4. 地上波だけではない。ネット配信なら複数競技を追える
今回の大会は、地上波放送だけでなくインターネットでも視聴できます。
例えば、U-NEXTは9月19日から10月4日まで、アジア大会を最大7チャンネルでライブ配信します。サッカー、バレーボール、卓球、陸上競技、バスケットボール、野球、競泳、ゴルフなど、20競技以上が対象です。
「日本代表の注目競技を見る」だけでなく、「普段テレビでは見る機会がない競技を探す」という楽しみ方もしやすくなります。
5. 開幕前から「選手村がない」ことが話題に
今回の大会では、競技以外のニュースも注目されています。その一つが選手団の宿泊問題です。
一般的な国際総合競技大会では、選手村に各国・地域の選手団を集める方式が知られています。しかし愛知・名古屋大会では、当初計画されていた大規模な選手村の整備を取りやめ、ホテルやクルーズ船、コンテナ型の宿泊施設などを組み合わせる方式に変更されました。
愛知県は2025年12月、選手村整備を取りやめてホテルなどを活用することで600億円を削減したと説明しています。大会全体でも、会場や仮設施設などの見直しによって1000億円を超える削減努力を行っています。
一方で、参加規模が当初の想定を上回り、宿泊環境への不満が表面化しています。
例えば、韓国のバスケットボール選手らから、コンテナ型の移動式宿泊施設についてベッドサイズなどへの不満が出ていることがSNSで大きな話題になりました。
新たな選手村を建設しないことで大幅なコスト削減を図った一方、参加規模の拡大によって複数の宿泊手段を組み合わせる必要が生じ、その環境に選手から不満が出ています。
大会側は24時間対応の窓口を設置するなど改善を進めています。
6. 「会場がガラガラ」との声も。なぜ観客が集まらない?
もう一つ、SNSなどで目立つのが「会場に観客が少ない」という話題です。
実際、大会組織委員会が9月7日時点で公表したチケット販売率を見ると、開閉会式と41競技のうち、販売率80%超は約4割、60%超は約7割でした。
この数字だけを見ると「全競技が売れていない」わけではなく、卓球、バドミントン、バレーボール、スポーツクライミングなどは、多くのセッションで残席が少なくなっています。
今回の大会は32年ぶりの日本開催ですが、競技によって知名度に大きな差があります。日本代表が出場する競技でも、普段から国内で観戦されている競技と、アジア大会で初めて知る人が多い競技では、観客を集める難しさが異なります。
さらに、開会式前から競技が始まることも、盛り上がりを分散させる要因になり得ます。9月10日から競技が始まっているため、「9月19日に一斉に大会が始まる」という分かりやすい盛り上がり方になっていません。
もっとも、これはすべてが運営側の落ち度というわけではありません。競技数が43に及び、開催地も複数に分かれる大会では、すべての競技を同じ規模で盛り上げること自体が難しいからです。
その一方で、販売率が低いセッションを残したまま大会を迎えることになった点や、開幕直前まで販売可能な座席を追加する対応を続けている点からは、チケット販売・観客動員が大会側にとって課題の一つになっていることは否定できません。
大会組織委員会は、販売可能な座席を追加で確保し、対面販売所や当日券販売も実施しています。
7. トレンドウォッチャーのひとこと
今回のアジア大会は、巨大な国際大会の運営方法が変わりつつあることを考える材料にもなります。
象徴的なのが選手の宿泊です。愛知・名古屋大会では、新たな選手村を建設するのではなく、ホテルやクルーズ船、コンテナ型施設などを組み合わせることでコストを抑えました。愛知県は選手村整備の取りやめによって600億円を削減したと説明しています。
ただ、その「節約」と引き換えに、選手側には負担も生じています。コンテナ型施設のベッドサイズなどをめぐって韓国のバスケットボール選手らから不満が出るなど、宿泊環境に対する複数の指摘が報じられました。大会側は24時間対応の窓口を設けるなど、開幕直前まで改善を続けています。
観客動員も同じです。チケット販売率が高い競技がある一方、大規模会場のサッカーや野球では余席が残っています。競技の人気差だけでなく、会場規模や開会式前から競技が始まる日程も、観客の見え方に影響します。
「大きな大会なら大きな施設を作り、大勢の観客を集める」という従来型のモデルから、どこまで効率化できるのか。今回の大会は、その難しさが表面に出た大会でもあります。
一方で、43競技の中には、普段のスポーツ観戦では出会いにくい競技も数多くあります。運営面の課題と競技そのものの魅力は切り分けて、知らなかったスポーツを見つける機会として楽しむのも、今回のアジア大会の一つの見方といえそうです。
参考資料
- 第20回アジア競技大会
- 第20回アジア競技大会「選手とともに大会を盛り上げる!マスコットを紹介!」
- 公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会「第20回アジア競技大会 チケット販売状況について」
大蔵 大輔
