公務員の退職金と聞くと、国家公務員の平均額を思い浮かべる方が多いかもしれません。地方公務員の退職手当は、学校の先生や警察官、事務職などの職員区分ごとに集計されています。
総務省の「令和7年地方公務員給与実態調査」によると、25年以上勤続して定年で退職した教育公務員の1人当たり平均手当額は2284万5000円でした。同じ条件の技能労務職員は1712万5000円です。
この記事では、国家公務員の退職金の水準を確かめたうえで、地方公務員の退職手当を職員区分別に比べていきます。記事後半では、教育公務員の団体区分別の平均と、退職金にかかる税金の計算を取り上げます。
1. 国家公務員の退職金、令和6年度の定年退職は平均2160万1000円
地方公務員の数字を見る前に、比べる基準として国家公務員の退職金を押さえておきます。内閣官房内閣人事局の「退職手当の支給状況(令和6年度)」の数字です。
1.1 常勤職員の退職理由別の平均支給額
令和6年度に退職手当を受け取った国家公務員の常勤職員は3万1193人で、平均支給額は1094万3000円でした。退職理由別に見ると次のとおりです。
- 定年:2160万1000円(1万1073人)
- 応募認定:2470万3000円(1859人)
- 自己都合:345万4000円(9951人)
- その他:263万円(8310人)
1.2 定年退職者は2000万円以上2500万円未満に集まる
支給額別の受給者数を見ると、常勤職員全体で最も多いのは500万円未満の1万5847人です。このうち自己都合が7914人、その他が7805人を占めています。
定年退職者に限ると、2000万円以上2500万円未満が6953人で最も多く、1万1073人の半数を超えています。定年まで勤めた国家公務員の退職金は、2000万円台前半に集まっています。
なお、この2160万1000円は勤続年数を問わない定年退職者の平均です。次に見る地方公務員の数字は25年以上勤続後の定年退職に絞っているため、同じ条件での比較にはなりません。
2. 地方公務員の退職手当、25年以上勤続後の定年退職は教育公務員が平均2284万5000円
ここからは地方公務員の退職手当です。総務省の地方公務員給与実態調査の第9表は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までに退職した職員を、職員区分と退職事由で分けています。
2.1 地方公務員の定年と退職手当は各団体の条例で決まる
地方公共団体の職員の退職手当は、国家公務員とは違い、地方自治法にもとづいてそれぞれの団体の条例で定められます。特定地方独立行政法人の職員は、法人が定めて公表する退職手当の支給の基準によります。
定年も各団体の条例で定められ、LIMOの記事「【公務員】2026年度の定年年齢は62歳。昭和40年4月1日生まれと4月2日生まれで、定年退職が2年ずれる」では次のように説明されています。
地方公務員の定年は、地方公務員法にもとづき、国家公務員の定年を基準として各地方公共団体が条例で定めることになっています。
出所:LIMO「【公務員】2026年度の定年年齢は62歳。昭和40年4月1日生まれと4月2日生まれで、定年退職が2年ずれる」
第9表の退職事由は、自己都合の退職等(条例(案)第3条)、11年以上25年未満勤続後の定年退職等(同第4条)、25年以上勤続後の定年退職等(同第5条)の3つに分かれています。
2.2 25年以上勤続後の定年退職は教育公務員が最も高い
全地方公共団体について、25年以上勤続後に定年退職した職員の1人当たり平均手当額を職員区分別に並べました。金額は第9表の「1人当たり平均手当額」です。
- 全職員:2204万2000円(5万8114人)
- 教育公務員:2284万5000円(2万3319人)
- 一般行政職員:2226万5000円(1万8577人)
- 警察官:2221万円(3854人)
- 特定地方独立行政法人職員:2173万3000円(15人)
- 技能労務職員:1712万5000円(3509人)
最も高い教育公務員と最も低い技能労務職員の差は572万円です。なお、一般職員全体では2141万6000円で、一般行政職員と技能労務職員のほかの職種も含んだ数字です。
特定地方独立行政法人職員は対象が15人と少なく、平均は1人ひとりの額に左右されやすい点に注意が必要です。
3. 地方公務員の自己都合退職は職員区分で136万3000円から589万4000円まで開く
自己都合の退職でも、職員区分によって1人当たりの手当額は違っていました。こちらは定年退職とは順位が入れ替わります。
3.1 自己都合退職は技能労務職員が最も高い
自己都合で退職した職員の1人当たり平均手当額は、技能労務職員が589万4000円で最も高く、特定地方独立行政法人職員が136万3000円で最も低くなりました。
- 全職員:302万5000円(4万7387人)
- 技能労務職員:589万4000円(459人)
- 一般行政職員:380万3000円(1万4478人)
- 警察官:361万8000円(2593人)
- 教育公務員:298万4000円(1万2767人)
- 特定地方独立行政法人職員:136万3000円(119人)
第9表は年齢別の人数と手当総額を載せていますが、勤続年数の分布までは載せていないため、区分ごとの差の理由までは読み取れません。自己都合の額は勤続年数によって大きく変わるので、平均額は目安として見ておきましょう。
3.2 警察官と技能労務職員は25年以上勤続の応募認定退職が定年退職を上回る
25年以上勤続後の区分で、早期退職の募集に応じた応募認定退職の平均を見ると、警察官は2377万7000円で、同じ区分の定年退職2221万円を上回っていました。技能労務職員も応募認定退職が1792万7000円で、定年退職の1712万5000円より高くなっています。
一方、教育公務員の応募認定退職は2258万7000円、一般行政職員は2174万6000円で、いずれも定年退職より低くなっています。特定地方独立行政法人職員も2112万1000円で定年退職を下回りましたが、応募認定退職は5人だけです。
なお、公務員の定年に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
4. 職員区分ごとの平均はあくまで目安
令和6年度に定年退職した国家公務員の退職金は平均2160万1000円で、2000万円以上2500万円未満に半数以上が集まっていました。
地方公務員では、25年以上勤続して定年退職した職員の1人当たり平均手当額が、教育公務員2284万5000円、一般行政職員2226万5000円、警察官2221万円、技能労務職員1712万5000円でした。自己都合の退職では技能労務職員の589万4000円が最も高く、定年退職とは並びが入れ替わります。
職員区分ごとの平均は目安です。自分の退職手当がいくらになるかは、勤務先の条例や支給の基準と、勤続年数、退職の理由で決まります。
記事後半では、教育公務員の団体区分別の平均と、退職金にかかる税金の計算を確認します。

