5. 教育公務員の定年退職の平均手当額は団体区分でも変わる

第9表は、団体区分ごとにも同じ集計をしています。人数の多い教育公務員について、25年以上勤続後の定年退職を団体区分別に並べました。

5.1 都道府県は2286万1000円、市は2156万4000円

人数の大半を占める都道府県と指定都市は2280万円台で並び、市と町村はそれより低くなっています3/3

令和6年度に25年以上勤続後に定年退職した教育公務員の1人当たり平均手当額を団体区分別に示した棒グラフ

出所:総務省「令和7年地方公務員給与実態調査 第9表」をもとにLIMO編集部作成

  • 都道府県:2286万1000円(2万372人)
  • 指定都市:2283万5000円(2724人)
  • 市:2156万4000円(179人)
  • 町村:2006万8000円(32人)
  • 特別区:2468万1000円(12人)

最も高いのは特別区の2468万1000円ですが、対象は12人です。人数の少ない区分の平均は、1人ひとりの額に大きく左右されます。

5.2 教育公務員の大半は都道府県の職員

25年以上勤続後に定年退職した教育公務員2万3319人のうち、2万372人が都道府県の職員でした。全体の平均2284万5000円は、ほぼ都道府県の数字で決まっています。

6. 地方公務員の退職金にかかる税金は退職所得控除で決まる

退職金は、受け取った額がそのまま手元に残るわけではありません。所得税と住民税の計算のしくみを確認しておきます。

6.1 退職所得控除は勤続20年を境に計算が変わる

国税庁によると、退職所得の金額は、収入金額から退職所得控除額を差し引いた額に2分の1を掛けて求めます。退職所得控除額は、勤続20年以下なら40万円に勤続年数を掛けた額で、80万円に満たない場合は80万円です。

勤続20年を超えると、800万円に、70万円に20年を超えた年数を掛けた額を足します。勤続38年なら800万円に1260万円を足して、控除額は2060万円です。

6.2 勤続38年で2226万5000円なら課税の対象は83万2500円

仮に勤続38年で、一般行政職員の平均と同じ2226万5000円を受け取るとします。控除額2060万円を差し引いた166万5000円に2分の1を掛けると、退職所得の金額は83万2500円です。

この額に対して所得税と住民税がかかります。ただし、国家公務員や地方公務員は税法上の「役員等」に含まれるため、役員等としての勤続年数が5年以下の場合は2分の1を掛ける計算が適用されません。

また、障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、退職所得控除額に100万円が加わります。

6.3 「退職所得の受給に関する申告書」を出しておく

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、支払者が税額を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は必要ありません。提出していない場合は、支払金額の20.42%の所得税と復興特別所得税が源泉徴収され、確定申告で精算します。

令和9年以後は防衛特別所得税が加わりますが、国税庁によると合計の税率は変わりません。

7. 地方公務員の退職手当の見込み額は勤務先の人事担当で確かめる

ここまでの数字は、令和6年度に退職した職員の平均です。自分の退職手当がいくらになるかは、勤務先の条例(特定地方独立行政法人は支給の基準)と自分の勤続年数、退職の理由で決まります。

7.1 退職の時期と理由で適用される条文が変わる

第9表の区分が条例(案)の第3条から第5条に対応しているように、勤続年数と退職の理由によって計算に使う条文が変わります。見込み額は勤務先の人事担当に確かめておきましょう。

7.2 振込の時期と口座を先に決めておく

退職金は大きな金額が一度に振り込まれます。振込先の口座と入金の時期を早めに確かめ、住宅ローンの繰上返済や老後の生活費など、使い道ごとに分けて考えておくと資金計画を立てやすくなります。

8. まとめ

令和6年度に25年以上勤続して定年退職した地方公務員の1人当たり平均手当額は、教育公務員が2284万5000円、一般行政職員が2226万5000円、警察官が2221万円、技能労務職員が1712万5000円でした。

自己都合の退職では技能労務職員の589万4000円が最も高く、定年退職とは並びが入れ替わります。

退職金にかかる税金は退職所得控除で大きく変わります。平均額は目安にとどめ、勤務先の条例や支給の基準で計算した自分の見込み額と手取り額を確かめたうえで、使い道を考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

中本 智恵