働きながら年金を受け取っているシニアにとって、9月は年金額が動く節目の月です。

65歳以上70歳未満で厚生年金保険に加入して働いている人は、毎年9月1日を基準日として、10月分から年金額が見直されます。

今回の10月改定には、これまでと違う大きなポイントがあります。

令和8年4月に「在職老齢年金」の基準額が51万円から65万円へと大きく引き上げられており、この新しい基準額のもとで迎える初めての10月改定にあたるのです。

1. 働くシニアの年金を左右する「在職定時改定」

年金を受け取りながら働き続けるシニアの年金額は、退職を待たずに毎年見直される仕組みがあります。

これが「在職定時改定」です。

1.1 対象になるのはどんな人か

在職定時改定の対象になるのは、老齢厚生年金を受給しながら、65歳以上70歳未満で厚生年金保険の被保険者として働いている人です。

毎年9月1日の時点で厚生年金保険の被保険者であることが条件になります。

1.2 いつ、どのように年金額へ反映されるのか

基準日である9月1日までの1年間(前年9月から当年8月まで)に納めた保険料の実績が、10月分の年金額から反映されます。

ただし、実際に増額後の年金が口座に振り込まれるのは、10月分・11月分をまとめて支給される12月からです。

基準額65万円のもとで迎える初めての10月改定1/3

基準額65万円のもとで迎える初めての10月改定

LIMO編集部作成

今年の10月改定は、令和8年4月に施行された新しい基準額65万円のもとで迎える、最初の在職定時改定にあたります。

2. 働くシニアの年金がカットされる「在職老齢年金」のしくみ

在職定時改定によって年金額が増えても、働くシニアにはもう一つ気をつけたい仕組みがあります。

それが「在職老齢年金」による年金の支給停止です。

2.1 基準額を超えると年金が減額される

在職老齢年金は、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入して働いている人を対象に、年金額(基本月額)と給与・賞与の合計額(総報酬月額相当額)が一定の基準額を超えると、その超えた分に応じて年金の一部または全部が支給停止される仕組みです。

令和8年4月からは、この基準額が51万円から65万円に引き上げられました。

合計額が65万円を超えた場合の年金支給月額は、次の式で計算されます。

支給される年金の月額 = 基本月額 -(基本月額 + 総報酬月額相当額 - 65万円)÷2

2.2 基準額引き上げで「全額支給」の範囲が拡大

基準額が65万円に引き上げられたことで、より給与が高い人でも年金が全額支給される範囲が広がりました。

「全額支給」となる総報酬月額相当額の上限が拡大2/3

「全額支給」となる総報酬月額相当額の上限が拡大

LIMO編集部作成

たとえば基本月額が10万円の人の場合、これまでは総報酬月額相当額が41万円までなら年金が全額支給されていましたが、基準額65万円のもとでは55万円まで全額支給の対象になります。

基本月額が25万円の人であれば、全額支給の上限は26万円から40万円へと広がります。