生活保護の生活扶助費は、全国どこでも同じ額だと思われがちです。実際には、住んでいる市町村によって額が変わります。

基準額を決めているのは、厚生労働省の告示「生活保護法による保護の基準」です。2026年4月1日から適用されている額が、その別表第1に載っています。

この記事では、級地区分ごとの生活扶助の基準額を並べ、いちばん高い地域といちばん低い地域でどれだけ差がつくのかを確認していきます。

1. 生活扶助の基準額は住んでいる市町村で変わる

生活保護の相談を受け付けるのは、住んでいる市区町村の福祉事務所です。どこに住んでいるかは、窓口の場所だけでなく金額にも関わってきます。

1.1 級地区分は別表第9で市町村ごとに定められている

告示では「別表第1、別表第3、別表第6及び別表第8の基準額に係る地域の級地区分は、別表第9に定めるところによる」としています。

別表第9は、1級地-1、1級地-2、2級地-1、2級地-2、3級地-1の5つに該当する市町村を都道府県別に列挙したものです。そこに挙げられていない市町村が3級地-2になります。

つまり級地区分は6つです。生活扶助の基準額も、この6通りに分かれます。

1.2 住宅扶助の上限額とは別に決まっている

級地によって変わるものといえば、家賃の上限額を思い浮かべる方もいるかもしれません。こちらは別表第3の住宅扶助基準で、1級地および2級地と3級地の2区分です。

この記事で見ていくのは、別表第1の生活扶助基準のほうです。同じ級地という言葉を使っていても、金額の出どころは別々です。

2. 級地区分別の第1類費を並べる

生活扶助の基準額のうち、級地で差がつくのは第1類費です。年齢別に定められた、世帯員1人ごとの額にあたります。

2.1 第1類費は級地で6通りに分かれる

年齢の区分は0歳から75歳以上まで11あります。級地は6区分なので、合わせて66通りの額が定められています。

生活扶助の第1類費は年齢と級地区分の組み合わせで決まる1/2

生活扶助の第1類費を年齢別、級地区分別に並べた一覧表。1級地-1から3級地-2までの6区分で、年齢は0歳から75歳以上までの11区分

出所:厚生労働省「生活保護法による保護の基準」を参考にLIMO編集部作成

級地ごとに、年齢別の第1類費を書き出すと次のとおりです。

【1級地-1】

  • 0歳~2歳:4万4580円
  • 3歳~5歳:4万4580円
  • 6歳~11歳:4万6460円
  • 12歳~17歳:4万9270円
  • 18歳・19歳:4万6930円
  • 20歳~40歳:4万6930円
  • 41歳~59歳:4万6930円
  • 60歳~64歳:4万6930円
  • 65歳~69歳:4万6460円
  • 70歳~74歳:4万6460円
  • 75歳以上:3万9890円

【1級地-2】

  • 0歳~2歳:4万3240円
  • 3歳~5歳:4万3240円
  • 6歳~11歳:4万5060円
  • 12歳~17歳:4万7790円
  • 18歳・19歳:4万5520円
  • 20歳~40歳:4万5520円
  • 41歳~59歳:4万5520円
  • 60歳~64歳:4万5520円
  • 65歳~69歳:4万5060円
  • 70歳~74歳:4万5060円
  • 75歳以上:3万8690円

【2級地-1】

  • 0歳~2歳:4万1460円
  • 3歳~5歳:4万1460円
  • 6歳~11歳:4万3200円
  • 12歳~17歳:4万5820円
  • 18歳・19歳:4万3640円
  • 20歳~40歳:4万3640円
  • 41歳~59歳:4万3640円
  • 60歳~64歳:4万3640円
  • 65歳~69歳:4万3200円
  • 70歳~74歳:4万3200円
  • 75歳以上:3万7100円

【2級地-2】

  • 0歳~2歳:3万9680円
  • 3歳~5歳:3万9680円
  • 6歳~11歳:4万1350円
  • 12歳~17歳:4万3850円
  • 18歳・19歳:4万1760円
  • 20歳~40歳:4万1760円
  • 41歳~59歳:4万1760円
  • 60歳~64歳:4万1760円
  • 65歳~69歳:4万1350円
  • 70歳~74歳:4万1350円
  • 75歳以上:3万5500円

【3級地-1】

  • 0歳~2歳:3万9230円
  • 3歳~5歳:3万9230円
  • 6歳~11歳:4万880円
  • 12歳~17歳:4万3360円
  • 18歳・19歳:4万1290円
  • 20歳~40歳:4万1290円
  • 41歳~59歳:4万1290円
  • 60歳~64歳:4万1290円
  • 65歳~69歳:4万880円
  • 70歳~74歳:4万880円
  • 75歳以上:3万5100円

【3級地-2】

  • 0歳~2歳:3万7000円
  • 3歳~5歳:3万7000円
  • 6歳~11歳:3万8560円
  • 12歳~17歳:4万900円
  • 18歳・19歳:3万8950円
  • 20歳~40歳:3万8950円
  • 41歳~59歳:3万8950円
  • 60歳~64歳:3万8950円
  • 65歳~69歳:3万8560円
  • 70歳~74歳:3万8560円
  • 75歳以上:3万3110円

2.2 第2類費と逓減率は級地で変わらない

一方、世帯人員別に決まる第2類費は、級地が違っても同じ額です。1人2万7790円、2人3万8060円、3人4万4730円、4人4万8900円と定められています。

第1類費の合計に掛ける逓減率も、級地によって変わりません。2人世帯なら0.87、3人世帯なら0.75、4人世帯なら0.66です。

3. 1級地-1と3級地-2で生活扶助費はいくら違うのか

基準額の並びが分かったところで、実際の生活扶助費に置き換えてみましょう。いちばん高い1級地-1と、いちばん低い3級地-2で比べます。

3.1 単身では月8030円、夫婦2人では月1万3750円の差

世帯員が65歳から69歳で、冬季加算のない月という条件で試算します。第1類費の合計に逓減率を掛けて第2類費を足し、経過的加算額と特例加算を加えた額です。

単身の場合、1級地-1は月7万6880円、3級地-2は月6万8850円になります。差は月8030円で、1年では9万6360円です。

夫婦2人の世帯では、1級地-1が月12万3910円、3級地-2が月11万160円です。差は月1万3750円、1年では16万5000円になります。

1級地-1と3級地-2では同じ世帯構成でも生活扶助費に差がつく2/2

単身世帯と夫婦2人世帯について、1級地-1と3級地-2の生活扶助費を並べた表。単身では月8030円、夫婦2人では月1万3750円の差がある

出所:厚生労働省「生活保護法による保護の基準」を参考にLIMO編集部作成

世帯人員が増えるほど第1類費の合計が大きくなるため、級地による差も広がります。

熊谷 良子

級地区分は市町村ごとに告示で決まっていて、自分で選べるものではありません。金額の違いは制度上の区分によるものなので、まずは自分の市町村がどこに当たるのかを確かめるところから始めると分かりやすくなります。