中の死亡の試算・令和8年度の額)1/2
出所:LIMO編集部作成
- 遺族厚生年金:年43万1629円
- 遺族基礎年金(基本額):年84万7300円
- 子の加算額(1人目・2人目):年48万7600円(各24万3800円)
- 合計:年176万6529円
3.2 遺族基礎年金の終わりは末の子で決まる
子の加算額は、子が18歳になった年度の3月31日を迎えるたびに1人分ずつ外れます。遺族基礎年金そのものが終わるのは、末の子がこの年齢に達したときです。
子がいない妻の場合は遺族基礎年金が出ず、夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満であれば、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算の年63万5500円が加算されます。
4. 65歳以上の遺族なら、自分の老齢厚生年金が先に支給される
遺族が65歳以上になると、遺族厚生年金は本人の老齢厚生年金と調整されます。
子育て期に夫を亡くした方も、いずれはこの段階に移ります。
4.1 老齢厚生年金は全額、遺族厚生年金は相当額が止まる
65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利がある方は、老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止になります。
4.2 手元に入る遺族厚生年金は差額の分
このため、遺族厚生年金として振り込まれるのは、自分の老齢厚生年金を上回る部分です。自分の厚生年金の加入期間が長い方ほど、遺族厚生年金として受け取る額は小さくなります。
子がいる世帯の遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つで成り立っています。年金証書でそれぞれの額と、だれが受給権者になっているかを確かめておくと、家族の状況が変わったときに見通しを立てやすくなります。
