4. 医療費が高い地域に住むと保険料も高くなるのか?
医療費の地域差を見ると、保険料も同じように違うのかが気になります。
4.1 後期高齢者医療の保険料率は広域連合ごとに決まる
後期高齢者医療制度を運営しているのは、都道府県ごとに設けられた後期高齢者医療広域連合です。保険料率もこの広域連合ごとに決まります。
保険料は被保険者が等しく負担する被保険者均等割額と、前年の所得に応じて決まる所得割額の合計です。医療費の水準は、広域連合が料率を決めるときの材料のひとつになります。
4.2 令和8・9年度の全国平均は月7989円
厚生労働省が2026年4月10日に公表した資料によると、令和8・9年度の医療分の全国平均は、均等割額が年5万6083円、所得割率が10.17%でした。
一人当たりの平均保険料額は年9万5875円、月あたり7989円です。令和6・7年度の月7411円から578円、7.8%増えました。
5. 窓口で払う額は医療費の水準では変わらない
医療費が高い地域に住んでいても、窓口での負担の決まり方は全国共通です。
5.1 窓口負担割合は前年の所得で決まる
後期高齢者医療の窓口負担割合は1割・2割・3割の3段階です。判定は前年の所得をもとに、毎年8月1日にやり直されます。
地域の医療費が高いかどうかでこの割合が変わることはありません。
5.2 自己負担には月ごとの上限がある
高額療養費があるため、1か月の自己負担には所得区分に応じた上限が設けられています。上限を超えた分は申請などにより払い戻されます。
医療費が高い地域でも、1人の患者が窓口で払う額が無制限に増えるわけではありません。
6. 地域差の数字を見るときの注意点は3つ
順位だけを見て地域の良し悪しを判断するのは早計です。
6.1 医療機関の多さや入院の受け皿が影響する
1人当たり医療費には、病院や診療所がどれだけあるか、入院の受け皿がどれだけあるかが影響します。医療にかかりやすい地域では、その分だけ医療費も大きくなります。
6.2 被保険者の年齢構成も違う
同じ後期高齢者医療の被保険者でも、75歳になったばかりの方と90歳を超えた方では医療のかかり方が違います。高齢層の割合が高い地域では1人当たりの額も大きくなります。
6.3 自分の負担は通知で確かめる
都道府県別の医療費は制度全体の姿を知るための数字です。自分が実際に払う保険料と窓口負担は、広域連合から届く通知で確かめられます。
負担が重いと感じたときは、市区町村の後期高齢者医療の窓口に早めに相談してください。
7. まとめにかえて
令和6年度の後期高齢者医療の1人当たり医療費は、全国計で97万1531円でした。前年度からの伸びは0.35%で、直近5年ではいちばん小さくなっています。
都道府県別では最も高い福岡県が118万6752円、最も低い新潟県が77万7935円で、差は40万8817円、福岡県の額は新潟県の1.53倍でした。
一方で窓口負担割合は前年の所得で決まる仕組みで、地域の医療費の水準では変わりません。保険料率は広域連合ごとに決まり、令和8・9年度の全国平均は月7989円です。
地域差の数字は制度の姿をつかむためのものです。自分の負担は届いた通知で確かめておきましょう。
参考資料
池上 翠