5. もし再婚したらどうなる?遺族年金の失権とは
ここからは、遺族年金を受け取っている妻が再婚した場合を見ていきます。
妻本人の遺族年金がなくなる一方で、子の側の遺族年金には別の動きがあります。
5.1 婚姻と、直系血族・直系姻族以外の方の養子になったときに失権する
日本年金機構は、遺族年金を受けている妻本人が、亡くなったとき、結婚したとき(内縁関係を含む)、直系血族または直系姻族以外の方の養子となったときに、年金を受ける権利がなくなるとしています。
届出の期限は、失権の事由に該当した日から遺族厚生年金が10日以内、遺族基礎年金が14日以内です。「遺族年金失権届」を年金事務所または街角の年金相談センターに出します。
5.2 妻に代わって子が遺族厚生年金を受け取る
妻が遺族年金を受けている間、子の遺族年金は全額停止されています。日本年金機構は、妻が亡くなったときや結婚したとき(内縁関係を含む)は、妻に代わって子が遺族年金を受けられるようになると案内しています。
このときは「遺族年金受給権者 支給停止事由消滅届」の提出が必要です。モデルケースでは、遺族厚生年金の年43万1629円が子の側に支給される形になります。
5.3 子の遺族基礎年金は、生計を同じくする母がいる間は止まったまま
遺族基礎年金には別の決まりがあります。日本年金機構の「遺族年金ガイド 令和8年度版」は、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子に遺族基礎年金は支給されないとしています。
再婚したあとも子が母と生計を同じくしていれば、子の遺族基礎年金は止まったままです。モデルケースでは、再婚前の年176万6529円が、子の遺族厚生年金の年43万1629円になる計算です。
妻の再婚前と再婚後で変わる遺族年金(子2人・子が母と生計を同じくする場合のモデルケース)2/2
出所:日本年金機構『遺族年金を支給停止されていた方が年金を受けられるようになったとき』を参考にLIMO編集部作成
同じガイドには、令和7年の法律改正による留意事項として、令和10年4月1日以後は生計を同じくする父または母がいる場合であっても、子は遺族基礎年金の支給を受けることができるようになると書かれています。
5.4 子が再婚相手の養子になっても、子の受給権はなくならない
再婚にともなって、子が再婚相手と養子縁組をすることもあります。
子の遺族年金が失権するのは、直系血族または直系姻族以外の方の養子となったときです。子から見て母の配偶者である再婚相手は直系姻族にあたるため、再婚相手の養子になったことで子の受給権がなくなるわけではありません。
6. まとめ
加入20年・平均標準報酬額35万円で在職中に亡くなった夫のモデルケースでは、遺族厚生年金は年43万1629円でした。子が2人いる妻は、遺族基礎年金の年133万4900円と合わせて年176万6529円を受け取ります。
妻が再婚すると、婚姻(内縁関係を含む)によって妻の遺族年金は失権します。子は妻に代わって遺族厚生年金を受け取れるようになりますが、生計を同じくする母がいる間は子の遺族基礎年金は止まったままで、この扱いは令和10年4月1日以後に変わります。
失権届と支給停止事由消滅届は、どちらも年金事務所や街角の年金相談センターで扱っています。再婚が決まったら、届出の期限と子の年金がどうなるかを、早めに窓口で確かめておくとよいでしょう。
参考資料
- 日本年金機構『遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)』
- 日本年金機構『遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)』
- 日本年金機構『遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき』
- 日本年金機構『遺族年金を支給停止されていた方が年金を受けられるようになったとき』
- 日本年金機構『遺族年金ガイド 令和8年度版』
- 日本年金機構『報酬比例部分』
村岸 理美