「課長になったのに、思ったほど給与が増えていない」「同期は部長になったけれど、実際どのくらい違うのだろう」ー役職の話になると、こうした声が出てくることがあります。

給与の額面は人に聞きにくく、社内の誰かと並べて確かめることもしにくいところです。役職が上がれば給与も増える、とは聞きます。ただ、その先で何がどう変わるのかまでは、案外見えないままになりがちでしょう。管理職の収入は年代を重ねれば上がり続けるのか、それともどこかで頭打ちになるのでしょうか。

一方で、役職ごとの平均は毎年公表されていて、年代で分けた表まで用意されています。同じ課長でも40歳代と50歳代では違うのか、係長のまま年を重ねるとどう動くのかーそうした細かいところまで、この表なら追いかけられます。

今回は、部長・課長・係長の3つを年代ごとに並べて、どこで差がついているのかをみていきましょう。あわせて、管理職自身が何で評価されていると感じているのかを、直近の意識調査からも読み解いていきます。

1. 【中間管理職の給与一覧表】部長63万5800円・課長52万9200円・係長39万9200円

まずは、いちばん気になる金額から確かめていきましょう。役職ごとの賃金を調べているのは、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査です。毎月きまって支払われる分から残業や休日の手当を差し引いた金額(6月分・税引き前)は、男女計で次のとおりです。

1.1 【中間管理職の給与一覧表】

  • 部長級:63万5800円(93万1330人・平均53.1歳)
  • 課長級:52万9200円(179万6950人・平均49.5歳)
  • 係長級:39万9200円(161万7180人・平均45.4歳)

3つを合わせると434万5460人になります。勤続年数は部長級が22.6年、課長級が20.9年、係長級が17.5年で、役職が上がるほど長くなっていました。

部長級は係長級の1.59倍で、差にすると23万6600円。課長級と係長級のあいだは13万円です。一方で、部長級と課長級のあいだは10万6600円で、1.20倍にとどまります。役職を1つ上がるごとに同じだけ増えていくというより、係長から課長のところでいちばん大きく開いているようです。

ただ、これはすべての年代をまとめた平均です。同じ課長でも、40歳代でその役職に就いた方と、50歳代後半まで務めてきた方では、当然ちがう金額になっているはずです。ここからは年代で分けた表をみていきましょう。

2. 【中間管理職の年代別給与一覧表】3役職とも55歳~59歳が最も高い

年代別にみると、はっきりした共通点が1つあります。3つの役職とも、金額がいちばん高くなるのは55歳から59歳でした。一覧表で見ていきましょう。

部長級・課長級・係長級の所定内給与額(年代別・男女計)1/2

部長級・課長級・係長級の所定内給与額(年代別・男女計)

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表(政府統計の総合窓口e-Stat) をもとにLIMO編集部作成

2.1 部長の年代別給与一覧表

  • 20歳〜24歳 34万7500円
  • 25歳〜29歳 42万2100円
  • 30歳〜34歳 53万4300円
  • 35歳〜39歳 56万2500円
  • 40歳〜44歳 61万2300円
  • 45歳〜49歳 65万9900円
  • 50歳〜54歳 64万6600円
  • 55歳〜59歳 66万4800円
  • 60歳〜64歳 60万1800円
  • 65歳〜69歳 49万2400円
  • 70歳以上 46万100円

2.2 課長の年代別給与一覧表

  • 20歳〜24歳 27万5100円
  • 25歳〜29歳 40万6200円
  • 30歳〜34歳 45万5400円
  • 35歳〜39歳 51万3000円
  • 40歳〜44歳 53万9900円
  • 45歳〜49歳 53万4000円
  • 50歳〜54歳 53万9900円
  • 55歳〜59歳 54万500円
  • 60歳〜64歳 45万5800円
  • 65歳〜69歳 35万9700円
  • 70歳以上 35万8500円

2.3 係長の年代別給与一覧表

  • 20歳〜24歳 27万9400円
  • 25歳〜29歳 32万7500円
  • 30歳〜34歳 36万6700円
  • 35歳〜39歳 39万5900円
  • 40歳〜44歳 40万4700円
  • 45歳〜49歳 40万6200円
  • 50歳〜54歳 41万500円
  • 55歳〜59歳 42万200円
  • 60歳〜64歳 37万1400円
  • 65歳〜69歳 32万8600円
  • 70歳以上 22万9000円

最多はどれも55歳~59歳でした。部長級66万4800円、課長級54万500円、係長級42万200円です。部長級だけは45歳から49歳の65万9900円が僅差で続き、50歳代前半でいったん下がってから上がり直しています。

裏を返せば、60歳を境に金額は下がります。部長級は60歳から64歳で60万1800円、65歳から69歳で49万2400円。課長級は45万5800円、35万9700円と落ちていきます。定年後の再雇用などで働き方が変わる方が含まれていると考えられます。

役職に就いてから金額が伸びていく形は3つとも同じですが、そのカーブの高さは役職ごとに違います。では、人数のほうはどうでしょうか。

3. 【年代別の人数】部長級と課長級は50歳代前半が多く、係長級だけ40歳代後半

部長級でいちばん人数が多いのは50歳から54歳の26万5070人。課長級も同じ50歳から54歳が47万6390人で最多です。ところが係長級だけは45歳から49歳の32万1710人が頂点で、ほかの2つより5歳ぶん早いところに集まっています。

係長級は45歳から49歳を過ぎると人数が減りはじめます。50歳から54歳は28万4940人、55歳から59歳は19万9480人です。課長や部長に上がった方と、係長のまま続ける方に分かれていく時期なのかもしれません。

人数がいちばん多いところと、金額がいちばん高いところが重ならない。この違いは、3つの役職すべてで起きています。金額の山である55歳から59歳は、どの役職でも人数の頂点ではありませんでした。役職に就いている方が多い年代と、給与が伸びきる年代は、5年から10年ずれているということになります。

宮野 茉莉子
この調査の金額は6月分の1か月ぶんです。賞与は別に集計されているので、ここに出てくる数字に賞与は入っていません。年収の感覚とはずれるので、月々の金額として見るほうが近いはずです。税や社会保険料を差し引く前の金額でもあるので、手取りとくらべると開きが出ます。年収で見たい方は、賞与の欄をあとから足すことになります。

もう一つ、この表は役職と年代で分けたものです。会社の規模も業種も、この中では混ざっています。同じ課長でも、大企業と小さな会社では水準が違うはずですが、それはこの表からは見えません。平均より低かったとしても、それだけで何かが決まるわけではない、ということになります。自分がどのあたりにいるのかを測るための、物差しの1本だと思っておくのがよさそうです。