4. 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額で決まる
保護が終わる理由を読むには、そもそも保護費がどう決まるかを押さえておく必要があります。ここで生活保護の基本を確認します。
4.1 年金や手当は先に活用することが前提になる
厚生労働省は、生活保護の保護費について、最低生活費と収入を比べ、収入が最低生活費に満たない場合にその差額を支給すると説明しています。
年金や手当などは、先に活用することが前提です。そのため収入が増えて最低生活費に届けば、保護は必要なくなります。
4.2 扶助は8種類あり、生活扶助が日々の暮らしにあたる
扶助は生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類です。
このうち食費や光熱水費など日々の暮らしにあてるのが生活扶助です。医療扶助と介護扶助は、医療機関や介護事業者に直接支払われます。
5. 10月から適用される生活扶助の基準額、単身75歳以上は1級地-1で月7万1900円
最低生活費の中心になる生活扶助の基準額は、厚生労働省の告示「生活保護法による保護の基準」に定められています。令和8年6月11日の告示で改正され、10月1日から適用される額で見ていきます。
5.1 生活扶助の基準額は算式に特例加算を足して求める
告示の算式は、年齢別の第1類の基準額に世帯人員別の逓減率を掛けた額と、世帯人員別の第2類の基準額を足すところから始まります。これに経過的加算額と地区別冬季加算額を加えます。
そのうえで、世帯規模や地域(級地)、世帯の状況(母子世帯や障害の有無など)に応じた各種加算を加えて算定します。10円未満の端数が出たときは10円に切り上げます。
5.2 単身世帯の額は年齢と級地で変わる
冬季加算がつかない月として、単身世帯の額を最も高い1級地-1と最も低い3級地-2で計算すると、次のようになります。
【1級地-1】
- 65歳~69歳:月7万6880円
- 70歳~74歳:月7万6750円
- 75歳以上:月7万1900円
【3級地-2】
- 65歳~69歳:月6万8850円
- 70歳~74歳:月6万8850円
- 75歳以上:月6万3400円
75歳以上の1級地-1は、第1類3万9890円、第2類2万7790円、経過的加算額1720円、特例加算2500円の合計です。3級地-2では第1類が3万3110円で、経過的加算額はありません。
地区別冬季加算は、最も寒さの厳しいⅠ区の北海道では10月から支給が始まります。Ⅱ区(青森・岩手・秋田など)をはじめとするその他の地域は11月(一部地域は12月)からの支給となります。
6. 生活保護の保護が終わるときは書面で通知される
保護の廃止は、福祉事務所の判断だけで知らないうちに進むものではありません。生活保護法には通知の決まりがあります。
6.1 生活保護法第26条が書面での通知を定めている
生活保護法第26条は、被保護者が保護を必要としなくなったときは、保護の実施機関が速やかに保護の停止または廃止を決定し、書面で通知しなければならないと定めています。
停止と廃止は別の決定です。どちらの通知なのか、いつからの扱いなのかを書面で確かめておきましょう。
6.2 通知書は家族とも共有しておく
働き始めて保護が終わる見込みが出てきたら、その段階で担当のケースワーカーに伝えておくと、就労自立給付金の扱いも含めて確かめやすくなります。
届いた通知書は捨てずに保管し、同居の家族にも内容を伝えておくと安心です。分からない点は、住んでいる地域の福祉事務所で聞いてみましょう。
7. まとめにかえて
令和6年度に生活保護の保護が廃止された世帯は18万9295世帯で、理由の49.5%は死亡でした。働きによる収入の増加・取得は15.1%で2番目です。
高齢者世帯では死亡が71.8%を占める一方、母子世帯とその他の世帯では働きによる収入が4割を超えていました。
働いて保護を抜ける世帯には、単身世帯で最大10万円、複数世帯で最大15万円の就労自立給付金があります。保護が終わるときの通知は書面で届くので、内容を家族と一緒に確かめておきましょう。